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段階揚水試験と限界揚水量

井戸を掘って、その井戸にどれくらいの揚水量があるかを調べる試験として段階揚水試験があります。
 
段階揚水試験の方法としては、各段階の揚水量をほぼ均等に5~7段階以上に分け、各段階で水位が安定するまで継続して揚水します。
段階揚水試験は、揚水量を順じ上げていく段階上昇と、最大揚水量から揚水量を順じ下げていく段階下降がありますが、通常は段階上昇で実施しています。
段階上昇で実施しますと、最初の1~3段階くらいまでは、揚水量が少ないので水位の安定も早く、揚水時間も30分程度ですが、揚水量が多くなるにしたがい徐々に水位の安定に時間がかかるようになります。
段階揚水試験は井戸の生産能力(揚水能力)を見る試験であると言えます。
段階揚水試験のデータ整理としては、横軸に揚水量、縦軸に各段階の水位降下量をプロットします。
揚水量と水位降下が比例していれば、このグラフは45°程度の右上がり直線になりますが、たいていの場合この直線は揚水量の増加にともないだんだん立っていくようになります。
その際、グラフで変曲点(折れ点)が出てきます。
水道施設設計指針(日本水道協会)では45°を越える変曲点を限界揚水量としています。
つまり、限界揚水量とは、この井戸で揚水するのはこれが限界という数値です。
但し、限界揚水量とは、ここまでが実際に揚水していい数値とは違い、実際にその井戸で揚水してよい数値としては適正揚水量があります。
適正揚水量は、限界揚水量の60~80%としています。
つまり、100t/dayの限界揚水量だと実際に揚水出来るのは60~80t/dayということになります。
最近では井戸能力の減退を考慮して、60~70%程度に抑えているケースが多く見られます。

貯留係数について

地下にどれくらいの水があるかを調べる際に、帯水層の性状、すなわち地下水の貯留層としての透水性や資源量を評価する数値として、帯水層定数(または帯水層係数と呼ばれることもある)があります。
これは、主に透水量係数と貯留係数の2つで評価しています。
この中の透水量係数は、帯水層厚との関係で透水係数が算出されるので、広く用いられていますが、貯留係数は水を学んできた私にとってもまだまだうまく利用できていません。

(1)水の貯水能力のある地層
地下水の貯水についてはまだまだ不明の部分が多いのですが、調査ボーリングを実施することによって地下の地質や土質、またそれに伴う岩石を調べることはできます。
だけど、これだけでは地下貯留量を推定することは困難です。
大雑把な推定の仕方として、水の貯水能力のある地層は、砂岩・礫・砂・粘土です。
地層の貯水能力と保水率から計算した水湧出量は砂岩の場合は容積比で1~5%です。
礫や砂の場合は10%程度です。
粘土は保水能力としてはあるのですが、不透水性であり保水率がゼロなので、湧水能力は実質的にはゼロとなっています。

(2)貯留係数について
地下水がどれくらい貯留しているかを数値で表したのが貯留係数(Storage coefficient)です。
貯留係数とは、帯水層の単位水平断面において、地下水位(または被圧水頭)が単位量変化により生じる出入水量(排出または注入)と定義されています。
これは、不圧帯水層と被圧帯水層では意味が異なり、
①自由(不圧)地下水の場合
帯水層は重力によるものであり、単位の水頭変化により生じる不圧帯水層の単位体積当たりの水の出入量、すなわち単位体積の土の貯留水の変化量を表わします。
物理的な意味としては、有効空隙率あるいは比湧水量になります。
②被圧地下水の場合
帯水層が弾性体に近いとされており、単位の水頭変化によって生じる被圧帯水層の層厚変化量、すなわち圧縮率を示します。
物理的な意味としては、圧縮係数とか開放係数とかになります。
つまり、自由(不圧)地下水の場合は、排出された水量の分だけ、水で飽和されない空間がありますが、 被圧地下水の場合は、かならずしもこうした空間ができるわけではありません。

