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地下水・土壌汚染について

地下水・土壌汚染について調べてみました。

地下水・土壌汚染が発生するには、まず汚染源が存在しなければならないのですが、同じ汚染物質でも、環境への放出の仕方や量、そして場の条件により、汚染の様相はかなり異なってきます。
汚染物質の地中(土壌層と地下水層,あるいは不飽和帯と飽和帯)での挙動を決める要因は
・汚染源の特徴(環境への放出形態など)
・汚染物質の物理化学的特性(環境中での分解性も含む)
・水文・地質条件(土壌層・帯水層の物理化学的特性,水理条件など)
です。
今回は、地下水・土壌汚染の中で、病原性微生物などによるものと、重金属類によるものを調べてみました。

(1)病原性微生物など
細菌,原虫,ウイルスなどが、1970年頃までの主要な地下水汚染原因で、赤痢,コレラ,チフス,そして近年では腸管出血性大腸菌O157などの細菌による事例が報告されています。
発生事例は激減したものの、一般に個人所有の浅井戸は必ずしも衛生状態がよいとは言えない面があるので、注意が必要となります。
特に、非常災害用井戸として指定されている浅井戸は多く、井戸周辺の維持管理は重要です。
また、学校や飲食店などでの発生が年間数件の割で報告されていますが、基本的に未消毒である場合や、消毒装置の不備や故障が主な原因となっていることが多いのが特徴です。
近年注目されているのが、原虫あるいは寄生虫であるジアルジア(鞭毛虫)、クリプトスポリジウム(胞子虫類)、エキノコックス(多節条虫)などです。
これらの原虫は現行の塩素消毒レベルではほとんど不活性化されず、病原細菌に比べて感染力も強いことから重大な問題になりつつあります。
ジアルジアでは、ビーバー、エキノコックスではキタキツネが宿主としてあげられているように、動物(人間を含め)を媒介して広がります。
地下水中で広範囲に拡散していくことはないようで、地下水汚染事例では、井戸への下水・汚水,表流水の混入が主要な原因で、家庭用や専用水道の井戸の場合が多いようです。
しかし、1996年に埼玉県越生町で発生したクリプトスポリジウムの集団感染事例では水道水源となっていた伏流水が汚染され、水道水を介し大きな被害となりました。
ウイルスは、細菌より小さく、消毒剤に対する抵抗性もあり、肝炎ウイルスなどが地下水汚染事例として多く報告されています。

(2)重金属類
重金属は、金属のうち、比重が4~5以上のものでありますが、ここではカドミウム,鉛,クロム,水銀の4元素のほか、砒素,セレン,フッ素,ホウ素などを含めて重金属類とします。
重金属は公害の主原因で、
・足尾鉱山による渡良瀬川流域の銅,カドミウム
・イタイイタイ病として知られる神通川のカドミウム
・土呂久鉱山の砒素
・水俣病の水銀
などが挙げられます。
鉱山関係のものは一般に土壌汚染、地下水を含めた水系汚染を下流一帯に発生させています。
規模は小さいのですが、過去に頻繁に地下水汚染を引き起こしたのが、メッキ工場からの六価クロムやシアンです。
また、汚染事例の多い金属製造業関係では、複数の金属類が同時に検出される例が多くみられます。
重金属はpHや酸化還元状態に挙動が左右され、一般に水への溶解度が低く、土壌に吸着されやすく、通常のpHでは不溶性の水酸化物を形成するなど移動性は大きくないものが多いため、土壌汚染が発生した場合でも、地下水汚染にまで拡大する場合は多くありません。
ただし、クロムや砒素など、価数の違いにより挙動が異なることもあります。
メッキ工場での六価クロムは、Cr2O72-の陰イオンとして排出されるので、地下水汚染を引き起こしてきました。
重金属類の場合、自然由来で汚染が発生することも多々あります。
すなわち、自然界の土壌・岩石・地層に含まれる有害物質が高濃度に溶出し、地下水汚染となる場合があります。
これらの物質は、必須微量元素であったり、濃縮していれば資源でもあり、温泉水の主要成分となったりしています。
この自然由来の地下水汚染は頻度も高く、深刻な場合もあり、2010年に施行された改正土壌汚染対策法では自然由来と考えられる場合でも法の対象となりました。
代表的な自然由来の汚染物質としては砒素,フッ素,鉛,ホウ素,水銀,カドミウム,セレンなどが挙げられます。
特に、砒素はバングラデシュなど世界各地で問題となっており、海成堆積物中に多く存在し、地下水開発(揚水)により、地下環境が変化することで誘発されていることが多くなっています。
また、砒素は硫化鉱物に含有されることも多く、そこから溶出し汚染となることもあります。
フッ素は班状歯の原因となる物質ですが、近畿・中国・四国地方では主に花崗岩類を起源とし、九州および中部・関東・東北・北海道では火山・温泉起源とし、汚染は全国的に発生しています。
地下水・土壌汚染の関連の年表は下記の通りです。

