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水管式地盤傾斜計について

地すべり地帯などでよく用いられている水管式地盤傾斜計について調べてみました。

水管式地盤傾斜計については、地盤工学会基準「水管式地盤傾斜計を用いた地表面の傾斜変動量測定方法」で詳しく説明していますが、地表面の傾斜の経時的変動量を求めることを目的としており、用途としては、
・地すべり調査
・コンクリート構造物の現地計測
・鉄道路盤に対する近隣施工の影響などの管理
によく用いられています。
気泡管で把握される傾斜変動量を合成して、地表面の傾斜変動量を測定するだけなので、取り扱いが簡単です。
経済的にも優れています。

(1)測定用具
水管式地盤傾斜計(以下、傾斜計という)三脚(主脚および左右両支脚)によって支えられた気泡管台の上に、主気泡管と副気泡管が取り付けられ、三脚の上下によって気泡管台の傾斜が調整できる構造のものが必要となります。
①主脚回転分度板が固定され、主脚を回転させることによって、主気泡管方向の傾斜角が回転分度板の読みによって換算できる構造のもの
②支脚気泡管台を主気泡管の直角方向に、水平に調整するためのもの
③主気泡管気泡管と直角になるように取り付けられ、2mm以上の感覚で目盛が刻まれて1目盛の傾斜角が12秒以下のもの
④回転分度板測定範囲が±1度以上で、1週360目盛が刻まれ、1目盛、1目盛の傾斜角が2秒以下のもの
であり、傾斜計は、使用前には必ず校正を行い、校正係数(分度板1目盛の傾斜角度)を求めておく必要があります。
また、気泡管内には、外気温が-10℃の状態でも凍結せず、また温度変化による粘性の変化が小さい液体を用いる必要があります。

(2)測定方法
1)測定用具の設置
①設置場所・測定値に対して外的な影響の少ない地点を選定します。
②設置台・表土を掘削し、木杭または等辺山形鋼などを5本以上打ち込み、頭部にコンクリートを打設し、表面を水平に仕上げて設置台とします。
③傾斜計を設置します。
傾斜計は、設置台の上に2基を互いに直角に設置し、主気泡管方向は原則としてそれぞれN-SおよびE-W方向とし、主脚をNおよびS側とします。
尚、傾斜計は、設置台のコンクリート打ち込みから原則として1週間以上経過後に設置し、設置台表面に張ったガラス板、または主脚および支脚の位置に取り付けた台座に設置します。
また、傾斜計を保護するため、設置台の上に保護箱を設けます。
2)測定方法
①設置時の測定
支脚を回転させ、副気泡管の気泡が目盛の中止になるように調整し、その後主脚を回転させて主気泡管の気泡が目盛の中心になるように調整し、調整したときの回転分度板の目盛を読み取り、初期値とします。
②測定
傾斜方向の確認のため、主気泡管の気泡の位置を記録した後主脚を回転し、気泡が中心になるように調整し、調整したときの主脚の回転方向と回転分度板の目盛を読み取ります。
その時の測定時間間隔は一定間隔を原則とします。

(3)注意事項
①明らかに不動点と思われる箇所にも設置して比較観測することが望ましいようです。
②設置台については、設置台の例を下図に示しましたが、基礎杭として木杭を使用する場合には、長さ1.0mおよび末口9cm以上のものを杭の頭部が地表面約20cmになるように打ち込みます。
ただし、所定の長さを打ち込む前に基礎杭が基岩に達し、打ち込みが不可能な場合には、杭の頭部が地表面下約20cmになるように切断します。
また、地表面が岩盤で、基礎杭を打ち込むのが不可能な場合には、基礎杭を使用せずに設定台を作製します。。
この時の設置台は、長さ30cm以上、一片が50cm以上の正方形の場所打ちコンクリートとし、その3分の2程度を地中に埋め込みます。
③護箱は内部の通風と排水に対処できる構造とします。
④測定時には、脚軸のずれ、気泡管のひび割れの有無および副気泡管の気泡の位置の点検を行います。
また、前回の分度板の読み値と測定時の分度板の目盛が一致しているか確認し、相違があればその原因を調べます。
⑤測定時間間隔は、地盤の変動状況や現場周辺状況に応じて判断します。

