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国道6号線の開通と「除染袋」

福島第1原発事故後、通行規制が続いていた福島県富岡町~双葉町間の国道6号(14.1km)が、2月15日から規制解除となり通行できるようになりました。

東北の人たちにとっては、4年近くも不便を強いられていたわけです。
やっと通れるようになったのはいいのですが、途中に最大放射線量毎時17.3マイクロシーベルトという「汚染区間」もあるようです。
政府は「通行時は窓を閉め切って」と呼びかけていますが、「安心して通れる道」とはどうも言えないようです。
そして、テレビの画像で観た、道路のいたるところにある「除染袋」にはびっくりしました。
これだけでもびっくりですが、さらにその「除染袋」が次々に破損していることが判明しているとのニュースもありました。
「除染袋」などを作っているメーカーの公式ホームページには、「耐用年数3年タイプと耐用年数5年タイプを生産」と書いてありました。
つまり、福島原発事故から4年が経過した現在では、「除染袋」は限界に達している可能性があることになります。
今まででも、福島の各地から、「除染袋が破れている」という報告が多数寄せられているそうです。
未だに除染作業の半数が終わっていないのに、「除染袋」が崩壊していることになります。
「除染作業などをちゃんとすれば住める」と主張している方も居ますが、除染した土などを処分する場所も無い上に、「除染袋」の耐久性も3~5年程度では、現実問題として、住めるようになるのは何年先になるのでしょう。
しかも、福島原発からは今も大量の放射性物質が放出されています。
福島原発の放射能を止めずに、除染をすることは、無駄なことだと思うのは言い過ぎでしょうか。
「汚れた靴を履いたままで、雑巾がけをしているのと同じ」だと言っている人もいます。
徐々に原子炉の中の放射能を外に出さないような建屋ができているようですが、とにかく4年も経つのにあまりにもペースが遅すぎです。
国道6号線の開通により、1日1万台以上のクルマの通行によって、除染されきれていない粉じんが巻き上げられ、それが風に乗ったり、車両に付着したりして運ばれる可能性もあります。
去年の9月の数値と1ヵ月半後の11月5日に実施した第2回目測定の数値を比較したデータがあります。
その結果によると、「国道6号線の路面汚染を直接的に示すcpm値については、福島第一原発を経由してきた車両が走る車線では5ヵ所で上昇傾向が確認できた」そうです。
つまり、福島第一原発を挟んだ6号線の南北への汚染は、やはりじわじわと進んでいる結果になっています。
「やはりこの時点での通行制限解除は、正気の沙汰ではない。14kmの区間から南北へ汚染が急速に広がっていく事態は避けられません。」長崎大学大学院工学研究科の教授である小川進さんは言っています。

4年経っても、汚染処理ができないどころか、福島第一原発からの放射能の放出さえ止められないのが現実です。
それなのに、どうして再稼動という発想がでてくるのでしょうか?
福島第一原発も他の日本にある原発もほとんど同じ構造です。
原子炉が爆発したら何も止められないのは同じです。


