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道路山側の擁壁に変状

擁壁の変状の写真です。

P8190009.jpg
道路の山側擁壁に変状が見られます。
継ぎ目の部分の上側が3~10cm程度押し出されています。

P8190010.jpg
こうして下から見ると、上側が押し出されているのがよくわかります。

P8190012.jpg
擁壁の変状は、ここまで続いていました。
約30m程度は続いていました。

羅臼町の海岸での隆起

北海道・知床半島の羅臼町の海岸で、地面が幅約300mにわたり、高さが約10~15m盛り上がっているのが見つかりました。

近くの水産加工業の人の話では、「元従業員が24日午前4時ごろ、地面が10cmほど盛り上がっているのを見つけた。午後4時ごろ見たら、高さが15mほどになっていた。こんな現象は初めてだ」とのことです。
10cmがたった半日で15mです。
にわかには信じがたい話です。
釧路地方気象台によると、羅臼町付近で地震や火山活動は観測されていません。
道と町、そして地元の漁協関係者ら約10人が、海岸線の崖崩れや隆起した地面の亀裂を調べました。
新たな陸地には、海藻やウニなどの海洋生物が多数付着し、崖崩れなどではなく、「海底の隆起」だと判断したそうです。
ただし、町によると、隆起した地面の裏山で、町道が幅20~30mにわたって陥没しているのも見つけたそうです。
現地を訪れた北見工業大の助教(応用地質学)である山崎新太郎さんは、「雪解けにより裏山で地すべりが起こり、海底の下まで土が潜り込み、海底の地面が押し上げられたと考えられる」との見解でした。
この付近の地形図がないのではっきりとはわかりませんが、もし地すべりなら、陥没箇所の土砂が移動し、海岸の露頭の硬質岩盤の下を潜るようにして盛り上がったのだと思います。
それにしても15mも隆起するのは聞いたことがないですね。


写真右上の赤茶色が隆起したところです。

地すべり地帯での方格枠土留工

愛媛県の地すべり地帯では、方格枠土留工をよく見かけます。

方格枠土留工は、鉄筋コンクリートや木材等を使って枠を組み立て、その枠内に、栗石や玉石等を充填した構造です。
井桁ブロックとも呼ばれ、フレキシブルな構造です。
底幅は3,50m、天端幅は2.25m程度の台形構造で、重量で地すべりを抑止するとともに、表面水や湧水等が排出されやすい構造になっています。
地すべり地帯だけでなく、軟弱地盤でも施工が可能です。

IMGP0512.jpg
道路の尾根部に施工されていました。
愛媛県では大規模な方格枠土留工です。

土地の危険度と防災対策

台風の頻度が多くなったり、集中豪雨やゲリラ豪雨など、近年は災害と隣り合わせに生きています。
ここで必要なのは斜面防災ですが、まず土地についての知識を知ることが大切です。

(1)住んでいる土地の危険度
1)昔の地図を見る
世界地図でも、私が学んだ40年前はアラル海やチャド湖は、はっきりと大きく載っていました。
今の現状と昔が違うことは古い地図は教えてくれます。
人口増加による大規模な住宅造成などで、元の地形がわからないほど地形が変わってしまうことがあります。
特に谷を、埋め立てて出来たような造成地では斜面崩壊が起こりやすくなります。
昔の地図でどこが谷だったのかを調べておくとどこが危険なのか分かるし、新しい家を買うときの参考にもなります。

2)今の地図を見る
今の地図でもいろいろ教えてくれます。
地図でアーチ状の崖や等高線の乱れ、途中で消えてしまっている谷などが家の近くにないか調べます。
この地形があるところは地すべりの起こる可能性が高いと思われます。
地すべりには、
①上で崩れた斜面が下へ押してくるタイプ
②下で崩れたために上の斜面がささえを失って崩れるタイプ
の二種類があるので、家の上だけでなく下の斜面も見る必要があります。

3)地名と斜面崩壊
昔、その斜面崩壊があった土地ではその土地の歴史が残されていることがあります。
それは、その地区における地名だけで斜面崩壊の関係がわかると言われています。
①土砂の動きを表した地名
押し(おし),破(やぶり),出(で,だし),落(おち,おとし)
②崩壊地の形を表した地名
崩(くずれ),欠(かけ),割(わり)
③石がゴロゴロしている荒廃地をあらわした地名
権路(ごうろ)
④地形からつけられた地名
段(だん),棚(たな)
このような地名は、昔地すべりや山崩れがあった場所かも知れません。
そして、これから起こる危険性もはらんでいます。