(3)揚水試験と貯留係数
貯留係数は、揚水試験で算出することができます。
一般的に用いられているタイス法・ヤコブ法・チョウ法で算定式があります。(回復法はありません)
貯留係数とは、この揚水試験で汲み上げられた総水量を帯水層中にできる水位低下体積で割ったものです。
帯水層は「水と砂や礫など」から構成されており、そこから揚水される水量は砂や礫の体積分だけ少ないから、比である貯留係数は、ほとんどの場合は1以上にはなりません。
1以上になった場合は、大きな漏水や絞り出しなどによって多量の水が帯水層以外から補給されていることを示しています。
自由(不圧)地下水の場合は帯水層の有効空隙率に等しくなりますが、被圧地下水では水位低下体積にあたるものが水圧低下量になるので不圧地下水の場合の数分の一ないし数十分の一、もしくは数千分の一にまで小さくなります。
すなわち、貯留係数(S)の値としては、
①自由(不圧)地下水の場合
S=0.01~0.35
②被圧地下水の場合
S=1×10-2 ~1×10-3
程度のオーダーとなっています。
この揚水試験と貯留係数との数値の信頼性ですが、揚水試験は、揚水井と離れた箇所に設置した観測井の複数孔の井戸で実施するものが一般的ですが、深井戸の場合には、費用・時間の制限から揚水と観測を単孔で行う場合がほとんどになります。
この際、井戸の構造によって生じる井戸損失の影響があり、透水量係数は小さめに、貯留係数は大きめに算出されることになります。

電気検層について

井戸の掘削が終わって、どれくらいの水量があるのかを測定する試験として電気検層があります。
比抵抗検層とも呼ばれています。
ボーリング孔内の地層比抵抗値を、連続的に測定する方法で、比抵抗値が数値として出るだけで実際の水量はわかりません。
あくまでも裸孔で測定し、ストレーナ位置(取水する範囲)を決めるだけのもので、実際の水量を測定するのは揚水試験で行います。
でも、ストレーナ位置を間違うと出る井戸も出なくなってしまいますのでとても重要な試験です。 
このように、土(岩盤)の比抵抗値は、地質状況(粒度・固結度など)、帯水層、及び透水性の判定に有効な物性値であり、単位断面として1m×1m÷1mの、長さ当たりの抵抗で、単位はΩ×㎡/m=Ω-mで表します。

測定は下の図の電気検層概念図のように、地表にN極を設置、ゾンデ上部電極より15m地点の、アーマード ケーブルをB極、孔中に降ろす測定電極A、Mの計4個の電極で行います。
A極付近が均質な比抵抗の時、AB極に電流を流すとA極付近の等電位面は、A極を中心とする球面状を作ります。
これよりN極を基準として、M極で測定される電位は、A極よりAM深地層中の電位と等値となり、M1,M2を同時に測定することにより孔壁付近、及び地層中のそれぞれの電位が測定できるという仕組みです。

測定値より、次式にで計算を行い見掛け比抵抗(ρa)を求めます。
ρa=4π×AM×R 
AM=AM間の長さ(AM1=16インチ、AM2=64インチ) 
R =V/I V=MN間の電位差・I=AB間の通電電流

一応の目安ですが粘土やシルトなどの非透水層や難透水層の見掛けの比抵抗値は 30~100Ω・mです。
つまり、100Ω・mの比抵抗値の場合は、水量が期待できないと断定してもいい数値です。
礫層は150~500Ω・m
砂礫は150~300Ω・m
砂は30~200Ω・m
程度の数値です。

ただし、電気検層はあくまでも大地の比抵抗を測っているのであって、水が多いか少ないかを測っているのでないことではありません。
したがって、電気検層の結果、良い帯水層だと思われたところでも、水が出ないところもあります。
だから、おおまかな目安値と考えたほうが良いと思います。

 


























揚水量の算定式

井戸を掘削する場合は、ほとんどの場合がぶっつけ本番なので、あらかじめどれだけの水量(揚水量)が得られるのかは解らないのですが、例えば、
①宅地での基礎調査のために行った地質調査のボーリング孔を利用する。
②小さい径での揚水孔を掘る。
③近所の井戸がある場合は、その井戸を利用させてもらう。
このような場合は、揚水試験を行うことができます。
また、近くで揚水試験を行ったデータがある場合はそれも利用できます。
そして、この孔のデータから、新しく掘る井戸の揚水量を求めることができます。