国道沿いに積み重ねられている「除染袋」です。


更地に置かれている「除染袋」です。
黒っぽい袋がこれだけあって、太陽にさらされると、何個かは破れるのは当然です。

ビキニ環礁の放射能汚染

福島の原発事故による海への汚染は止まっていません。
科学が発達すればするほど、地球への汚染も広がっていっていると思います。

思えば、海の放射能汚染は、なにも福島だけではありません。
広島・長崎に原爆を投下した1年後の、1946年7月に、アメリカは、「核実験」という名の下に原爆を中部太平洋マ-シャル諸島の、ビキニ環礁で爆発させました。
クロスロード作戦(Operation Crossroads)と呼ばれたこの「核実験」は、以後13年間にビキニ、エニウェトクの二つの環礁で66回も行っています。
中でも、1954年3月1日に、ビキニ環礁で行われた、「ブラボ-」と名づけた「核実験」は史上最大の15メガトンでした。
広島原爆の1,000倍のウルトラ水爆で、周辺海域で操業中のまぐろ漁船、第五福龍丸など日本の漁船1,000隻以上が被曝しました。
ビキニから180km離れたロンゲラップ島民は避難させられずに、激しい衝撃波と爆風、そして放射能を含んだサンゴの粉が島中に降り積もりました。
いわゆる「死の灰」ですが、その当時の子供たちは初めてみる雪のような白い粉を身体にかけて遊んでいたそうです。
やがて激しい嘔吐、皮膚の炎症、脱毛などの急性放射能障害が島民を襲いました。
その後アメリカ艦船に収容され、3年後、「安全宣言」を信じて、実験当時島にいなかった島民も一緒に、帰島しました。
しかし、たった3年では、残留放射能がいっぱいで、島は住める状態ではありませんでした。
実験当時島外で無事だった人も、汚染されたヤシガニやパンの実、魚などの食物などを通じて内部被曝をしてしまいました。
奇形児や流産などの異常出産、甲状腺ガンや白血病などが蔓延したそうです。
今でも、そのビキニ環礁の北西角に、ぽっかりと開いたくぼみが見えます。
通称「ブラボー・クレーター」と呼ばれているこの穴は、直径約2km、深さ約80mとものすごいもので、海底にはすり鉢のように筋状の模様があり、中心に向かって深くなっています。
常夏の海に刻まれた「核の傷痕」で、周囲にあった三つの島が吹き飛んだそうです。

これって、どう考えても福島以上でしょう。
それでも、あれから68年たった現在まで、世界中の人が魚を食べています。
とんでもなく恐ろしいことです。
「のどもと過ぎれば」とはよく言いますが、あれだけの放射能事故がありながらでも、原発を再稼動しようとしています。
今は、ビキニ環礁の「核実験」なんか忘れ去られています。
チェルノブイリも、福島の事故がなかったら忘れ去られていたのでしょうか?
そして、福島も忘れ去るときが来るのでしょうか?
ビキニ環礁も、広島も、長崎もアメリカの仕業ですが、福島は明らかに日本人の仕業です。
文明の発達が、地球崩壊にならないように、私たち一人ひとりが文明をチェックする必要があります。

川内原発は安全?

原発の再稼動が問題になっています。

九州電力が昨年7月8日に提出した川内原発(1~2号機、鹿児島県)の設置変更許可申請には、
①重大事故対策
②耐震・耐津波性能
③自然現象・火災に対する考慮等
の3つが柱にあるのですが、これに対して7月16日に、原子力規制委員会(田中俊一委員長)は、「新たな規制基準に適合している」との審査書(案)を発表しました。
これを受けてマスコミは「事実上の審査合格」と一斉に報じました。
総理大臣の安倍さんにいたっては、「日本の安全基準は世界一。安全確認された原発から稼働を」と規制委の発表を歓迎、他の原発についても「次なる再稼動を」と促しています。

これはとんでもない勘違いです。
①まず、川内原発には「免震重要棟」がありません。
これは、万が一事故が起きたときには、逃げる場所がないだけでなく、事故処理も満足にできません。
福島はこの「免震重要棟」があったから、吉田所長などが常駐し、近くで指示出来たのだと思います。
安全対策はまずこれでしょう。
②「ベントフィルター」もありません。
「ベントフィルター」は、放射性物質を100分の1から1000分の一に低減するそうです。
福島の事故で、森や畑など一面に汚染してしまいましたが、1000分の1の汚染だったら、実質的に事故の影響はなく、数日後に福島の人たちは元の生活に戻っていたはずだと指摘している学者もいます。
安全対策の中に当然入ってくるものでしょう。

