数奇な運命からなる「馬毛島」の行く末について

いろいろと問題になっている馬毛島について調べてみました。

馬毛島(まげしま)は、大隅諸島の島の一つ日本で2番目に大きな無人島です。
(なお、日本で一番大きな無人島は渡島大島(北海道松前町)の面積9.73km²です。)
この馬毛島の名の由来は、ポルトガル宣教師たちが鉄砲とともに渡来させた馬を養っていたことによるものて゜、鉄砲伝来の地である鹿児島県の種子島の西方、12kmの東シナ海上に浮かんでいます。
この馬毛島の概略の歴史は次の通りです。

・弥生時代(紀元前10世紀頃~紀元後3世紀中頃)・・・・島内からは弥生時代の遺跡が見つかったり中世の頃からトビウオ漁の季節移住があったことは知られています。
・1868年(明治元年)・・・・これ以降に本格的に島の利用が始まっています。
国有地となった土地を、西之表の士族が借り上げ牧畜業を開始しています。
・1880年(明治13年)・・・・政府の緬羊飼育場が造られるなど開拓が進んでいます。
・1941年(昭和16年)・・・・太平洋戦争が始まり、無人島になります。
・1951年(昭和26年)・・・・緊急開拓事業による農業開拓団が入植を開始しています。
・1959年(昭和34年)・・・・この頃がピークで、113世帯528人が島に住み、サトウキビ栽培や酪農を営んでいたそうです。
・1963年(昭和38年)・・・・西之表港から定期船が就航しました。
・1965年(昭和40年)・・・・製糖工場が閉鎖になっています。
これだけでなく、干ばつや風害で農業の不振が続いたことやまた、農業に適さない土地であることに加え、害虫や鹿の農作物被害や食害が増加し、生活が困窮したため、島民は徐々に島を離れていきました。
・1974年(昭和49年)・・・・平和相互銀行により馬毛島開発株式会社が設立されています。
当初はレジャー施設の建設を計画していたが挫折し、馬毛島が国の石油備蓄基地の候補地になったことから土地買収が進みました。
・1975年(昭和50年)・・・・この頃から馬毛島開発株式会社による馬毛島買収が始まり、土地利用を巡って翻弄される時代が続きます。
・1980年(昭和55年)・・・・3月に最後の島民が島外に移住し、西之表市立馬毛島小・中学校も最後の卒業生を送り出して閉校し島は無人島となりました。
このあと馬毛島は、日本の無人島の中では北海道の渡島大島(面積9.73km²)に次いで2番目に面積が大きい島となりました。
この頃に、核施設誘致案が浮上しています。
・1983年(昭和58年)・・・・馬毛島事件がありました。
右翼活動家の豊田一夫さんが、平和相銀監査役の伊坂重昭(元東京地検特捜検事)さんらにもちかけ、馬毛島の土地をレーダ基地として防衛庁に売却することを計画し、政界工作として総額20億円を20人近い自民党議員に渡したとされています。
しかし、結局レーダ基地は建設されることはありませんでした。
・1984年(昭和59年)・・・・石油備蓄基地は、志布志湾地区に立地が決定し、馬毛島は候補地から外れました。
これ以後島は放置されています。
・1985年(昭和60年)・・・・山火事が発生した影響で、集団化したトノサマバッタが大発生(蝗害)しました。
・1986年(昭和61年)・・・・馬毛島事件が発覚し、経営が悪化していた平和相互銀行は住友銀行に救済合併されました。
トノサマバッタの大発生は収束したそうです。
・1995年(平成7年)・・・・立石建設工業(会長は立石勲さん)が馬毛島開発を買収して子会社(現在のタストン・エアポート株式会社)とします。
馬毛島開発は島の土地の買収を進め、西之表市の公有地である市道と旧学校地を除く大半を所有地としました。
馬毛島開発では、日本版スペースシャトル (HOPE) の着陸場、使用済み核燃料中間貯蔵施設などを誘致するとの構想を持っていましたが、実際の開発は進まず、わずかに採石事業などが行われていました。
・1999年(平成11年)・・・・この年に、使用済み核燃料中間貯蔵施設建設候補地として検討されていることが判明しています。
・2005年(平成17年)・・・・国勢調査では、馬毛島開発の従業員15人が住民として登録されており、再び有人島扱いとなっています。
・2007年(平成19年)・・・・硫黄島に代わるアメリカ海軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練 (FCLP) に利用する可能性が報道されました。
これに対し周辺自治体議会は反対決議を可決しています。
・2008年(平成20年)・・・・立石建設工業の会長である立石勲さんが、日本政府から内々にある申し出を受けています。
「馬毛島を日本政府に譲渡してほしい」と言われ、立石さんは政府からの申し出に、「譲渡ではなく貸し出しならば交渉してもいい」と回答したと事情を知る関係者が語っています。
「これまで島内の整備にあたって立石さんは一銭の補助も受けていない。投資額を回収するために、できるだけ政府からお金を引きだそうとしたんです」といわれています。
この後も、日本政府側、つまり防衛省と立石さんとのやり取りは内々に続けられたそうですが、買い取りを要求する防衛省側と、貸与を主張する立石さん側の溝は埋まらなかったそうです。
この年には、米軍厚木基地の空母艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)の候補地として馬毛島の名前が浮上しています。