設置台の例
水管式地盤傾斜計の設置台の一般図

道路山側の擁壁に変状

擁壁の変状の写真です。

P8190009.jpg
道路の山側擁壁に変状が見られます。
継ぎ目の部分の上側が3~10cm程度押し出されています。

P8190010.jpg
こうして下から見ると、上側が押し出されているのがよくわかります。

P8190012.jpg
擁壁の変状は、ここまで続いていました。
約30m程度は続いていました。

羅臼町の海岸での隆起

北海道・知床半島の羅臼町の海岸で、地面が幅約300mにわたり、高さが約10~15m盛り上がっているのが見つかりました。

近くの水産加工業の人の話では、「元従業員が24日午前4時ごろ、地面が10cmほど盛り上がっているのを見つけた。午後4時ごろ見たら、高さが15mほどになっていた。こんな現象は初めてだ」とのことです。
10cmがたった半日で15mです。
にわかには信じがたい話です。
釧路地方気象台によると、羅臼町付近で地震や火山活動は観測されていません。
道と町、そして地元の漁協関係者ら約10人が、海岸線の崖崩れや隆起した地面の亀裂を調べました。
新たな陸地には、海藻やウニなどの海洋生物が多数付着し、崖崩れなどではなく、「海底の隆起」だと判断したそうです。
ただし、町によると、隆起した地面の裏山で、町道が幅20~30mにわたって陥没しているのも見つけたそうです。
現地を訪れた北見工業大の助教(応用地質学)である山崎新太郎さんは、「雪解けにより裏山で地すべりが起こり、海底の下まで土が潜り込み、海底の地面が押し上げられたと考えられる」との見解でした。
この付近の地形図がないのではっきりとはわかりませんが、もし地すべりなら、陥没箇所の土砂が移動し、海岸の露頭の硬質岩盤の下を潜るようにして盛り上がったのだと思います。
それにしても15mも隆起するのは聞いたことがないですね。


写真右上の赤茶色が隆起したところです。

地すべり地帯での方格枠土留工

愛媛県の地すべり地帯では、方格枠土留工をよく見かけます。

方格枠土留工は、鉄筋コンクリートや木材等を使って枠を組み立て、その枠内に、栗石や玉石等を充填した構造です。
井桁ブロックとも呼ばれ、フレキシブルな構造です。
底幅は3,50m、天端幅は2.25m程度の台形構造で、重量で地すべりを抑止するとともに、表面水や湧水等が排出されやすい構造になっています。
地すべり地帯だけでなく、軟弱地盤でも施工が可能です。

IMGP0512.jpg
道路の尾根部に施工されていました。
愛媛県では大規模な方格枠土留工です。

土地の危険度と防災対策

台風の頻度が多くなったり、集中豪雨やゲリラ豪雨など、近年は災害と隣り合わせに生きています。
ここで必要なのは斜面防災ですが、まず土地についての知識を知ることが大切です。

(1)住んでいる土地の危険度
1)昔の地図を見る
世界地図でも、私が学んだ40年前はアラル海やチャド湖は、はっきりと大きく載っていました。
今の現状と昔が違うことは古い地図は教えてくれます。
人口増加による大規模な住宅造成などで、元の地形がわからないほど地形が変わってしまうことがあります。
特に谷を、埋め立てて出来たような造成地では斜面崩壊が起こりやすくなります。
昔の地図でどこが谷だったのかを調べておくとどこが危険なのか分かるし、新しい家を買うときの参考にもなります。

2)今の地図を見る
今の地図でもいろいろ教えてくれます。
地図でアーチ状の崖や等高線の乱れ、途中で消えてしまっている谷などが家の近くにないか調べます。
この地形があるところは地すべりの起こる可能性が高いと思われます。
地すべりには、
①上で崩れた斜面が下へ押してくるタイプ
②下で崩れたために上の斜面がささえを失って崩れるタイプ
の二種類があるので、家の上だけでなく下の斜面も見る必要があります。

3)地名と斜面崩壊
昔、その斜面崩壊があった土地ではその土地の歴史が残されていることがあります。
それは、その地区における地名だけで斜面崩壊の関係がわかると言われています。
①土砂の動きを表した地名
押し(おし),破(やぶり),出(で,だし),落(おち,おとし)
②崩壊地の形を表した地名
崩(くずれ),欠(かけ),割(わり)
③石がゴロゴロしている荒廃地をあらわした地名
権路(ごうろ)
④地形からつけられた地名
段(だん),棚(たな)
このような地名は、昔地すべりや山崩れがあった場所かも知れません。
そして、これから起こる危険性もはらんでいます。