他にもいろいろあります。
③実効性のある「避難計画」がありません。
④事故発生時、放射能を恐れずに命をかけて対策に従事する部隊/組織が決まっていません。
⑤火山対策は予知を前提にしていますが、専門家は予知は不可能だと言っています。
⑥火山の爆発や火砕流などの直接の影響だけでなく、火山灰が電線に降り積もっただけでショートし外部電源は全て喪失します。
また、道路や線路に積もれば、車も電車も身動きがとれなくなります。
⑦地震時の設計として、560から620ガルに耐震性を高めるそうですが、実際の近年の日本の地震では、2000ガルとか4000ガルが実際にいくつも起こっています。
活断層のないはずの未知の活断層も動いています。
現在の科学では、地下数kmの深さでの活断層の有無を判別することは不可能なので当然耐震対策についても安全とは言えません。
⑧前から言われていることですが、稼働すれば発生する核廃棄物の処理や管理方法が決まっていません。
それに必要なコストも計算されておらず、事業計画に計上されていません。
つまり、原発の事業としての採算性は計算されていません。
40年で廃炉にするということになると、当然廃炉の費用も核廃棄物の費用も入れなければなりません。
そうなると、例えば火力発電などの他の発電と比較にならないくらいの高い発電費になります。
⑨核廃棄物は人類史上最悪の環境汚染物質です。
最終処理方法が決まっていなければ、本来は生産(原発の稼働)は禁止されるべきものです。
⑩PWRは、BWRより安全というのは違います。
「加圧水型原子炉」(PWR)は、「沸騰水型原子炉」(BWR)よりも格納容器が大きくて安全であるとの説明ですが、PWRは1次冷却水と2次冷却水を分けているため、冷却用の配管の量がすさまじく多く、地震で配管のひび割れが起きる確率が格段に高いとされていますが、それなのに、耐震性能は「620ガル」までしかありません。
福島原発の事故では、制御用配管が動作しなかった問題の原因が、配管のひび割れと予測されています。
⑪「コアキャッチャー」もありません。
「コアキャッチャー」は、炉心溶融物保持装置とも言い、原子炉で炉心溶融事故が発生した場合に備えて、原子炉格納容器の下部に設置される装置です。
溶融した炉心燃料を閉じ込めて冷却し、放射性物質の拡散を抑制することができます。

いろいろと危険な状態を並べましたが、これで安全対策が万全とはとても思えません。
特に、川内原発に「免震重要棟」も「ベントフィルター」も無いのは致命的欠陥です。
7月31日に、九州電力は、「当社原子力発電所の更なる安全性・信頼性向上への取組みについて」という題名で、免震重要棟、格納容器フィルタ付ベント装置の設置などについてこんな発表をしています。

当社は、福島第一事故を踏まえた国の指示を受け、玄海及び川内原子力発電所において、津波により3つの機能(全交流電源、海水冷却機能、使用済燃料プールの冷却機能)を全て失ったとしても、炉心損傷や使用済燃料の損傷を防止できるよう、直ちに緊急安全対策を実施しました。
この緊急安全対策が適切に実施されており、炉心損傷等の発生防止に必要な安全性は確保されていることを、国に確認していただいております。
また、当社は、ストレステスト一次評価において、緊急安全対策で原子力発電所の安全性が更に向上していることを確認し、国の審査を受けているところです。
さらに、原子力発電に対する信頼を確保するためには、より一層の安全性・信頼性の向上を目指した取り組みを、自主的かつ継続的に進めていくことが不可欠であり、現在、国が示した福島第一事故の技術的知見等を踏まえて、更なる安全性・信頼性向上対策について、鋭意取り組みを進めているところです。
これらの対策のうち、以下の設備について、これまでの調査検討をもとに基本設計に着手できる段階になりましたので、お知らせします。
① 免震構造で事故時の指揮所となる「免震重要棟」
②格納容器の内圧上昇を抑制する「格納容器フィルタ付ベント装置」
なお、その他の対策についても、適宜、お知らせいたします。
当社は、今後とも、更なる安全性・信頼性向上への取り組みを継続し、原子力発電所の安全確保に万全を期してまいります。