防衛省は水面下で調査検討したらしいのですが、訓練区域の一部に屋久島が入ることから自然環境に配慮して断念したそうです。
・2009年(平成21年)・・・・政権が自民党から民主党に変わり、12月に沖縄県宜野湾市にある普天間飛行場の移設候補地として検討されました。
馬毛島開発は島で土木工事を進めており、4,000m級の滑走路を建設するとしていました。
民主党として初の政権を担った鳩山内閣を瓦解させることになった米軍普天間基地の移転問題ですが、その鳩山由紀夫元首相が移転先の「腹案」として徳之島を挙げる前に、閣内で最初に検討されていたのが馬毛島だったそうです。
これも結局、沖縄本島から遠いことで立ち消えになったそうですが、鳩山さんは当初賛成の意向だったと言われています。
・2011年(平成23年)・・・・5月に、北沢俊美防衛相が陸上空母離着陸訓練施設の候補として検討を指示していることが報道されました。
2011年6月になり土地の99.6%を所有するタストン・エアポート社(馬毛島開発から商号変更)と防衛省の間で、用地交渉開始の合意書が締結されました。
また日米安全保障協議委員会(2プラス2)において、FCLPの移転先として馬毛島を検討対象とすることが共同文書に明記されました。
報道等では、馬毛島開発が島を十字に横切る「滑走路」を建設してるとしています。
馬毛島開発はあくまでも測量名目で樹木を伐採し表面を整地しており、この開発は鹿児島県への森林伐採届および林地開発の許可を得ていましたが、実際には届出よりも大規模な伐採・整地・盛土をおこなっているとされています。
この月には、過去に汚職の舞台となり、また立石建設および実質的なオーナーの立石勲さんが、法人税3億2000万円を脱税したとして在宅起訴され、有罪判決を受けています。
2011年7月には、開発工事によりマゲシカが2000年以降半減しているとの研究者による調査結果が報道されました。
これを受けて実態調査を鹿児島県に要望する動きも出ていました。
2011年9月には、タストン・エアポート社による乱開発により土砂が流出して漁場が破壊されたとして、地元種子島の漁師らが工事の差し止めや漁獲量の減少に対する慰謝料を求める訴訟を起こしました。
またこの他に、地元住民が行政(鹿児島県・国)を相手に開発の違法性を放置した責任を問う行政訴訟、および馬毛島の港周辺の入会地の一部を入会権を有する漁民の一部が旧馬毛島開発社に切り売りしたことの無効性を問う入会権裁判も起こしています。
なお、地元西之表市は、タストン・エアポート社による馬毛島の森林開発等の現状を確認するための立ち入り調査を再三申し入れていますが、同社は一貫して拒否し、2011年9月15日には鹿児島県が同社の大規模造成に対して違法伐採の疑いや課税上の問題があるとして現地調査の受け入れを要請しています。
・2012年(平成24年)・・・・防衛省と折り合いがつかないことになったことより、所有者である立石さんが、触手を伸ばす中国企業に「売却してもよい」と発言したことが話題になっています。
「中国の企業が何社か接触してきている。日本の対応次第では売ってもいい」と言っています。
「それまでは、本意ではないだろうと高を括っていたんですが、8月の尖閣諸島騒動で事態は一変した。馬毛島の周辺には佐世保や沖縄などの米軍基地があって地政学上、非常に重要な場所です。ここを本当に中国に取られたら国防上、危機的な状況に陥ると省内で危ぶむ声が高まってきた」との政府談です。
・2016年(平成28年)・・・・1月に島の土地を担保として5億円の根抵当権が仮登記されています。
その権利者であるAさんは広域暴力団の元組長だった人物と言われています。
Aさんは2009年に組織を破門されたものの、その後も配下を別の組に所属させてみかじめ料を徴収していたほか、2011年には銃刀法違反で逮捕されたこともあるとのことです。
4月に、おおさか維新の会が米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」に向けて、暫定的な機能移転先の候補として政府に提案している馬毛島(西之表市)の地権者が土地の賃借・売却条件を政府に提示したことが27日までに分かったそうです。
年間20億円で5年間の賃借契約後に売却する意思を示す要望書を、同党を通じて菅義偉官房長官と防衛省に提出したとのことです。
同党政調会長の下地幹郎衆院議員は「沖縄の基地負担軽減と普天間飛行場の5年以内の運用停止を実現するには、馬毛島を活用して訓練移転するしかない。年間賃貸料は普天間飛行場の軍用地料の3分の1程度だ」と話しました。
総理大臣の安倍晋三さんは4月18日の国会答弁で「一時的なものであっても、馬毛島に普天間飛行場のオスプレイなどの運用機能を移転することは困難ではないかと考えている」と消極的な見解を示しました。
11月4日、防衛省による用地買収について、土地所有者のタストン・エアポート社との契約に目途が立ったことが明らかになりました。
立石勲さんと日本政府の間で売買交渉が進められ、当事者の立石さんも取材で、「当方と政府がそれぞれ土地の鑑定を進めている段階」と言っていました。「(2017年)3月にはお互いに鑑定額を出し合う予定です」とも答えていましたが、先に述べたような”5億円の根抵当権が仮登記” の問題があると、立石さんとの金額交渉が折り合えば済む問題ではなくなっているみたいです。