(2)斜面崩壊と場所
1)谷の出口
土石流は直進性が強いので、川の流路に沿って進んでいくとは限りません。
谷の出口は、近くに川がなくても気をつけなければならない場所です。 

2)昔から人がすんでいるところ
昔からの住民は、その地域のことをよく知っていて、洪水の被害を受けやすいところには家を建てているわけではありません。
少なくとも、どこが水に浸かりやすいかということは経験的に知っていたと思われます。
だけど、斜面崩壊は頻繁には起きないし、一度起きた所は対策を施したり安定勾配になっていたりするので、斜面はどこが危険かと言うことを経験的に判断することは難しいことだと思います。
東北の大地震でも、津波被害はもとより、多くの斜面が崩壊し、大切な生命が失われました。
したがって、「昔から人がすんでいるところは安全」とは限らないと思います。

3)崩壊しやすい岩石
花崗岩・蛇紋岩・凝灰岩には特に気をつける必要があります。
この三つの岩石は風化しやすく、中でも花崗岩は堅い岩石のように見えますが、地下深くまで風化していることが多く、特に風化の著しいものは「真砂土」と呼んで、風化岩ではありますが、別に扱っています。
愛媛県でも、松山市の北側半分は高縄山の山麓斜面にまで開発が進んでいます。
頑丈な地盤見えても実は内部までぼろぼろということもあるので気をつける必要があります。
但し、他の岩盤が安全なわけではありません。
地すべりに関しては、緑色片岩・黒色片岩などの結晶片岩や、砂岩・泥岩などは層理面が顕著で、特に流れ盤になっているところは危険です。
地すべりを助長する粘土を挟んでいる所もあります。

(3)災害の兆候
1)地すべりの前兆
①地鳴り、山鳴りがする
②池や沼の水位が急変する
 
③井戸水が濁る    
④湧水が出なくなる
⑤湧水量が増える
⑥落石が発生する
⑦斜面がふくらんでいる
          
⑧地面が震動する
⑨樹木が傾く
               
⑩亀裂や段差が発生する

2)斜面崩壊(崖崩れ)の前兆
①地鳴りがする
②崖の表面を水が流れている
③小石がぱらぱらと落ちてくる
④崖の表面から水が湧き出ている
⑤湧水量が増加している
⑥湧水が濁っている
⑦湧水が停止する
⑧斜面がふくらんでいる

3)土石流の前兆
①地鳴りがする
②土臭いにおいがする
③渓流の水位が急激に減る
④渓流内で石がぶつかり合う音が聞こえる
⑤渓流の水が異常に濁っている
⑥流木が発生する

(4)人間が災害を防ぐ
1)工事
防災する場合に一番に思いつくのは工事だと思います。
典型的なのは、地すべりや崖崩れならアンカー工や抑止杭工、及びコンクリート構造物などで、土石流なら砂防工事(川をコンクリートで固め、所々に砂防ダムを築いていくもの)です。
このような対策工事は効果があるのは確かです。

2)森
日本の山は、杉や檜により針葉樹の森がほとんどで、保水力が不足し、大雨が降ると急激な濁流となって河川を一気に下っていきます。
これに対し、雑木に覆われた広葉樹の森は「緑のダム」とも呼ばれています。
落とした枝や落ち葉などが形成した腐植と土が混ざり合ってできた腐植土は、スポンジのように水を蓄えてくれます。
このことで大雨のときに降った水もたっぷり蓄え、ゆっくり流れ出してくれます。
このことにより川の水かさが増えることはなく、土石流などが起こりにくくなります。
自然の山を生かし、また自然の山に戻すことが大切です。

3)災害情報
もし災害が起こってしまったばあいに被害を最小に食い止めるために、行政機関や住民に早く状況を伝えなければなりません。
このための体制を整えておくことも大切です。
私たちは、巨大なダムや堤防は安全で壊れることがないと思いがちですが、限界を超える自然災害が起こったときには耐え切れないことが近年の災害でも実証されています。
トンネルの中は、昔は安全と言われたこともありましたが、とんでもない人災事故も発生しました。
だから、絶対に安全な場所はと言うことはありえないので、迅速な情報が必要になります。
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