1948 農薬取締法 水質汚濁防止小委員会(資源調査会)
1951 水産資源保護法
1953 水俣病
1955 イタイイタイ病(神通川) 水道普及率上昇
1956 工業用水法
1957 水道法(→水質基準の省令化,1958)
1958 下水道法,工場排水の規制に関する法律
公共用水域の水質の保全に関する法律
1959 トリクロロエチレン生産急増
1962 建築物用地下水の採取の規制に関する法律
1964 毒物及び劇薬取締法改正 第2 水俣病(阿賀野川)
1965 テトラクロロエチレン生産増加,クリーニング業急増
1966 水道水の水質基準改正(陰イオン活性剤,六価クロムの追加)
1967 公害対策基本法 合成洗剤ABS → LAS 切り替え
1970 水質汚濁防止法(直罰規定,上乗せ基準)
玉川浄水場取水停止
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
農用地の土壌の汚染防止等に関する法律
(特定有害物質:カドミウム,銅(1972),砒素(1975))
1971 環境庁発足
有機塩素系農薬の販売の禁止及び制限を定める省令
1973 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
(PCB,DDT,BHC 使用禁止)
1974 水質基準に水銀,カドミウム追加
地盤凝固剤問題化(アクリルアミド系など使用禁止)
1975 秦野市地下水の保全及び利用の適正化に関する要綱
(地下水利用協力金)
六価クロム汚染表面化(日本化学工業クロム鉱滓)
1978 水質汚濁法等改正(総量規制) ラブカナル事件(アメリカ)
レッカーケルク事件(オランダ)
1981 シリコンヴァレーの地下水汚染問題化(アメリカ)
1982 地下水汚染実態調査(環境庁) 
トリクロ3 物質問題化(ハイテク汚染)
1983 浄化槽法
1984 トリクロロエチレン等の水道水暫定水質基準
湖沼水質保全特別措置法
1986 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律改正
(トリクロロエチレン等の第二種特定化学物質追加)
チェルノブイリ原子力発電所事故
1988 津市水道水源保護条例 ゴルフ場農薬問題
1989 千葉県地下水汚染防止対策指導要綱
水濁法改正(地下浸透禁止,常時監視) 
地下水質評価基準(11 項目)
1990 千葉県ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱
(農薬使用禁止)
ゴルフ場使用農薬の暫定水質目標(21 種類,厚生省),
同排水の暫定指導指針(環境庁)
熊本県地下水質保全条例
1991 土壌の汚染に係わる環境基準(25 項目)
1992 長野県水源保護条例
水道水質基準の見直し
(厚生省,1993 年12 月施行,26 → 46 項目)
水質環境基準の見直し
(環境庁,9 → 23 項目,+要監視項目25)
1993 環境基本法
地下水評価基準の改定(23 項目) 要監視項目の設定(25 項目)
秦野市地下水汚染の防止及び浄化に関する条例
ヒ素による地下水汚染(バングラデシュ)
1994 水道原水水質保全事業促進法・水道水質保全特別措置法
重金属等に係わる土壌汚染調査・対策指針
有機塩素系化合物に係わる土壌・地下水汚染調査・対策暫定
指針
1995 水濁法改正(浄化措置命令)
1996 社団法人土壌環境センター設立
1997 地下水の水質汚濁に係わる環境基準(23 項目)
環境影響評価法
1999 地下水の水質汚濁に係わる環境基準に硝酸性窒素・ホウ素・
フッ素追加
持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律
(持続農業法)
家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律
(家畜排せつ物法)
2000 ダイオキシン類の環境基準
浄化槽法改正(単独処理浄化槽の禁止)
2001 環境省設置
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に係る土壌管理指針
2002 水質汚濁防止法改正
土壌汚染対策法
東京都豊洲新市場予定地における土壌汚染の確認
2003 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律改正
(生態系影響審査の追加)
茨城県神栖市における有機ヒ素化合物
(ジフェニルアルシン酸)による地下水の汚染
2004 水道水質基準の見直し
(基準項目50,管理目標設定項目27,要検討項目40)
残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約発効
2006 東京都北区豊島五丁目地域ダイオキシン類土壌汚染
2009 地下水の水質汚濁に係わる環境基準に塩化ビニルモノマー,
1,4- ジオキサン,1,2- ジクロロエチレン追加
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律改正
(国際条約との整合性の確保)
2010 水道水基準の見直し
(基準項目50,管理目標設定項目27,要検討項目44)
土壌汚染対策法改正(自然由来の土壌汚染も対象)
2011 東北地方太平洋沖地震・福島第一原子力発電所事故
東京都土壌汚染対策アドバイザー派遣制度開始
2012 熊本県地下水保全条例改正(地下水利用に許可制導入)
印刷会社で胆管癌が多発
(1-2,ジクロロプロパンおよびジクロロメタン?)
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