山地での地下水の賦存状況

地下水は、人間が生活するために欠くことのできないものです。

地下水は、飲用だけでなく、いろいろの使われ方をしていますが、土木的にみても地盤の性状に大きな影響を与えています。
地下水には、
①不圧地下水
②被圧地下水
があります。
不圧地下水は、自由面地下水とも呼ばれ、その水面が通気帯と直接接し、自由に上下できる地下水面を持つ地下水で、字の通り圧のかからない水です。
平野部の浅層での透水層はこの不圧地下水です。
これに対し、被圧地下水はその上限、下限が不透水性の地層で遮水でされ、地下水面を持たず大気圧以上の圧力を有する地下水です。
被圧地下水は、
・平野部では、不透水性(~難透水性)の粘土層等に覆われている深層の地層水
・岩盤中の裂力水
中に存在しています。
そして、土粒子の場合でも、岩盤の中でも、地下水が有るか無いかでその挙動は全く異なります。
したがって、岩盤力学、土質力学の重要な検討課題となっているだけでなく、構造物の施工時でも、地下水の有無や処理の方法が非常に重要な問題になっています。
地下水が土木に与える影響としては次のようなものがあります。
①荷重増加・・・・荷重増加は土が水を含むことによる単純な重さの増加なので、一般には重さが重くなると,安定に対する必要強度も増してきます。
②強度劣化・・・・強度は水を含むと多くの場合、粘着性または割れ目の摩擦抵抗が少なくなり、強度の劣化につながります。
③間隙水圧の増加・・・・間隙水圧の増加は土粒子間に水が含まれ、これが重力水として働き、間隙水圧が増加するため有効応力に変化を与えます。
④割れ目に対する揚圧力(又は横圧力)の増加・・・・割れ目に水が作用する場合はこれに働く水頭に等しい力が揚圧力(横圧力)として割れ目の面に作用します。
⑤化学変化・・・・化学変化は力学的な現象ではないのですが、土中に水が入ることにより、これと反応のしやすい物質は化学作用を生じ、質的な変化をもたらします。

地下水には、①不圧地下水、②被圧地下水がありますが、土木的な観点からは、両者は区別して考える方がよいと思います。
①不圧地下水
不圧地下水は、主として平野部での地下水であり、近似的には水平に胚胎し、水圧は静水圧的な平衡下にあるとみなすことができます。
したがって、地下水が存在する形態をみても、帯水層と加圧層の水平構造を考えています。
②被圧地下水
被圧地下水は、主として山地部での地下水であり、地下水面は傾斜し、高標高部からの進入と谷部での排出があるため地下水は常に流動し、静水圧的な平衡状態は保たれていません。
つまり、山地を形成しているのは、一般には岩盤などの固結度の高い岩石であり、このような岩石自体は新鮮な場合ははとんど透水性を持っていません。
したがって、山地部での地下水としては
・地表部の風化帯で岩石が土砂化し、これ自体が地下水を含むことができる部分
・岩盤内の割れ目帯など岩盤中の不連続面が開口している部分
・断層や破砕帯など岩石自体の組織が壊されて地下水を通す部分
・岩石の固結度が低く岩石自体が水を含みうる部分(極くまれに地下の空洞)
などに存在し、全地山に一様には存在していません。
したがって、地下水が存在する形態をみても、地表近傍の非固結帯水層中の地下水を除き、大部分は岩盤(非透水性物質)中の割れ目や断層などの裂力水として存在するのみです。
実際に、山地でのボーリング掘削では、掘進と共に徐々に孔内水位は低くなります。
でも、山地では、違う現象もあります。
例えば、斜面の下方部や谷底でのボーリング掘削では、掘進と共に徐々に水位は上昇したり、または自噴してくるといった現象になることもあります。
特に、火山岩等の透水性の大きな地山での調査ではしばしば出会う現象であり、土木的にも与える影響は大きいものです。
したがって、山地部での調査では、地下水に細心の注意を払う必要があります。
また、ボーリング調査は水を使って掘削を行うため、一時的にですが、地山の地下水の賦存状況を大きく乱してしまいます。
ボーリング孔の孔内水位は多くの場合は、人為的なものなので、自然の状態を示していません。
自然状態の地下水環境を知るためには、
・掘削の影響が無くなる十分な時間をとること
・地下水面(自由面地下水位)と箇所ごとのポテンシャル水頭は違うものであること
・孔内水位はこれらの相互関係と人為的な影響で現れる見かけのものであること
このことを充分にわきまえて調査する必要があります。
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