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高田渡への想い

伝説のフォークシンガーの高田渡が亡くなって6年あまり経ちますが、今更ながらあの風格と味のある歌い方は私の脳裏から離れません。
このブログでも、紹介した歌は50曲を超えていますが、どの歌もすばらしく、そして個性的です。

「生活の柄」という歌があります。
晩年は好んでラストに歌った歌です。
比較的ゆっくりとしたバージョンと、少しテンポの速いバージョンとがあります。
私もカラオケに行く機会があるとこの曲は必ず歌うのですが、カラオケでもバージョンはまちまちです。
晩年は少し速いテンポで歌っていますが、ゆっくりと聞くほうが味があるように思えます。
「生活の柄」は、私の中では大ヒット曲ですが、知らない人が多いのにびっくりします。
高田渡そのものも知らない人もいっぱいいます。
そんな中で、私は普及委員みたいな役割を担って、必死で高田渡の良さをアピールしています。

「自衛隊に入ろう」と「値上げ」という歌があります。
これも私の中では大ヒット曲です。
「自衛隊に入ろう」は、若いときに反戦歌として歌って、それから何十年も封印して歌っていなかったと言われています。
奇抜な歌です。
当時の防衛庁が「譲って欲しい」とまで言ったそうですが、この歌が反戦歌とわからないなんて、なんて堅物の防衛庁だったのでしょう。
「値上げ」はすごく世相をとらえて、いまの政治家の言いまわし方と同じです。
最初は値上げなんてするつもりはないと断定しているのに、だんだん値上げをせざるをえない状況に持っていって、そして値上げにふみきってしまう。
この、少し笑えるけど、何か考え込んでしまうような微妙な心の中の動揺があります。
これを高田渡が味わい深く歌っています。
東電の原発事故があり、「自衛隊に入ろう」は「東電に入ろう」という替え歌で誰かが歌っていました。
これって、「自衛隊に入ろう」がメジャーな歌だと言うことの裏返しですね。
「値上げ」も「メルトダウン」という歌の替え歌になっていました。
高田渡の反骨精神が今の時代にも継がれているのだと思います。
たぶん、高田渡が今も生きていれば、このような原発に反対するような歌を歌っているような気がします。

替え歌の歌詞を紹介しますが、本当に世相をとらえています。
YouTubeでもありますので聞いてみてください。

「自衛隊に入ろう」の替え歌で「東電に入ろう」(倒電に廃炉)
皆さんがたの中に 東京電力に入りたい人はいませんか?
ひとはたあげたい人はいませんか?  東電じゃ人材求めてます
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

スリルを味わいたい人いたら いつでも東電にお越しください
ウランでもプルトニウムでも 何でもありますよ
下請け使えば平気です
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

原発推進派のみなさんは 原子炉の真下にお集まりください
今すぐ体に悪いわけじゃありません シャワーで洗えば平気です
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

原発はクリーンなエネルギーです 
プルトニウムはそんなに怖いもんじゃありません
放射能を出すといっても たったの2万と4千年です
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

日本のエネルギーを支えるのは 原子力に頼らないといけません
多少の被爆はやむを得ません イソジン飲んでおけば平気です
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

使用済みの核燃料は全部まとめて ドラム缶に詰めたら大丈夫
六ヶ所村のプールで冷やします たったの300年の我慢です
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

水が漏れてるけど騒ぐんじゃない 煙が出てるけどあわてるな
屋根が吹っ飛んだけど全然大丈夫 とにかく塩水で冷やします
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

今すぐ危険ってわけじゃないけど 牛乳も野菜も捨てましょう
政府のおエライさんが言ってます 補償は税金で払います
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る

ダイガーカウンターは売り切れてます
君たちそんなもの持っちゃダメですよ
放射能の値はこちらで発表します 信じるものは救われる
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る
東電に入ろう 入ろう 入ろう 東電に入ればこの世は天国
男の中の男はみんな 東電に入って花と散る
 