今更ながらというところですが、でも計画だけで、なにもないことには変わりはありません。
なぜこんな状態で安全なのでしょうか?
私は、再稼働なんてとんでもないと思っています。
たとえ、安全対策が万全だとしても、私は日本中の原子炉をすべて廃炉にする必要があると思っています。

原発事故と木下聡さんの証言

福島第一原発事故が起きたとき、1号機内部にいて、今年8月にがんで亡くなった元作業員の木下聡さん(65)の証言を紹介します。

あの日は午後から、1号機で定期検査のための足場を組む作業をしていた。
1階には私と同僚の2人。
4階に元請けと協力会社の4、5人がいた。
最初の揺れはそれほどでもなかった。
だが2回目はすごかった。
床にはいつくばった。
配管は昔のアンカーボルトを使っているから、揺すられると隙間ができる。
ああ、危ないと思ったら案の定、無数の配管やケーブルのトレーが天井からばさばさ落ちてきた。
落ちてくるなんてもんじゃない。
当たらなかったのが不思議。
4階にいた人たちは水が大量にゴーと襲ってきたと言っていた。
それが使用済み燃料プールからなのか、非常用復水器が壊れたからなのか、そのときは分からなかった。
皆で集合して、1号機から脱出した。
地震が起きてどれぐらいだったかな。
必死だったからはっきりしないけど、10分ぐらいじゃないかな。
途中の様子も恐ろしかった。
タンクはぼこぼこ倒れてるし、潮が引いていて、これは津波が来ると思った。
沖のテトラポットがむきだしになっていた。
敷地内にある元請けの事務所に戻り、装備品を返して、まとまった班から解散になった。
東電は「全電源喪失と地震の揺れは無関係」と言っているが、そんなのあり得ない。
謙虚に検証する姿勢がないと、安全神話が復活する。
そもそも、運転開始から40年になる1号機の老朽化はすごかった。
重要器具は定期検査で交換するが、周辺の装置はそのままだ。追加、追加でどんどん配管を増やし、耐火構造にするために防火剤を塗りつけるから、重量は半端じゃなかった。
設計基準を大幅に超えていたはずだ。
建屋のコンクリートも相当劣化していた。
インパクトドライバーを当てると分かる。
ずぶずぶと刺さって、粉は真っ白。
鉄筋をモルタルで塗り固めるときもクレーンで流し込むだけ。
本来はバイブレーターを使うが、竹の棒で突っつくだけ。
施工はひどいものだった。
だから水素爆発で粉々に吹き飛んだ。
ずっと世話になったが、今は言っていることの半分も信用できない。
事故後の対応については新聞をずっと切り抜いている。
「4号機の建屋、問題なし」という記事があるが、そんなのうそっぱちだ。
あれだけ揺れて「問題なし」だなんて。
事故後の対応は全てメーカー任せだった。
正常に作動していればメルトダウンを防げた可能性がある非常用復水器(緊急時に原子炉の蒸気で冷却)も、当直の社員は使い方を知らなかったって言うんだから。
当直の人は、中央制御室の操作はできても、せっかくの冷却装置を使えない。
訓練もしていなかったって言うんだから、恐ろしい話だ。
現場にいた私らに明確な指示があれば、対応できたはずなのに。
3月には仮設の配電盤にネズミが入って停電する事故があった。
侵入を防ぐ初歩的な施工ができていない。
熟練した作業員が線量オーバーで入れなくなっているから。
今後も事故は起きるだろう。
人生のほとんどを原発に捧げてきたのに、情けない。
のんびり暮らそうとした途端、病気が分かった。
体力は元気なときの10分の1になって、ペンも持てなくなった。
だけど、簡単には死ねない。
納得できない。
俺は俺で、じたばたして生きてみせる。

