小笠原諸島の無人岩

小笠原諸島に無人岩があります。

小笠原諸島は、日本と言っても日本でないほどの孤島で、独自の進化をした動植物にあふれた島々です。
小笠原諸島の地質についても、とても稀少なものがたくさんあります。
そのあたりに転がっている石であっても、小笠原特有の珍しい岩石になります。
その中でも、無人岩((むにんがん、ぶにんがん、boninite、ボニナイト)という岩石は、特異な化学組成と希有な鉱物を含むことで有名です。
無人とは小笠原の古名で、無人岩はそこから名付けられた岩石名です。
無人岩は水分を多量に含むマントル物質が部分溶融して出来たマグマが、約4600~4800万年前に噴出して固化したものと提案されていますが、そのようなマグマの生成機構は良く分かっていません。
この無人岩は、火山岩の一種で、広義には安山岩に区分されますが、
・普通の安山岩と比較してマグネシウムの含有量が極めて高いこと
・安山岩には普通に含まれる斜長石と呼ばれる鉱物を含まずに、単斜エンスタタイトと呼ばれる鉱物を含む
ことで特徴づけられています。
地球上で極めて稀で、特殊な岩石であり世界的に有名だそうです。
5月10日に、日本地質学会が、東京都の「都の石」として選定しています。
無人岩は1891年に、Petersenによって命名されたそうですが、実質的な発見者は菊池安さんKikuchi(1889)だそうです。
菊池安さんは無人岩に関して、ほとんど完璧といってよい記載をおこなったのですが、それが岩石学の常識を超える余りにも異常なものであったため、その後80年間完全に忘れ去られていたそうです。
白木さんと黒田さん(1975); Kuroda and Shiraki(1975)により小笠原無人岩の再確認がおこなわれ、菊池安さんの先駆的な研究が評価されました。

小笠原諸島の無人岩は、父島列島から聟島(むこじま)列島にかけて分布しています。
無人岩の溶岩は父島列島や聟島列島では一番古い地層です。
その下にはもっと古い時代の地層があるはずだそうですが、何があるかはわかっていません。
父島では、無人岩は主に北東から東側の海岸を廻って南岸にかけて分布しています。
ほとんどは枕状溶岩という海底の急斜面を流れた溶岩に特徴的な形態を示します。
海岸の崖に露出する断面を見ると、亀の甲羅に似ているので当地では「亀甲石」の名で知られているそうです。
また枕状溶岩を切って貫入した多数の岩脈を海岸の崖で見ることができます。
岩脈とは板状の火山岩体で、厚さ数10 cmから数10 m、縦横に数kmも続くことがあります。
もともと火山の地下にあったマグマの通り道が冷えて固まったものです。
特に石浦から初寝浦にかけての海岸に多く、東島との間の海上に顔をのぞかせる数多くの岩礁は全て岩脈です。
岩脈が集中しているこのあたりが「父島海底火山」の中心だそうです。
父島海底火山は北北西に延びた山体を形成し、比高500m以上あったと思われます。
現在では山頂と火山体の中心部はすっかり波に削りとられ、堅い岩脈だけが浸食に耐えて残っているそうです。
父島火山の初期の活動はもっぱら静かに枕状溶岩を流し出す穏やかな噴火でしたが、山が高くなるにつれて次第に爆発的な噴火を交えるようになりました。
このときの噴出物は夜明け山から中央山一帯の周遊道路沿いに見ることができるそうです。























(a)は、単斜エンスタタイトを含んだ無人岩の枕状溶岩です。
(b)は、白い単斜エンスタタイトの巨晶は枕の中央下部に集積しています。

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