(2)斜面崩壊と場所
1)谷の出口
土石流は直進性が強いので、川の流路に沿って進んでいくとは限りません。
谷の出口は、近くに川がなくても気をつけなければならない場所です。 

2)昔から人がすんでいるところ
昔からの住民は、その地域のことをよく知っていて、洪水の被害を受けやすいところには家を建てているわけではありません。
少なくとも、どこが水に浸かりやすいかということは経験的に知っていたと思われます。
だけど、斜面崩壊は頻繁には起きないし、一度起きた所は対策を施したり安定勾配になっていたりするので、斜面はどこが危険かと言うことを経験的に判断することは難しいことだと思います。
東北の大地震でも、津波被害はもとより、多くの斜面が崩壊し、大切な生命が失われました。
したがって、「昔から人がすんでいるところは安全」とは限らないと思います。

3)崩壊しやすい岩石
花崗岩・蛇紋岩・凝灰岩には特に気をつける必要があります。
この三つの岩石は風化しやすく、中でも花崗岩は堅い岩石のように見えますが、地下深くまで風化していることが多く、特に風化の著しいものは「真砂土」と呼んで、風化岩ではありますが、別に扱っています。
愛媛県でも、松山市の北側半分は高縄山の山麓斜面にまで開発が進んでいます。
頑丈な地盤見えても実は内部までぼろぼろということもあるので気をつける必要があります。
但し、他の岩盤が安全なわけではありません。
地すべりに関しては、緑色片岩・黒色片岩などの結晶片岩や、砂岩・泥岩などは層理面が顕著で、特に流れ盤になっているところは危険です。
地すべりを助長する粘土を挟んでいる所もあります。

(3)災害の兆候
1)地すべりの前兆
①地鳴り、山鳴りがする
②池や沼の水位が急変する
 
③井戸水が濁る    
④湧水が出なくなる
⑤湧水量が増える
⑥落石が発生する
⑦斜面がふくらんでいる
          
⑧地面が震動する
⑨樹木が傾く
               
⑩亀裂や段差が発生する

2)斜面崩壊(崖崩れ)の前兆
①地鳴りがする
②崖の表面を水が流れている
③小石がぱらぱらと落ちてくる
④崖の表面から水が湧き出ている
⑤湧水量が増加している
⑥湧水が濁っている
⑦湧水が停止する
⑧斜面がふくらんでいる

3)土石流の前兆
①地鳴りがする
②土臭いにおいがする
③渓流の水位が急激に減る
④渓流内で石がぶつかり合う音が聞こえる
⑤渓流の水が異常に濁っている
⑥流木が発生する

(4)人間が災害を防ぐ
1)工事
防災する場合に一番に思いつくのは工事だと思います。
典型的なのは、地すべりや崖崩れならアンカー工や抑止杭工、及びコンクリート構造物などで、土石流なら砂防工事(川をコンクリートで固め、所々に砂防ダムを築いていくもの)です。
このような対策工事は効果があるのは確かです。

2)森
日本の山は、杉や檜により針葉樹の森がほとんどで、保水力が不足し、大雨が降ると急激な濁流となって河川を一気に下っていきます。
これに対し、雑木に覆われた広葉樹の森は「緑のダム」とも呼ばれています。
落とした枝や落ち葉などが形成した腐植と土が混ざり合ってできた腐植土は、スポンジのように水を蓄えてくれます。
このことで大雨のときに降った水もたっぷり蓄え、ゆっくり流れ出してくれます。
このことにより川の水かさが増えることはなく、土石流などが起こりにくくなります。
自然の山を生かし、また自然の山に戻すことが大切です。

3)災害情報
もし災害が起こってしまったばあいに被害を最小に食い止めるために、行政機関や住民に早く状況を伝えなければなりません。
このための体制を整えておくことも大切です。
私たちは、巨大なダムや堤防は安全で壊れることがないと思いがちですが、限界を超える自然災害が起こったときには耐え切れないことが近年の災害でも実証されています。
トンネルの中は、昔は安全と言われたこともありましたが、とんでもない人災事故も発生しました。
だから、絶対に安全な場所はと言うことはありえないので、迅速な情報が必要になります。

