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掘り抜き井戸について

井戸にもいろいろな種類があります。
今回はボーリング機械を使った井戸ではなく、昔ながらの井戸を紹介します。

(1)堀井戸の施工方法
昔は、周りを石積や井戸側で囲んだ掘り抜き井戸(掘井戸)がよく見られました。
私のイメージでは、オーソドックスな井戸といえばこのタイプです。
愛媛県では3尺(内径約1m)の井戸をよく見かけますが、他県では2尺(内径約60cm)の井戸も多いみたいです。
深さは4~6m程度です。
水が出てくれば当然掘りにくくなり、水替えもしないといけないので水位線より約2mくらいが人力で掘る限界だったのかも知れません。
水が出ないとこでは、土質によっては15m程度までは掘削は可能ですが、この深度になると酸欠も考えなければなりません。
この施工方法は、ボーリング井戸と違い自分の眼で地下水を確認できます。
そして、水の出る量が少ない場合は、掘削深さを調整することにより、希望の水量を確保できるます。
施工方法としては各種ありますが、いずれもやぐらを建て、ウインチを使って掘る方法で、主に下の2工法が使われています。
①潜函工法
人力で掘りながら順次コンクリ-ト製の井戸側を入れてさらに掘り進む工法です。
井戸筒内の限られたスペ-スなので一人しか掘削できないために効率が悪く、愛媛県ではほとんどやっていません。
地すべり対策での集水井のように、手掘りや重機を使ってほり進めながら、順次側壁をライナープレートなどで保護する方法もあります。
これだと広いスペースが必要で、工事費もかかります。
②矢板工法
木製や鋼製の土止め板(矢板)を使って、予定の取水量・貯水量が確保できる深さまで一挙に掘り下げ、その後で井戸側やコンクリート壁を施工します。
手掘りで掘る必要はなく、ユンボなどの大型重機を使って掘り進めます。
愛媛県ではあまり見かけませんが、高知県では一般的です。
広いスペースがあれば、確実な工法だと思います。

(2)堀井戸の仕上げ方法
掘り抜き井戸はその仕上げ方法により、さらに2つに分けられます。
①解放式井戸
解放式井戸は帯水層まで掘り下げた後に、周囲をコンクリ-トや陶器などの不浸透性のもので囲い、底には砂利を敷き詰めてポンプでくみ上げる構造のものです。
上部にふたを設ける場合でも井戸そのものは解放されています。
ふつう掘井戸といえば、ほとんどがこのタイプです。
②閉鎖式井戸
閉鎖式井戸も解放式井戸と同様に帯水層まで掘り下げた後に、底にコンクリ-トや陶器などの不浸透性の管を入れ、周囲と底に砂利割石などを敷き詰め、上部はふたをしてその上にコンクリ-ト製の外管などの不浸透管を埋め込み、3mほど土で埋め戻しながら導水管はその中に納めて地表まで立ち上がらせるものです。
この方法だと、井戸内の水位が見えないなど、メンテナンスができないため使われていません。

ダウンザホールハンマー

井戸を掘る場合にはいろいろな工法があります。
一般的には、下表に示したように人力の掘り井戸から、ロータリー式、ダウンザホールハンマーとあります。
今回は、ダウンザホールハンマーについて調べてみました。

最近井戸掘りに使われているダウンザホールハンマーには数々の長所があります。
特に、信頼性、地層への適応性、施工性、仕上げの難易度、経済性に優れていると言われています。
また、櫓を組む必要がなく、20mくらいなら一日で掘ることができます。
つまり、ロータリー式より数段掘削能率が優れています。
そして、岩盤や玉石などが硬いほど、圧倒的な工期短縮が可能です。
オールケーシング工法のため、不安定な崩壊性地盤(砂礫、破砕帯、断層)や軟弱地盤にも適しています。
また、硬質岩盤などの安定地層になると、オールケーシングから素掘りにも変更できます。 
エアリフト作用で、計画水量と水質(鉄分、塩分等)、帯水層の位置が掘削中(仕上げ前)に判断できます。
地下水があるところでは、掘削中でも水が吹き上げてくるのでよくわかります。
泥水を使用しないエアー掘削のため、目詰まりを抑え、わずかな水脈も見逃しません。
そして、やはり泥水を使用しないため、産業廃棄物処理が不要です。 