これが木下聡さんの証言です。
証言の中で「運転開始から40年になる1号機の老朽化はすごかった」と言っています。
愛媛県の伊方原発も含め、全国に老朽化した原子炉はいっぱいあります。
今現在が停まっていて本当に良かったと言わざるを得ません。
今年の8月6日にも東電は、福島第一原発事故で炉心溶融(メルトダウン)した3号機について、核燃料のほぼすべてが溶け落ちた可能性が高いとする解析結果を発表しました。
これまでは溶け落ちた量を6割程度とみていました。
1号機でもすべての核燃料が溶け落ちたとみられており、廃炉のための核燃料の取り出しは、何か新しい発明か発見でもないかぎり不可能だと私は思います。
東京電力は去年の8月12日に、福島第一原子力発電所の20~50歳代の男性作業員10人に、放射性物質による身体汚染が見つかったと発表しています。
これについては、東電は、「作業員の熱中症対策のため、作業拠点の免震重要棟前で水を噴霧している。10人は移動用のバスを待っている間、この霧を浴びた可能性が高く、霧に放射性物質が混じっていた」とか言っていましたが、そんなちょっとしたレベルの問題ではないと思います。
放射性物質による身体汚染についても、あれから1年経っています。
木下聡さんが亡くなっているように、あの当時に働いていた人たちや、放射能を浴びた後に非難した人たちの中には、すでに亡くなっていたり、ものすごく体調が悪い人もたくさんいるはずです。
これが何故、表にでないのでしょうか。
東電は、誰にでも納得できる現在の原子炉の状況と、被爆した人たちの現状を伝えるべきです。
そして政府は、もう二度と原子力発電を行わないことを誓うべきです。

福島第一原発の実態

福島第一原発での作業員の人たちの話をした内容が紹介されていました。
どこまでが本当かはわかりませんが、現在は何も進んでいない状態なので、実態としてはほぼこんな感じだとは思います。

(1)作業員の人たちの話
作業員A 先日もホースの交換中に汚染水が漏れて作業員6人が被曝するトラブルがあったけど、原発汚染水漏れはほとんどが初歩的なミス。8~9割がヒューマンエラーだと思う。

作業員B 作業員の士気、相当低いからね。とにかくコロコロ人が替わるから、責任感みたいなものがない。いま一緒に作業しとる仲間の前職は新宿の居酒屋店員、プールの監視員、塾の講師、トラック運転手と、ど素人ばかり。熟練さんがおらん。

作業員C 僕はフリーターでした。原発内の前線基地である免震重要棟と隣接するプレハブ小屋に出入りする作業員たちの、備品や汚染度の管理をする仕事をやっていまして、同僚は10代後半から60代まで数十人。北海道から九州まで全国から来ていますけど、地元の福島の人が一番多いかな。
それはいいんですが、とにかく現場がいい加減。被曝講習がJヴィレッジ(福島第一原発から20kmの距離にある東電の後方拠点)で行われたんですが、ビデオを観た後にテストがあって、それをクリアすると講義を受けてまたテスト。中には居眠りしている同僚もいたんですが、全員合格。ようは形だけなんです。

作業員B 現場でも東電が作業員に直接指示を出すことは、ほとんどない。あっても「早くしろ」「時間がない」くらいやね。こないだ安倍さんが視察に来たけど、ホンマ、大迷惑でした。というのも「安倍さんに汚いところを見せられない。ガレキを片付けろ!」と東電に言われ、1週間もかけて現場の掃除をやらされたんです。掃除で作業が滞るというアホらしさ。安倍さんが見たのはほんとのイチエフ(福島第一原発)の姿やないですよ(笑)。
俺たちは何が起きてるんか、これからどないなるんか、何もわからん。毎日毎日、自分の作業が何のためになるんかもわからず、ただ言われたとおり動いとる。

作業員A だから、ゴムシートを現場に置き忘れて、それが排水口に詰まるなんて、初歩的なミスが起きる。「それぐらいで?」と思うかもしれないけど、原発ではちょっとした落とし物でも大事故につながる。構内には「ゴミを落とすな」という張り紙があちらこちらにあるくらい。私からしたら、ゴムシートを放置するなんて考えられない。原子炉からALPS(放射性物質除去装置)へ汚染水を注ぐホースにゴムのカスを詰まらせたときは、原子炉の冷却ができなくなって、温度が上昇。「何があったんだ?」と大騒ぎになった。