日本の土砂災害

日本は、島国ですが、国土の約73%を山地が占める山国でもあります。
そのために自然災害が多く、特に土砂災害の発生は顕著です。
ひとくくりに土砂災害と言っても、「崖崩れ」「土石流」「地すべり」と災害形態が違います。
では、土砂災害がどのようにして発生するのか、その現象や発生原因について調べてみました。

(1)崖崩れ
①現象
崖崩れ(がけくずれ rockfall)とは、斜面崩壊の一種で、斜面上の土砂や岩塊が安定性を失って崩落する現象を言います。
「土石流」や「地すべり」に比べると崩壊規模は小さいのですが、崩れ落ちるスピードが大変速いために、人家の近くなどで起きるとたくさんの人が逃げ遅れて犠牲者が出ます。
一般的には、明瞭なすべり面を持つ崩壊「地すべり」や、人工的に造成された斜面で発生する崖崩れは対象外として扱われています。
②発生原因
一般に集中豪雨による土塊の不安定化や岩塊の風化に伴う緊縛力の低下に伴い発生するとされており、大雨が降り続いて地中に水がしみこむと土の抵抗力が弱くなり、更に雨が降り続くことにより急激に斜面が崩れ落ちてしまいます。
③対策
公共工事としては、
・国土交通省の補助事業である急傾斜地崩壊対策事業など
・農林水産省の補助事業である民有林治山事業
・中小規模の崩壊に対しては市町村の単独事業
が対策として講じられています。
具体的な工事としては
・待ち受け式擁壁などのコンクリート構造物
・法面の整形及び法枠工
・落石防止網
・落石防止柵
・モルタルの吹き付け工
・鉄筋挿入工
などの工事などが行われています。

(2)土石流
①現象
土石流(どせきりゅう debris flow)とは、土砂が水(雨水や地下水)と混合して、河川・渓流などを流下する現象のことで、山津波(やまつなみ)とも言います。
日本の法令上では、「山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象」と定義されています(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律2条)。
つまり、「崖崩れ」が渓流の水と一体になった大規模なものと考えることができます。
多量の岩石や土砂が流水によって運ばれることによって起きるので、特に大雨のあとに起きやすく、川底や山腹の斜面の地盤を削って雪だるまのように膨らみながら高速で下流を襲うので住宅や田畑が壊滅状態になってしまいます。
流れてきたものが土砂の割合が多ければ土石流、水分の割合が多ければ鉄砲水と区別されています。
②発生原因
「土石流」における発生のメカニズムは大きく次の3つに区分されます。
・渓流内に堆積している不安定な土砂が、集中豪雨等による異常な出水のはたらきで流動化し、「土石流」となる場合
・集中豪雨、あるいはその他の自然現象が原因となり発生した山腹崩壊の崩壊土砂が、多量の湧水や表流水を得て流動化し、渓流内に流れ込みそのまま「土石流」化する場合
・集中豪雨、あるいはその他の自然現象が原因となり、地すべりや山腹崩壊が発生した際、その崩壊土砂により河川が一時的に閉塞されて天然ダムを形成し、その後、湛水に伴う水位上昇により、それが決壊して「土石流」化する場合
これ以外には、火山の噴火に伴う融雪、火山湖の決壊、地震による山体崩壊などに起因することもあると言われています。
③対策
・砂防事業による砂防ダム、治山事業による治山ダムなどの発生源対策、流下抑止対策
・雨量観測及びデータ送信システムの整備
などがありますが、「土石流」の発生も「崖崩れ」と同様に突発的なので、地域住民の伝達等の避難態勢の構築が重要です。