短所もあります。
大口径と大深度は、ロータリー式が優れています。
掘進速度は、圧縮空気圧と風量(コンプレッサ性能)で決まるため、200m程度までです。
岩盤の硬さはあまり影響ないのですが、大量の湧水があると、抵抗のため掘削効率が下がります。
それと、硬い岩盤は得意なのですが、軟らかい粘土は、ロータリー式に比べても掘削効率が下がります。 
ケーシング併設時は、帯水層を調べる電気検層などの試験ができません。
ダウンザホールハンマーでは、井戸仕上げはSGP鋼管のスリット型スクリーンを主に用いています。
したがって、巻線型スクリーン等を使用するときは、素掘り、もしくはケーシング掘り(スクリーンを設置してからケーシングを引抜く工法)が必要となります。
充填砂利を採用する場合でも、SGP鋼管のスリット型スクリーンを井戸仕上げには出来ません。
ただし、巻線型スクリーンは、開口率は大ですが、SUS-150Aで390,000円/本(5.5m)と非常に高価です。

表「さく井工法比較」















横井戸のはなし

横井戸と呼ばれる井戸があります。

多量の自由面地下水を採るための井戸で、
①集水トンネル
②集水暗渠

がこのタイプです。
今では地すべり地帯の水を排除する目的ことの方が多いのですが、現在でも、農業用水、上水、工業用水など広い範囲にわたって活用されています。

集水トンネルは、比較的水の少ないところで、効率よく水を採ろうとする工法です。
①火山灰・火山砂・軽石のようなものがたまっているところ
②割れ目の多い岩盤が多いところ
③緩勾配の山麓台地など
このような地形や地質のところで施工されています。
木の枠などで崩れないように掘り進める工法なので、地下水は坑壁や天井から集まって坑底に集まり、自然流下で坑口に出てきます。
富士山がある御殿場町の斜面にはたくさん施工されています。

集水暗渠は、同じような横形式の井戸ですが、河川からの伏流水が期待できるような場所に施工されています。
①乱流河川の旧河床やその付近
②扇状地や河川中流の沖積低地

に多く見られ、このような場所にヒューム管の多孔管などを埋めて採水します。

横井戸は、一般の縦井戸と違って最近ではあまり見かけなくなりました。
でも、愛媛県では、田舎の町の麓沿いを歩くと横穴が掘っているところを時々見かけます。
手掘りで4~5m程度掘ってもりっぱな横井戸です。
ポンプがいらないのが利点なので、昔の人は地形的に水の集まるところや湧水の出ているところに掘ったのだと思います。
田舎で上水道が普及していないところは、このような横井戸から自宅までホースを引き飲み水に使っています。
大雨が降れば当然濁ることもあるのですが、それも自然の流れなので特に気にしていないようです。


井戸の掘削工法と地下水

井戸を掘るのは、昔から井戸掘り職人の経験と勘によるものだと言われてきました。
これはもちん正しいのですが、近年ではそれに
①地質図による土層の分布
②地形図からの地下水流動方向の把握
③近所に井戸があるかどうか情報収集
④近隣の河川との位置関係と変遷の歴史
などで、おおまかな掘削深度の目安はつくと思います。

地下水は主に
①砂利や礫の層
②砂の層
③岩盤内の亀裂

などに浸透していきます。
つまり、こういった層に当たると地下水が出てきます。

井戸の掘削方法にはいくつかの種類があるのは前のブログでも説明しました。
掘削深度や適用地質等により
①ロータリー工法
②パーカション工法
③エアハンマ工法
があります。

ロータリー工法は、先端にトリコンビットと呼ばれる刃先を付け、それを回転させて地層を破砕しながら堀り進む方法です。
孔壁の保護にはケーシングの挿入かベントナイトを使います。
地下水は、最終的には電気検層で、帯水層がどの層にあるのかを判断します。
掘削中の目安としては、出てきたスライム(礫や岩盤のくず)の大きさや色で地下水の有無を判断します。
それに、掘削中に逸水(水が逃げること)があると、その深度は「水みち」の可能性があります。
ベントナイトはかなり濃くしないと孔壁が崩れてしまいます。
でも濃くしたら逸水がわかりずらくなります。
薄くする場合には孔壁の保護にケーシングが必要になります。
孔壁の保護にケーシングを使わず最後まで掘り上げるのは、熟練された技術が必要になります。
井戸の掘削に何故ケーシングを入れたらいけないかと言うと、ケーシングは鉄管なので電気検層が出来ません。
なので、熟練された技術者の勘だけで帯水層がどこにあるのかを判断することになります。
パーカション工法は、比較的浅い井戸にも使用され、玉石層などに強い工法です。
昔はこの工法が主流でした。
櫓から下りているワイヤーロープの先端に重いビット(1.5t程度の掘削棒)を吊し、振幅0.5m程で上下させ、その打ち込む力で孔底の地層を突き崩しながら掘削していく工法です。
孔壁の保護には粘土を使います。
あとはロータリー工法とほとんど同じですが、ケーシングは使いません。
使いませんと言うよりは使えませんと言ったほうがいいと思います。
その割には孔壁はほとんど崩れません。
近年ではこの工法で掘削する技術者がほとんどいなくなっているのが残念です。
エアハンマ工法は、空気圧を利用して、硬質岩盤や玉石等、他の工法が不得意とする地層を短時間で掘削する工法です。
コンプレッサーにて送り込まれた高圧で大風量のエアーはエアハンマを作動させた後、ビット先から噴出し、ビットを洗浄冷却しながら連続的に掘り屑を地上に搬出する工法です。
したがって地下水脈に当たると水が吹き上げてきますから、水があるかどうかはすぐわかります。