作業員D 汚染水タンクの配管も、どれだけ傷んでいるか想像もつかないですよね。とにかく「急げ、急げ」と急かされて作ったから、純正品ではなく、既製品を組み合わせている。配管として使っていた市販のホースがチガヤという雑草のせいで穴があくというマヌケな事故もありましたよね。

作業員C 汚染水タンクの設置当初から水漏れは懸念されていましたけど、そうした声は東電に伝わらない。東電はタンクをパトロールしていると言ってますが、1000基あるタンクを二人で2~3時間で見るわけでしょ? 長く見積もっても1基あたり30秒弱。連結部分は数万ヵ所あるわけで、とてもチェックできない。

作業員B だいたい、タンクから漏れてる汚染水なんて、雨が降ったら確認は不可能。漏れてるのか雨なのか区別がつかん。地下水に至っては、想像もつかんよね。側溝にも明らかに汚染水と思われる液体がたくさん流れとるけどパッと見、普通の水。よく「今日は何tの汚染水漏れが見つかりました」とニュースでやっとるけど、報道される数字は少なすぎる。ハンパやない量が流れてますよ。せんだって、台風が上陸したときなんて、大雨で側溝の水が溢れそうになったので、海に捨てました。流した水の放射線量を測定しなかったことを責められましたが、あえて測定せんのですよ。数値によっては犯罪になってまうから。

作業員A ただ、外部被曝に関しては、多少はマシになった。東電がサーベイマップを公開していて、高線量の場所がわかるから。毎時70~80シーベルトという超高線量のところは鉄板で覆ったうえで、張り紙をして、注意喚起している。

作業員B でも、福島第一原発には、地雷みたいに、とんでもない高線量のところがまだまだある。原子炉建屋の山側の道を車で走ると、いまもピューッと線量があがりますよ。特に2号機と3号機の間。あそこは加速して突っ切ります。3月にネズミが仮設の配電盤をかじって停電したよね? どこが停電したか、みんなわかっとったけど、線量が高いと有名なところだったから、誰も現場に行きたがらんかった。

作業員A 熟練作業員の不足は深刻。素人が10人いるより、技術を持った一人のほうが仕事は捗る。震災後、原発作業員の年間被曝量の上限が50から250ミリシーベルトに上げられたけど、福島第一原発ではそれでもすぐ、被曝限度を喰ってしまって、働けなくなる。熟練工は『高線量部隊』と呼ばれる、原発により近い現場で働くので、だいたい1~2週間で限度オーバーになってしまう。

作業員B そんなリスクをおかして、手当もピンハネされてロクにもらえんなら、イチエフを選ぶ理由はない。

作業員C 作業員には通いと泊まりがありますが、小さい下請けに入ってしまうと、16時間も拘束されることがある。長時間労働、低賃金、残業手当なしの世界。

作業員B ウチの会社はプレハブの寮に住んでいる人が多いかな。事故直後は地元の温泉街の宿やったから、ランクは相当落ちた。それにこの寮というのが、メシがまずくてね。「東電が全然、お金をかけてくれない」って食堂のオバちゃんが嘆いてた。

作業員D 作業員の装備が野田政権の収束宣言('11年12月)以降、ずいぶんと軽くなりましたよね。東電が予算を削っているからでしょう。性能のいいチャコール(活性炭)フィルター付きマスクから市販の使い捨てマスクになった。それどころか、マスクなしで作業するエリアもできた。作業員を運搬する車両で汚染物を運ぶこともあるんだから、マスクなしのエリアなんてありえないのに。

作業員B メディカルチェックは受けとる?