(3)地すべり
①現象
地すべり(じすべり landslide)とは、斜面を形成する地塊(土砂・岩塊)が、地下の地層中に円弧状または平面状に形成される地質的不連続面(これをすべり面と言っています)、を境にして、すべり面上の地塊が移動する現象です。
比較的なだらかな斜面で起きやすく、大雨の降った後などに斜面の一部あるいは全体が、滑りやすい地層などを滑り面にしてゆっくりと滑り落ちる現象です。
非常に広い範囲に渡って大きな被害をもたらし、一旦起きると斜面の上の家屋や樹木が倒壊したり田畑が壊滅的な打撃を受けてしまいます。
一般に、土砂災害においては、すべり面を持たない単純な「崖崩れ」と混同されることが多いのですが、すべり面を境に移動する特徴から、「崖崩れ」とは明確に区別されています。
日本の地すべり等防止法では「地すべり」は「土地の一部が地下水等に起因してすべる現象又はこれに伴って移動する現象」と定義されています(地すべり等防止法2条1項)。
漢字で表記する際に「地滑り」や「地辿り」と書かれる場合がありますが、正しくは「地辷り」です。
「辷」が常用漢字ではないため、日本地すべり学会では「地すべり」と表記しています。
法令上は「地すべり」と表記している場合(地すべり等防止法)と「地滑り」と表記している場合(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)とがあります。
②発生原因
「地すべり」が発生する原因としては、素因と誘因にわけることができます。
素因とは「地すべり」が発生する場所の地形や地質,地質構造,水文地質条件などが「地すべり」が発生しやすい状態にあることです。
・斜面の傾斜
・遷急線との関係
・移動土塊の地質
・地層の走向・傾斜
・断層・破砕帯
・変質
・貫入岩との関係
・地下水の集まりやすさ
などです。
次に誘因ですが、これは自然的誘因と人為的誘因とに分かれます。
自然的誘因としては
・降雨や融雪に伴う地下水圧の上昇
・地すべり末端の土砂が小規模崩壊や河川による洗掘などによって喪失することによるもの
・積雪荷重
・地震
によるものなど様々です。
人為的誘因としては
・斜面の切土や盛土
・トンネル掘削
・ダム湛水
によるものなどです。
つまり、「地すべり」は、もともと「地すべり」が発生する規制条件などの素因を持つ斜面に、誘因としての何らかの作用が生じたことによって起こるものです。
「地すべり」が発生する直前には、「地すべり」周辺部に小さな崩壊が発生するとか、湧水が濁るなどの現象が発生することがあります。
豪雨後の数日間や融雪時にそのような現象が発生した場合は注意が必要です。
③対策
地すべり地塊の移動が顕著に認められた場合には、災害からの安全を確保する防止施設として対策工事が必要になります。
対策工法は、個別に地すべり機構、保全対象物、工法の経済性等を勘案した抑制工と抑止工とに大別されています。
抑制工は、地すべりの活動を活発化させる要因である地下水を、
・集水井工
・排水トンネル工
・水抜ボーリング工
などによって地すべり区域から排出して地下水位を下げ、さらに雨水などが浸透しにくいように水路を整備するなど、移動土塊類の推進力を低減させるための自然条件を変化させる工法です。
また、崩れた斜面をブルーシートで覆い、雨水の浸透を防ぐ応急処置も抑制工の一つです。
土砂掘削が可能な場合は、地すべりの上部の土砂を取り除いて荷重を減らしたり、逆に末端部では盛土をして地塊の重量バランスを安定させ、移動を押さえ込むこともあります。
これは、後に対策される抑止工をスムーズに行うことを可能にするための応急処置と位置づけられています。
抑止工は、
・杭工....コンクリート杭や鋼管杭などを移動地塊に打ち込み、すべり面より下の堅固な地盤に固定することで地塊の移動を止める工法
・アンカー工....すべり面下の地盤にワイヤーの束等を固定し、それを引っ張って地表面に定着させ、ワイヤーの張力で移動地塊を締め付け又は待ち受けて引き止める工法
・杭頭アンカー工....杭工とアンカー工の併用工法で、杭工の頭部をアンカーで固定することで、変位を少量に抑える工法
などが多く採用されています。
一般には、抑制工によって地すべりの運動が概ね沈静化してから着工し、これを恒久的な対策工事として定着させることを目的として施行されます。
抑制工のみで地すべり滑動が沈静化したと推察される場合は、長期間に亘って動態観測等を実施した総合的な効果判定により、抑止工施工の有無が決定されます。
愛媛県の場合には、土砂災害として定義される浅い「地すべり」ではなく、すべり面が岩盤内の深い所にあることが多く、したがって地すべり土塊の量が多く、「地すべり」を恒久的に止めるような対策工はありません。
地すべり地帯では抑制工を行いつつ、孔内傾斜計などの計測を同時に行って様子を見ているのが現状です。


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