まいまいず井戸

「まいまいず井戸」を紹介します。

(1)「まいまいず井戸」の構造
武蔵野台地には「まいまいず井戸」と呼ばれる井戸が存在します。
どんな井戸かと言うと、まず地表にすり鉢状の窪地を堀り、すり鉢状の斜面には井戸端に降りて行くための螺旋型の歩道が作られ、その底に丸井戸を掘削する方法です。
井戸の利用者は、螺旋型の歩道を通って、底部にある垂直の丸井戸に向かいます。

(2)武蔵野台地の地質
こうした独特の構造の井戸が掘られた背景には、武蔵野台地特有の地質学的背景がありました。
武蔵野台地は多摩川によって形成された扇状地で、武蔵野台地には脆い砂礫層の上に更に関東ローム層の火山灰があるため、特に国分寺崖線より上は地表面から地下水脈までの距離が長いのが特徴です。
従って武蔵野台地では他の地域よりも深い井戸を掘らなければ地下水脈に達することができません。
当時はボーリング機械などはなく、手掘りの井戸だったので、地層が脆いために地下水脈まで垂直な井戸を掘ることが出来ませんでした。
そこで考えたのが、一旦地表面からすり鉢状に地面を掘り下げて砂礫層の下の粘土層を露出させ、そこから改めて垂直の井戸を掘って地下水脈に至るというこの手「まいまいず井戸」の掘り方でした。

(3)「まいまいず井戸」の由来
「まいまいず井戸」は武蔵三井戸の1つです。
まいまいずとは多摩地方の方言でカタツムリのことを言いますが、井戸に向かって降りる通路の形がかたつむりに似ていることからこの名前が付けられました。
また、この井戸の断面の形から「漏斗じょうご状井戸」や、降り下る通路が敷設されていることから「降り井(下り井)戸」とも呼ばれています。
「まいまいず井戸」とは固有名詞ではなく、武蔵野のように脆い土壌に井戸を掘るとき螺旋状に掘り下げていくことからこのような名前で呼ばれています。

(4)羽村の「まいまいず井戸」
羽村の「まいまいず井戸」は平安時代の806~810年(大同年間)に造られたいう説がありますが、井戸の形態や出土された板碑いたび等を見ると鎌倉時代のものではないかと推測されています。
井戸の地表面の直径は約16m、窪地までの深さは約4.3m、窪地面の直径は約5mで、井戸自体の直径は約1.2m、井戸の深さは約5.9mあります。
地表面から井戸に向かって2周する螺旋状の井戸道が約40mあり、井戸ができても水汲みには苦労したさうです。
また井戸の名称は残されている普請帳から、かつては「熊野井戸」と称されていたようです。
この井戸は五ノ神村の人々の共同井戸として重宝され、昭和に入ってからも約200戸の家庭で使用されていたそうですが、1960年(昭和35年)の町(当時)営水道の開設に伴いその長い歴史に幕を閉じました。
現在は東京都指定文化財に指定され、人々が観光や散策に訪れています。

まいまいず井戸平面図
「まいまいず井戸」の平面図です。

まいまいず井戸断面図
「まいまいず井戸」の断面図です。

1.地表面から見た井戸
羽村の「まいまいず井戸」(東京都羽村市五ノ神神社内)

ペルーのナスカ郊外にあるインカの水路跡には、複数の縦穴が
掘られています。
その形は、まさしく「まいまいず井戸」そのものです。
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