「値上げ」の替え歌で「メルトダウン」
メルトダウンは考えぬ しばらくメルトダウンは考えぬ
当分メルトダウンはありえない 極力メルトダウンとは言いたくない
今のところメルトダウンは確信できない すぐにメルトダウンは認めない

メルトダウンとしても今ではない なるべくメルトダウンは避けたい
メルトダウンは確実だという声もあるが
メルトダウンと言うかどうかは検討中である
メルトダウンはもうバレてるかも知れないけど まだまだ時期が早過ぎる

発表する時期は考えたい メルトダウンを認めたわけではない
すぐにメルトダウンとは言いたくない メルトダウンと言うには消極的であるが
もうすぐメルトダウンも隠しきれない 近くメルトダウンも言わざるを得ない
メルトダウンもやむを得ぬ メルトダウンと白状しよう

高田渡のアルバム⑧

1993年5月 『渡』  高田渡9枚目のアルバムリリース
(CD) 徳間ジャパンコミュニケーションズ
収録曲:
(1)仕事さがし 詞:高田渡 曲:高田渡
(2)スキンシップ・ブルース 詞:高田渡・山本シン 曲:高田渡・山本シン 
(3)病い 詞:秋山末雄 曲:高田渡 編曲:高橋信之
(4)相子 詞: 高木護 曲:Taborna-split
(5)イキテル・ソング 詞:添田唖禅坊 曲:アメリカ民謡
(6)ホントはみんな 詞:斎木良二 曲:徳武弘文
(7)こいつは墓場にならなくちゃ  詞:ニカールバラ・木島始 曲:高田渡
(8)夕暮れ 詞: 黒田一郎・高田渡 曲:高田渡
(9)酒心  詞:高田渡 曲:高田渡
(10)生活の柄 詩:山之口貘 曲:高田渡
(11)さびしいといま  詩:石原吉郎 曲:高田渡
(12)風  詞:朝倉勇 曲:イギリス民謡

10年ぶりのニューレコーディングです。
「仕事さがし」は、1979年6月発売のアルバム『高田渡ライブ 中津川フォークジャンボリー』に入っています。 「生活の柄」は、1971年6月1日発売のアルバム『ごあいさつ』に入っていますが、22年の時を経てハワイアン調になってます。
「夕暮れ」「酒心(唯一の弾き語り)」などベルウッド時代を彷彿させる曲や、「こいつは墓場にならなくちゃ」はアレンジ曲、「ホントはみんな」はCM曲とバラエテイーにとんでいます。
「病い」と「相子」は暗い歌ですね。
このアルバムでは、特にぼそぼそと歌っているので、車で聞いていると聞き取りにくいところが多々あります。
意識して歌っていたのでしょうか?
「スキンシップ・ブルース」はカラオケにも入っているくらい有名です。
岡本理研ゴムの宣伝歌かとも思うくらいいろんな意味で放送禁止歌でもいいような詩ですね。
「イキテル・ソング」はいい歌です。
前に紹介した添田唖禅坊の作詞をリズミカルなアメリカ民謡で陽気な歌にし、本当にガイコツが笑っているような気持ちにさせてくれます。
これも、高田渡独特の歌い方がそうさせるのでしょう。
「風」は高田渡の歌で好きな歌のトップ10に入っています。
詩人の朝倉勇の詩集『散骨の場所』から見つけたみたいです。
情緒たっぷりに歌っています。
それにしても、高田渡はスローテンポの歌が一番似合っていると思います。

