アフガニスタンの現状と中村哲さん

アフガニスタンの現状について、わかる範囲で調べてみました。

(1)アフガニスタンの政権と男女不平等
アフガニスタンは、人口が約2000万人ですが、面積は日本の約1.7倍です。
そして99%が農民です。
100年前に、欧米の植民地化が進行する中で、独立を維持できたのは、日本だけでなく、アフガニスタンもそうでした。
1945年の終戦後の日本は経済的に繁栄し、68年間平和を維持してきました。
でも、多民族国家のアフガニスタンは、南アジアと中央アジアの狭間に位置し、1979年末のソ連軍侵攻以来、今日に至るまで混乱状態の中にあります。
80年代を通じてソ連軍に抵抗したムジャヒディーンは、88年にソ連軍の撤退合意を勝ち取り、92年にはカブールのナジブラ政権を打倒しました。
でも、その後はこのムジャヒディーン各派同士が覇権を巡って抗争を繰り返し、全土が内戦状態に巻き込まれるに至りました。
国内の混乱を横目に、1994年末にはタリバーンが新たな勢力として台頭し、ムジャヒディーン各派に代わる主流派となりました。
タリバーンは1996年9月には首都カブールを制圧し、アフガニスタンにおける「イスラム原理主義」の下、政権を樹立しました。
バーミヤン渓谷に巨大な2体の大仏がありました。
西の大仏の高さは、55m、東の大仏の高さは、38mで、男像、女像と呼ばれていました。
この大仏は、2001年3月にタリバーンによって、破壊されました。
破壊された2年後の2003年に「バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群」として、ユネスコの世界遺産に登録されています。
大仏が破壊された6ヶ月後の2001年9月11日に、アメリカで同時多発テロが起こりました。
そして、この事件を計画・実行したとアメリカに名指しされた国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンを保護するタリバーンをアフガニスタンから駆逐するため、アメリカとイギリスを始めとした連合軍が「不朽の自由作戦」として10月7日から空爆を開始しました。
11月13日には連合軍の支援を受けた北部同盟軍が首都カブールを制圧し、12月には最後の拠点カンダハルを攻略してタリバーン政権は崩壊しました。
このタリバーン政権が崩壊するまで、女性は全身を覆うブルカと呼ばれるベールの着用を義務づけられていたほか、教育を受けることや労働することさえ禁じられていました。
現在でも、アフガン女性のうち、教育を受けた女性は首都カブールで6割程度で、地方では2、3割だそうです。
南部地方だと1割未満です。
国連開発計画(UNDP)では、アフガニスタンは男女間の不平等の水準が世界で最も高い国の一つとしています。
したがつて、アフガニスタン女性の地位向上は一向に進んでいないのが現状です。
学校に通うことも難しく、危なくて、夜7時以降は外に出られません。
南部地方では学校を建設しても破壊されてしまいます。
また、「子どもを学校に行かせれば攻撃する」という内容の声明文が出回ったりもします。
そして学校が閉鎖状態の地域もあります。
識字教育を受けないと、事務などの仕事には到底就けません。

(2)栄養不良と妊婦死亡率
アフガニスタンは20年以上に渡る侵略や内戦、そして、2000年から始まった大干ばつによって大変なダメージを受けました。
現在でも治安悪化と貧困は深刻で、全ての生活物資が不足しているばかりか、住居や水といった生きる事に必要な最低限の条件も満たされていない状況です。
NYテロ事件で、ブッシュ元アメリカ大統領などは、先に述べたようにビンラデンへの報復とばかりにアフガニスタンへ攻撃を開始しました。
そして、ピンポイント攻撃という無差別攻撃を開始しました。
これにより、保健・医療・教育といった分野の施設まで破壊されてしまいました。
そして現在でも無数の地雷が埋められ、また、部族間の対立といった大きな問題も抱えています。
そして解放後、状況は悪化の一途をたどっているそうです。
売春の自由、乞食の自由、外国人に取り入って大金持ちになる自由も拡大したそうです。
内戦によって兵士が死ぬ事は大きな問題ですが、死んでいく兵士の数より病気などで死んでいく子どもや女性の数の方が多いという事はもっと大きな問題です。
現在のアフガニスタンは栄養不良の子どもが50%いるそうです。
そして、栄養不良の多くの子どもたちが「はしか」や「麻疹」にかかり、命を失っているそうです。
アフガニスタンの子どもたちはアフリカなどで見られるガリガリに痩せ細ってしまう栄養不良とは違い、身長が伸びないといった慢性的な栄養不良なのだそうです。
一見すると元気の良い普通の子どもたちですが、8・9歳の子どもたちが見た目には5・6歳にしか見えないといった状態だそうです。
アフガニスタンにおけるもう一つの大きな問題は、女性が妊娠によって命を失っているそうです。
日本ではとうてい考えられないのですが、アフガニスタンでは毎年2万5千人の女性が妊娠と出産が原因で亡くなっており、実に27分間に1人が亡くなっている計算になります。
そして、女性の死亡者の40%が妊娠あるいは出産の時に命を失っているそうです。
妊産婦死亡率は(出生10万あたり)1,900人超で、最近シエラレオネを抜いて世界最悪になりました。
特に「バダフシャーン州ラー地区」では6,500人という人類史上最悪の妊産婦死亡率です。
また、これらを解決する為の食料や薬などが著しく不足している状態です。

(3)中村哲さんの功績
日本人でもアフガニスタンで活動している立派な人がいます。
NGOペシャワール会の現地代表として29年間、アフガニスタンとパキスタンで医療活動を続けてきた中村哲さんです。
中村さんは、国内病院勤務ののち、1984年にパキスタン北西辺境州の州都ペシャワールに赴任し、両方の国で医療活動を続けていたのですが、パキスタンは政府の圧力で活動の継続が困難になり、その後はアフガニスタンで医療活動を続けていました。
そして、2000年から始まった大干ばつが中村さんの運命を変えたそうです。
水不足のため命を落としていく人々を前に、中村さんは「この状況を医療では救えない」と判断し、命をつなぐ飲料水確保のため井戸を掘り始めたそうです。
さらに農業の復活を目指し、2003年には全長24kmにも及ぶ用水路建設に着手し、素人ゆえの工法に関する試行錯誤や、激しさを増す戦乱、過酷な気候、異文化との摩擦など、数々の苦労をしながら着工から7年経って完成したそうです。
この用水路建設の記録を記した「治水技術7年の記録」のDVDの中に、中村さんの言葉が紹介されています。
その中に、こんな一節があります。

作業地の上空を盛んに米軍のヘリコプターが過ぎてゆく。
彼らは殺すために空を飛び、我々は生きるために地面を掘る。
彼らはいかめしい重装備、我々は埃だらけのシャツ一枚だ。
彼らに分からぬ幸せと喜びが、地上にはある。
乾いた大地で水を得て、狂喜する者の気持ちを我々は知っている。
水辺で遊ぶ子供たちの笑顔に、はちきれるような生命の躍動を読み取れるのは、我々の特権だ。
そして、これらが平和の基礎である。


日本では当たり前にあって当たり前に出来ることが、アフガニスタンでは必死にならないと出来ない現実がありますね。
私も松山にいて、北京からの大気汚染に苦慮するくらいで、漠然と平和を満喫するだけでなく広い視野にたたないといけないとしみじみ感じました。
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