ただし、下記のような適応条件を考慮しなければいけません。
① 井戸の深さと水文地質状況や帯水層構造を知こと。
② 帯水層別の地下水の存在状況(不圧地下水か披圧地下水か、地下水位分布) を知ること。
③ 調査された井戸の試験方法・内容・井戸構造を把握すること。 
④ 周辺の地下水利用状況と帯水層構造(周辺井戸の利用場所・揚水量・深さ・スクリーンの深度)を把握すること。 

水理公式集(昭和46年改訂版)に載っている公式(チームの式)を紹介します。
最も単純な場合として、不圧地下水を対象とした揚水井戸が不透水層にまで達している場合を考えると、揚水量は次式により求められます。
Q={πk(H2-h2)}/{2.3log10(R/r)}
Q:揚水量(m3/min)
k:地質の透水係数(m/min)
H:不透水層からの水深(m;静水時)
h:不透水層からの水深(m;揚水時)
R:井戸の影響半径(m)
r:井戸の半径(m)

さく井技能士について

さく井技能士を紹介します。
鑿井技能士(さくせいぎのうし)とは、国家資格である技能検定制度の一種で、都道府県知事(問題作成等は中央職業能力開発協会、試験の実施等は都道府県職業能力開発協会)が実施する、さく井に関する学科及び実技試験に合格した者を言います。
なお職業能力開発促進法によると、さく井技能士資格を持っていないものがさく井技能士と称することは禁じられています。
さく井の中では、パーカッション式さく井工事作業とロータリー式さく井工事作業に分かれています。
パーカッション式さく井工事作業、ロータリー式さく井工事作業ともに1級、2級があります。
試験内容は次の通りです。

(1)パーカッション式さく井工事作業
1)1級
①要素試験:試験時間=20分
・地層の鑑定及びコンダクター管尻の止め位置の判定
・ワイヤロープの耐力の判定
・泥水サンプル及び充てん砂利の選定について
②ペーパーテスト:試験時間=1時間30分
・掘削地質と電気検層
・ビット抑留事故への対処方法
・揚水試験等について
2)2級
①要素試験:試験時間=25分
・地層の鑑定及びコンダクター管尻の止め位置の判定
・ワイヤロープの耐力の判定
・泥水サンプル及び充てん砂利の選定について
②ペーパーテスト:試験時間=1時間30分
・掘削について
・ビット抑留事故への対処方法
・揚水試験等について

(2)ロータリー式さく井工事作業
1)1級
①要素試験:試験時間=24分
・泥水の比重等の測定
・地層の鑑定及びコンダクター管尻の止め位置の判定
・泥水サンプル及び充てん砂利の選定について
②ペーパーテスト:試験時間=1時間30分
・掘削地質と電気検層
・事故回復用工具の使用方法
・揚水試験等について
2)2級
①要素試験:試験時間=30分
・泥水の比重等の測定
・地層の鑑定及びコンダクター管の尻の止め位置の判定
・泥水サンプル及び充てん砂利の選定について
②ペーパーテスト:試験時間=1時間30分
・掘削について
・事故回復用工具の使用方法
・揚水試験等について

(3)さく井の目的と試験日
「さく井」は、漢字では「鑿井」と書きます。
“鑿”は「うがつ」という意味です。
さく井技能士の役割は、水井戸や観測のための井戸、温泉井、石油井、天然ガス井といったさまざまな井戸を掘ることです。
さく井工事は人力による施工法と、さく井機によるものがありますが、検定の対象は水井戸、観測井、温泉井等のさく井機による作業で、これらの知識、技能の習得がさく井技能士の職務になります。
昭和57年度より開始されています。
試験は、各県の職業能力開発協会がやっていますが、愛媛県ではやっていません。
また、さく井技能士の試験自体年に1回のみです。
一番近い試験願書受付は、9月頃です。
試験日程は、実技試験・11月~2月、学科試験・1月~2月です。

問い合わせ先 中央職業能力開発協会
〒112-8503
東京都文京区小石川1-4-1 住友不動産後楽園ビル
TEL 03-6758-2861
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