このように、いろんなことがあった馬毛島です。
2009年に、民主党政権になって、当時の防衛大臣だった北澤俊美さんが、自ら立石さんとの交渉にあたったそうです。
北澤さんは、防衛官僚がいやがる交渉の矢面に立ち、具体的な金額提示まで行なったそうです。
立石さんもいったんは売却に気持ちが傾いたようです。
でも、その金額は150億円も島に投資した立石さん側の希望と余りにかけ離れていたそうです。
明らかにされてはいないのですが、50億円にも満たない金額だったようです。
今になって、「買う」とか「借りる」とかの問題がクローズアップされていますが、例えば年間20億円で5年間の賃借契約をするとすれば、7年半で150億円です。
2009年に150億円以上で買っていれば、国家の問題にはならなかったと思います。
8年経ってからこのようなごたごたは、当然起きなかったのだろうと思いますし、民主党政権の先見の目も見直されたのだろうと想像します。
公共事業なら150億円といえばそんなに大規模な工事じゃないはずです。
ましてや、日本で2番目に大きい島なら150億円でも手ごろだと思います。
それだけではなく、アメリカの基地がある岩国から馬毛島までは約400kmで、無人島のため騒音問題も生じにくく、土地が平らで大規模造成が不要な上、X字形に滑走路2本も造成されており、「これ以上の適地はない」(防衛省幹部)と指摘されてきた経緯があります。
これだけではありません。
例えば、中国側に売り渡したとしたら、
「外国企業が離島を買うとなっても法的に禁止することができません。さらに問題なのが日本の法体系の中には買った土地に対する禁止条項がないこと。個々の自治体による行政上の制約はあるが、安全保障上の規制ではない。例えば通信施設が作られたとしても、国として強制的に立ち入り調査することはできないんです。外国企業に島を買い取られた場合、島を日本の監視下におくことは現実的に難しい」という防衛省幹部の話です。
これは、尖閣諸島どころではありません。
日本の真ん中に中国があるのですから。

それと、日本人が中国の土地は購入できないのに、中国人が自由に日本の土地を購入できるのは問題があると思います。
「外国企業が離島を買うとなっても法的に禁止することができません。さらに問題なのが日本の法体系の中には買った土地に対する禁止条項がないこと。個々の自治体による行政上の制約はあるが、安全保障上の規制ではない。例えば通信施設が作られたとしても、国として強制的に立ち入り調査することはできないんです。外国企業に島を買い取られた場合、島を日本の監視下におくことは現実的に難しい」
これは、先ほどと同じことを書きましたが、これにはびっくりです。
例えば、日本人が中国で土地を購入することはできず、購入できるのは土地使用権のみです。
期限に達すると、再び評価額を提示され、再度その支払いを強要されるか、或いは別の場所に移るしかありません。
土地に限らず、国債も買えないし、株式も香港上場株しか買えません。
そのことを考えると、あまりにも一方通行の政策です。
中国にいいようにされるのは、もう勘弁願いたいものです。

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馬毛島はオスプレイ訓練の移転先としてだけでなく、自衛隊にとっても先島諸島緊急増強部隊への「事前集積拠点」として予定されているとされています。
鹿児島県のみららず、日本の中心みたいな場所です。
こんなところを中国が買ったらと思うとぞっとします。

馬毛島地図
馬毛島の全体図です。
整備しているかどうかはわかりませんが、滑走路はあります。
なにも開発をしていない島なら、滑走路にするための平坦地にするだけで何十億はかかると思います。
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