高田渡のアルバム⑦

1983年10月 『ねこのねごと』  高田渡8枚目のアルバムリリース
(LP盤) 徳間ジャパン
収録曲:
(1)おじいさんの古時計 訳詩:保富康午 曲:ヘンリー・クレイ・ワーク
(2)冬の夜の子供の為の子守唄 詞:ジャック・プレヴェール  曲:高田渡
(3)石 詞:山之口貘 曲:外国
(4)ねこのねごと 詞:木島始 曲:高田渡
(5)酒が飲みたい夜は 詞:石原吉郎 曲:高田渡
(6)ライムロック  曲:外国
(7)いつか 詞:高田渡 曲:高田渡
(8)バイバイ 詞:ヴォルク・ビアーマン 訳詩:野村修 曲:高田渡
(9)なまけもの 詞:木島始 曲:高田渡
(10)私の青空  詞:George Whiting 訳詞:堀内敬三 曲:Walter Donaldson

「私の青空」と「石」は、高田渡5枚目のアルバム『石』に収録されていますが、その他はアルバムの中では新しい歌です。
ただし、「おじいさんの古時計」はご存知の歌で子供たちが歌っています。
「ライムロック」は曲だけです。
このアルバムの中で、木島始さんが「ねこのねごと」と「なまけもの」の詩を書いています。
木島始さんは「おなじみの短い手紙」の歌の訳詩もしています。(原詩はラングストン・ヒューズです)
個性のある詩に高田渡の曲がマッチして実にいい仕上がりです。
「ねこのねごと」はすこしスローテンポで甘えた感じを出しています。
「なまけもの」は淡々となまけものの一週間を語るようなテンポのいい曲になっています。
「いつか」は好いですね。
久々の高田渡作詞作曲ですが、哀愁の漂ったいい歌です。
「酒が飲みたい夜は」はおなじみの酒シリーズ(笑)ですが、今回の作詞は詩人の石原吉郎さんの詩を使っています。
石原吉郎さんは激動の過去を持っていて、1939年、応召され、そして翌年、北方情報要員として露語教育隊へ分遣されています。
1941年、関東軍のハルビン特務機関へ配属され、敗戦後、ソ連の収容所に入っています。
1949年2月、反ソ・スパイ行為の罪で、重労働25年の判決を受けましたがスターリン死去後の特赦で、1953年12月、帰国しています。
トータルで10曲で30分未満というこのアルバムは、だらだらと歌わない高田渡らしい短さです。
フレンチ・トラディショナル、テックス・メックスなどさまざまなサウンド・スタイルを取り入れながら、誰にも真似のできない世界を創り出した高田渡の名盤だと思っています。

高田渡のアルバム⑥

1977年6月『ヴァーボン・ストリート・ブルース』  高田渡7枚目のアルバムリリース
(LP盤) フォーライフレコード
収録曲:
(1)ヴァーボン・ストリート・ブルース 詞:高田渡 曲:Assunto
(2)夜汽車のブルース 詞:三橋誠 曲:三橋誠
(3)ウイスキーの唄 詞:朝比奈逸人 曲:朝比奈逸人
(4)シグナルは青に変わり汽車は出ていく 詞:小林清 曲:小林清
(5)G・M・S(グラフィス・マンドリン・ソサエティ) アメリカ民謡 編曲:高田渡
(6)その向こうの 詞:佐久間順平 曲:ヴィクター ヤング
(7)ダイナ 詞:サトウハチロー 曲:ハリー・アクスト
(8)猿股の唄 詞:金子光晴 曲:佐久間順平
(9)座蒲団 詩:山之口貘 曲:高田渡
(10)すかんぽ(哀れな草) 詞:リンゲルナッツ 曲:高田渡
(11)リンゴの木の下でドミニクは世界の日の出を待っていた 詞:Harry H.Willams 曲:エグバート・ヴァン・アルスタイン

