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福島での断層調査

東京電力は8月30日に、東日本大震災に伴う大規模な地殻変動を受け、福島第1、第2原発の耐震設計に影響を与える可能性のある断層の評価を見直し、固着状態などから従来はずれないと考えられた断層12カ所を調査し、新たに5つの断層を検討対象に加えたと発表しました。

(1)新たな地質調査箇所
新たに検討対象に加えたのは、
①畑川断層(長さ44km)
②二ツ箭断層(長さ13km)
③八茎断層(長さ5km)
④湯ノ岳断層(長さ17km)
⑤原発敷地南東海域の断層(長さ17km)
です。
いずれも東日本大震災後に地震活動の活発化や断層のゆがみが指摘されています。
このうち、最も原発に影響を与えると考えられるのが「畑川断層」で、マグニチュード(M)7.6の地震が想定されると言われています。
この発表の背景には、これまで認められなかったゆがみなどの地殻の変形が確認されたということです。
東京電力は「これらの断層が動いても原発の耐震基準を超える揺れは起こさない」としていますが、「今後、活断層として原発への影響を否定できない」として、改めてボーリングなど詳細な調査をすることにしたそうです。

もともと耐震設計上考慮していなかった断層が動いてしまいました。
明らかに動いた断層は「湯ノ岳断層」「井戸沢(いどさわ)断層」「塩ノ平断層」です。
「井戸沢断層」と「塩ノ平断層」については、8月頃に当ブログで変状の様子を紹介しました。
「湯ノ岳断層」は、湯ノ岳断層周辺の地形図でも明らかなように「井戸沢断層」「塩ノ平断層」より原発側で、福島第一原発、第2原発から40〜50キロ南の福島県いわき市にあります。
そして、「井戸沢断層」「塩ノ平断層」と同じように、大震災で誘発されたとみられる4月11日のマグニチュード7.0の地震で地表がずれたことが研究機関などによって報告されていました。
「井戸沢断層が動いたことで湯ノ岳断層にずれが生じた可能性がある」との見解を示していました。

(2)調査しない断層箇所
いわき市周辺の断層としては、先に東京電力が認めた5つの断層の他に、
①双葉断層
②大阪-足沢断層
③鬼太郎山西断層
④大倉断層群
⑤赤井断層
⑥関口-黒磯断層
⑦関口-米平断層
⑧棚倉破砕帯西縁
⑨大阪-芦沢リニアメント
⑩江花-虫笠断層
⑪那須湯本北断層
⑫相馬断層
などいっぱいあります。
福島盆地西縁断層帯まで入れるときりがありません。

(3)調査対象の断層の検証
東京電力がリストアップした5つの断層を検証してみます。
①畑川断層
阿武隈帯と南部北上帯の境界となっている断層を「畑川構造線」といいます。
畑川構造線の主要な活動年代は、白亜紀の約9000万年前で、1000万年間に60kmの左横ずれが生じたと考えられています。
この断層は原発から20kmも離れていないため当然調査の対象になります。
②二ツ箭断層
夏井川に沿う断層では、二ツ箭断層が最もよく知られています。
福島第2原発の30km以内に位置しています。
この断層を境にして南側が沈降し、北側が隆起する運動が数100万年前に始まり、現在もその動きを止めていません。
二ツ箭とそれに連なる峰々は、このような運動によってつくりあげられたといわれており、夏井川の深い谷は、断層線に沿って浸食が進んだ結果できたとみるのが自然であると言われています。
動いている断層ですから当然調査の対象になります。
③八茎断層
断層の長さは5kmと短いのですが、地震で動いています。
短いから動きやすいというのもありますが、福島第2原発からだと15kmぐらいと近いので当然調査の対象になります。
④湯ノ岳断層
この断層は先ほど説明したように、調査のきっかけにもなった断層です。
東電は、「動かない」と評価していた断層です。
この断層が動いたことで、旧炭坑近辺の民家や、炭坑の換気口あたりから温泉が湧いたというニュースがありました。
当然地盤沈下が起こり、床下浸水等も発生しています。
⑤原発敷地南東海域の断層
海の中なのでよくはわかりませんが、東電が調べた結果では、
・地震活動は活発化
・歪みは東西方向の伸張へ変化していると推定
・当該海域に分布する断層は正断層であり、本震に伴う解析結果によると、地震発生は促進される傾向
となっており、動いている断層ですから当然調査の対象になります。

(4)双葉断層は何故?
この5つの断層は当然調査の対象になりますが、不自然なのは一番近くを通っている「双葉断層」は何故調査の対象にならないのでしょうか?
「双葉断層」は、福島第2原発からだと5kmもありません。
双葉断層群としては、宮城県岩沼市から福島県いわき市まで約100kmの連続する大規模な活断層で、阿武隈山地とその東側沿岸の低丘陵部の境界を地形的に形成しています。
従来の調査では100年以内にマグニチュード(M)6・8~7・5程度の地震発生確率は、ほぼ0%と推定されていました。
でも、それだから調査しないというのはなにか納得がいきません。
今回の地震で、地震発生確率は、ほぼ0%と推定されていた断層でも動いた断層はいっぱいありました。
それに、敷地と活断層の位置関係図でも、ダントツで一番近い断層です。
2011年4月11日の余震での断層の動きですが、いわき市の南から北へと動きだし、「井戸沢断層」「塩ノ平断層」の隣の「二ツ箭断層」や東隣の「八茎断層」も動いています。
相双地区の阿武隈高地東縁を南北に走る「鬼太郎山西断層」や「畑川断層」は、今はまだ動いてとは言えませんが、調査の対象に「畑川断層」がなっている以上、原発に最も近い「双葉断層」は「畑川断層」に並行するようにして走っており、なおかつ原発の手前に位置しています。
「畑川断層」が動いて「双葉断層」が不動のはずはないと思います。
「双葉断層」とされている範囲は、相馬市から南相馬市にかけての約37kmの範囲ですが、その北には「相馬断層」がそのまま延長し、南にも末続まで延々と延びる断層帯となっています。
「双葉断層」以外にも、「湯ノ岳断層」より原発に近い「大倉断層群」と「赤井断層」 はどうなのかとか、「畑川断層」を調査して「鬼太郎山西断層」は何故しないのかとか、福島第2原発から近い「大阪-足沢断層」は?とか数え上げればきりがありません。
調査に一貫性がないと次から次へと新たな問題が起こってしまいます。
原発の収束はもちろんのことですが、こういった地質調査一つでも、国民の大多数が納得できる調査にしてほしいと思います。

                湯ノ岳断層周辺の地形図

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