作業員C 3ヵ月に一度、ホールボディカウンターで内部被曝の検査をしてます。その他、契約している総合病院での定期検診が3~4ヵ月に1回ありますね。

作業員B 一緒に働いていた人で、東京の人と広島だか山口だかの人が突然死しましたわ。被曝とは関係ないって言われとるけど……。ただ、労働条件が過酷なのは間違いない。夏なんて、シャワー浴びたのかってくらい、汗をかく。

作業員D ケアの面もどんどん悪くなってます。以前は線量オーバーで離職した人間は、半年か年に1回は人間ドックを受けられたり、無料の健康相談があった。それがいまはよほど高い線量で被曝したケースじゃないと、そういうケアはない。私は最近、すごく風邪をひきやすくなった。過労のせいもあるだろうけど、すごく不安です。

作業員C 使い捨てにされてる感がありますね。作業員は原発内のプレハブで休憩したり、食事をしたりするんですが、誰がどこで何の作業をしていたか、一切知らされない。僕はそんな作業員たちが着ていたものの廃棄や処分をやるんです。ハサミを入れて脱がせるんですが、下手したらこっちも被曝する。なのに東電は放射線測定時間の短縮を求めてくるからチェックが甘くなる。一番ヒヤリとしたのは、作業中に何かが指に刺さって血が出たとき。トラブルが表沙汰になれば現場責任者も咎められるから、黙ってました。

作業員B 汚染水処理にしたって、いまはそれを最優先にしているけど、肝心の汚染水を流すホースさえ、事故当時のまま使っているから、劣化が激しく、あちらこちらから水漏れする有り様。原子炉建屋もボロボロのまま。満身創痍ですわ。3号機なんていまも、原子炉の中がどうなってるかわからないですからね。放射線量が高すぎて、ロボットも入れない。

作業員D 汚染水以外のことが後回しになっています。たとえば1号機、2号機の排気筒のヒビ。崩壊すれば毎時10シーベルトの放射性物質が放出されかねないのに、まったく報道されない。これ、1時間浴びれば死んでしまうレベルの線量です。ヘドロ化した汚染物や、原子炉建屋が水素爆発した際に飛び散った燃料棒の欠片が海に流れる可能性だってある。

作業員A 余震も怖い。地震が発生したら、免震重要棟へ逃げるようになっているけど、指示がおおざっぱ。

作業員B 地震が起きると構内放送で知らせてくれるんやけど、マスクをかぶっとるから、なかなか聞こえへん。しかも、防護服を着ていては機敏に動けない。震度4くらいの揺れでも「うわ!」ってみんなパニックになっとるもんね。ずっと原発で作業しとれば慣れるんやろうけど、人がコロコロ替わるから。そういえば、「現場で大ケガしても、ドクターヘリが来ますから」なんて東電は胸を張ってたけど、実際にケガ人が出たときにヘリが来るまで1時間以上もかかって、「救急車のほうが早いわ」と怒られとったな(笑)。

作業員C 私の所属する下請け会社には保安担当者がいて、地震の際は彼らの指示に従うよう言われています。地震が起きると、保安担当が現場を見まわって、異常の有無を確認して会社へ報告していますね。

作業員D 浜岡原発は防潮堤のかさ上げをしているけど、イチエフにはお粗末な、石を金網で包んだ仮設防潮堤しかない。順番が逆でしょう。

作業員A 東京オリンピック招致に際して、安倍首相が「状況はコントロールできている」と安全宣言したけど、あれはどこの話なんですかね。それどころか、ゼネコンが集めてくる作業員たちはいずれオリンピック関連工事に取られると思う。安倍は無責任すぎるよ。

作業員D もちろん、我々にもやらなくちゃいけないという思いはあるんですが、正直キツい。作業員の数は変わらないのに、仕事は増えていくばかり。トラブルが起きれば、その対応でまた仕事量が増える。キャパシティを超えて、みんな疲れきっています。「汚染水を処理する」ことばかり注目されていますが、現場の感覚からすると、放射性物質を取り除いた低濃度の汚染水を海に流せるように政治の力で話をつけてもらわないと意味がない。処理後の汚染水が貯まる一方で、いまでもタンク工場みたいになっている。