私は高田渡のアルバムだと思っているのですが、歌っているのは高田渡だけではありません。
高田渡&ヒルトップ・ストリングス・バンドと言って、1975年ごろから1980年ごろまで活動していたようです。
メンバーは高田渡の他にはおなじみ佐久間順平さん、バンジョーの小林清さん、ベースの大庭昌浩さんの4人です。
御茶ノ水のヒルトップホテルから命名したそうです。
高田渡がボーカルをとっている曲は約半数です。
声で判断して「ヴァーボン・ストリート・ブルース」「夜汽車のブルース」「ウイスキーの唄」「座蒲団」「すかんぽ」だと思います。
このとき28歳ですが、すごい貫禄ですね。
ディキシー調の「ヴァーボン・ストリート・ブルース」は高田渡にしてはテンポが早くあまりらしくない歌です。
「夜汽車のブルース」は後でもずいぶん歌っています。
「ウイスキーの唄」は酒飲みにはぴったりでその凄味には圧倒されます。
「座蒲団」はおなじみの山之口貘の詞です。
山之口貘独特の表現力の豊かな詩に高田渡がテンポのいい曲で歌っています。
どうもこのアルバムはテンポが売りだったのかも知れません。
他の歌では金子光晴の詞に佐久間順平が曲を書き佐久間順平が歌っている「猿股の唄」が面白い歌ですね。

高田渡のアルバム⑤

1976年3月 『FISHIN' ON SUNDAY』  高田渡6枚目のアルバムリリース
(LP盤) 日本フォノグラム/徳間ジャパン
収録曲:
(1)魚つりブルース  詞:高田渡 曲:高田渡
(2)頭を抱える宇宙人  詩:山之口貘 曲:高田渡
(3)ヘイ・ヘイ・ブルース 詞:梅田智江 曲:高田渡
(4)自由な奴 詞:永山則夫 曲:高田渡
(5)秋の夜の会話  詞:草野心平 曲:高田渡
(6)初めての我が児に  詞:吉野弘 曲:遠藤賢司
(7)質屋  詞:高田渡 作曲:高田渡
(8)雨の日  詞:高木護 曲:Georges Brassens
(9)漣  詞:高田渡 曲:中川イサト
(10)フィッシング・オン・サンデー  詞:高田渡 曲:高田渡

前作から3年のインターバルを置いて、細野晴臣と中川イサトのサポートを得て、ロサンゼルスのサンセット・スタジオで録音されたアルバムです。
カントリー・サウンドに中川のヴォーカルが溶け込んだ76年リリースの傑作です。
細野晴臣、中川イサトの他に、ヴァン・ダイク・パークスやフレッド・タケットらをバックに歌っています。
しかし、本当に個性的な歌が多いですね。
「質屋」なんて歌か朗読かわからない(笑)
それと「雨の日」
異彩の漂白詩人として、知る人ぞ知る存在となっている高木護さんの詩をリズミカルな曲で歌っています。
こんな詩です。

たったいっぺんも悪いことをしなかった
アリラン爺さんが病みついた
雨の降る日はしがない渡世に理屈をつけろ
貧乏くじはどうだい?
貧乏くじはどうだい?
どこかの後家よ
どこかの後家よ
あたしのあそこいらないか?

おっかあに逃げられた仁義に妙に大きな
耳までが昨日と今日の算盤をはじいている
よしんば明日を占い
アリラン爺さんが死んでも
人夫には勲章は無く
軒下三寸に雨が降る


かなり無茶な詩ですね。
無茶な詩と言えば「ヘイ・ヘイ・ブルース」も無茶苦茶ですね。
まさに高田渡でないと歌えない。
「自由な奴」は死刑囚の永山則夫の詩ですね。
『系図』のアルバムの「ミミズの唄」や「手紙を書こう」に引き続き使っています。
おなじみの山之口貘は「頭を抱える宇宙人」です。
「鮪に鰯」と同じようなテンポで心地よく歌っています。
「魚つりブルース」と「フィッシング・オン・サンデー」は違いがいまひとつわからない。
きっと同じ歌でしょう。
それにしても、今回も『石』に引き続き歌詞カードがありません。
歌詞カードがないアルバムなんて高田渡だけでしょう。
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