井戸の影響範囲について

井戸の影響範囲について考えてみました。

家庭で井戸を掘る場合に、その場所が水が出るのか出ないのかは一番重要ですが、水が出たとして、果たしてどれくらいの範囲が影響しているのでしょうか。
都市部では、ほぼ上水道が完備されていますが、まだまだ地方では生活用水を井戸に使っているところが多く、井戸枯れや水質汚染は非常に大きな問題となるので、井戸調査は、建物調査より事前調査の必要性は高くなっています。
この井戸の調査範囲として、だいたい井戸のある箇所から100mなどと範囲が指定される場合もありますが、これはあくまでも目安でしかありません。
計算式では、ジーハルトやウェーバー、コゼニー、クサキン、レンケなど、いろいろな人が経験式などを発表していますが、絶対にこの式が正しいと思えるものはありません。
井戸の影響範囲(影響圏と言ったり影響半径と言ったりもしますが)は、地盤条件と井戸及び掘削深さから影響の有無を考えるべきものですが、近くの地質柱状図がある場合には、これらのデータから地下水を利用している帯水層を判断し、地下水影響を考えます。
この時には、透水係数のオーダーも重要になります。
透水係数とは、地層の透水性の程度を示す係数です。
地層の多孔体中の層流に関する基本則のダルシーの法則を、Q=KIと表したとき、Qを比流束(またはダルシー流速)、Iを動水勾配(こうばい)、比例定数Kが透水係数となり、QqとKはともに速度の次元をもちます。
物理的には、多孔体中で流れの方向に直角な単位断面積を、単位の動水勾配の下で単位時間内に通過する水の量と定義されています。
透水係数の大きさは下表に示しましたが、一般に粒径のそろった粗粒な地層ほど大きく、細粒で混合粒径の地層ほど小さくなります。
地下水を取水する帯水層の透水係数は日当り0.1~100m程度です。
つまり、川の流れよりも、ものすごくゆっくり流れています。
透水係数は地層の性質のほかに、水温、封入空気、イオン組成など水の性質によっても変化します。
水温が高いほど透水係数は大きくなります。
そして、封入空気は水の流れを妨げ透水係数を低めます。
また、堆積層の透水係数は、土粒子の配列構造や地層の層構造のため、一般に水平方向の透水係数が垂直方向のそれよりも大きく、異方性を示しています。
さて、影響範囲Rには以下の3つの定義が考えられています。
①水位低下量sが0あるいは十分に0とみなせる距離Rs
②Thiem法の適用により、s-log(r)直線の延長がs=0軸との切片となる距離RT
③地下水流速vが0あるいは十分に0とみなせる距離Rv
ここで、従来、①と②は両者に区別はないとして扱われ、実務的には定義①のRsを求める方法をThiem法と考え、この手法から定義②のRTを求め、両者を同一視しています。
しかし、非定常挙動時や定常時であっても漏水や降雨酒養を受けた場合にはRsとRTは必ずしも一致しないことがあります。
また、③の定義は近年その必要性が認められてきたもので、揚水や注水といったインパクトによる地下水流速への影響を考える場合であり、どの範囲まで地下水移動があるかが影響の主眼です。
この観点から③では影響評価の指標は水位変動ではなく、流速です。
定義①のように地下水位変動を数cmや数mm以内であれば影響がないという考え方は実務的に理解しやすいのですが、元来低流速である地下水流に対して、どの程度の流速値であれば地下水移動がないと考えるかは難しい問題です。
そこで、所定時間内に揚水井戸や注水井戸からどの範囲まで地下水移動が見込まれるかを指標にした影響範囲の考え方も議
論すべきと考えられています。
圧密問題では、沈下量の他に沈下による傾斜角を評価する場合があり、この場合には地下水位面の傾斜、すなわち動水勾配を考えることになります。
流速は透水係数と動水勾配の積であることから、この問題も定義③のRvを用いて考えることもできます。
私は、Thiem法を教わったので、どうしても地下水位変動が限りなく1mmに近づくところまでが影響範囲だと思ってしまいます。
まだまだ地下水は解らないことが多すぎます。
井戸の使用状況や、付近の地下水の利用状況、そして土質や透水係数によっても影響範囲は変わってきます。
こう考えると、井戸の影響範囲を決めるのはものすごく奥が深いと思います。

tousuikeisuu.GIF







スポンサーサイト
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム
QRコード
QR