作業員B あとは作業員を増やすべき。特に熟練工を福島に戻さんと。

作業員D 東電は、最初は威勢のいいことを言うんです。『お金がかかってもいいから、ちゃんと収束させましょう』と。ところが、実態が伴わない。これから廃炉まで30年も40年もかかるのに、作業員の詰め所はプレハブにクッションシートを敷いた簡素なもの。汚染水用のタンクもそう、「カネがないカネがない」でも「急げ急げ」で造ったから、トラブルが絶えない。

作業員C 一部の東電の協力会社がバカみたいな安い値段で入札して、イチエフの労働価格のデフレを引き起こしたのも問題。労働者の中には借金などでヤクザに送り込まれた人や食い詰めたヤクザ本人がいる。現場はヤクザとど素人ばかりです……。

作業員B 原発に潜入したジャーナリストが「作業員の1割はヤクザ」と本で書いとったけど、たしかにヤクザ者は増えた。刺青入れた作業員にも会ったことあるわ。安く人を派遣して中抜きしたり、単純にシノギとして若い衆を派遣したりしとるんやろね。一方でヤクザに頼りでもしないと、人が集まらんのも事実。

作業員D そもそも事故対策を考えてなかった会社に事故対応をやらせることが間違い。しかもプライドは高いから「このままでは無理です」と頭を下げることもできない。汚染水はどんどん増えるのに、作業員はどんどん減っていく。それなのに子ども・被災者支援法はあっても被曝労働者の支援法はないというんだから、そのうち素人もヤクザもイチエフからいなくなってしまいますよ。

(2)燃料棒の除去
この話が本当ならあきれてしまいます。
まず、福島原発の廃炉を最優先にすべきなのに、「浜岡原発は防潮堤のかさ上げをしているけど、イチエフにはお粗末な、石を金網で包んだ仮設防潮堤しかない。順番が逆でしょう。」との作業員の指摘がありましたが、まさにその通りです。
燃料棒の除去は、やっと数日前から始めました。
下表の使用済み燃料棒の一覧表にもあるように4号機の上の方にある使用済み燃料プールには、1,535体の核燃料があります。
それを1秒間に1cmとかの気が遠くなるような遅いスピードで引き上げるので、うまくいっても1年はかかるそうです。
何故4号機からかと言うと、4号機は定期点検中だったため、原子炉内には燃料がありませんでした。
だから、水素爆発で建屋が損傷している状態ですが、それでも取り出すのは他の原子炉に比べて容易なのかも知れません。
そして、3号機が2015年度から、1・2号機は2017年度から燃料の取り出しを始める計画だそうです。
運転中だった1号機から3号機には、原子炉内には溶けた燃料があります。
これをいかに取り出すのでしょうか?
3号機を例にしてみますと、溶けた燃料を取り出す前に、まず、この燃料の状況を把握する必要があります。
今、原子炉からは、水が漏れている状態なんですが、どこから漏れているのかわからないので、その水漏れの場所を確認して、水を止め、格納容器を全て水で満たす必要があります。
その後、燃料の形状や位置を具体的に確認し、取り出すという作業を始めると思うのですが、ここで問題となるのが、作業を行う場所が、非常に放射線量が高く、人が入ることが現在でもできていません。
そのため、新たな技術開発が必要となります。
簡単に、30~40年後には廃炉を完了する予定というふうに書かれてはいますが、あくまでも新たな技術開発が前程だと思います。

使用済み燃料棒の一覧表
号機燃料の種類使用済み燃料棒未使用燃料棒燃料棒合計燃料総量
(予測)
1号機ウラン292本100本392本約129t
2号機ウラン587本28本615本約203t
3号機MOX(プルトニウム混合)514本52本566本約186t
4号機ウラン1331本204本1535本約507t
5号機ウラン946本48本994本約328t
6号機ウラン876本64本940本約310t
共用プール混合 MOX有り6375本不明6375本 
約2103t
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