四国新幹線は実現可能なのか?

先週の土曜日に、北海道新幹線が開業しました。
このことは非常に喜ばしいことですが、このことで北海道・本州・四国・九州の四島のうち四国が唯一新幹線が通らない地域になりました。

(1)新幹線の歴史
新幹線の歴史としては、1969年の新全国総合開発計画(新全総)において全国新幹線網の一環として示され、当時の総理大臣だった田中角栄の「日本列島改造論」の反映などから、1973年に基本計画が決定しています。
田中角栄のふるさとに向かう上越新幹線は、それから10年足らずの1982年11月15日に開業していますが、その後は、日本経済がオイルショック後に低成長に転じたことなどから、その後計画は進捗していませんでした。
ただし、北陸新幹線が金沢にまで延びて、2005年より工事が行なわれていた北海道新幹線も、青函トンネルを含む新青森 - 新函館北斗間が2016年3月26日に開業しました。
これに対して、四国新幹線については、2010年代に入って、JR四国および四国の各県や経済団体の関係者から高速鉄道の整備を求める意見がやっと出だし、区間を限定して建設する構想も提言されました。
これを受けて、2015年2月3日、愛媛県西条市神拝の市総合文化会館で、愛媛県の中村時広知事ら四国4県の知事や副知事、JR四国社長らが、四国新幹線の実現を目指すシンポジウムを開いた程度です。

(2)四国新幹線と現在架かっている橋
四国新幹線には、当初の計画として、「四国新幹線」「四国横断新幹線」の2ルートがありました。
2008年現在は、フル規格や山形・秋田のようなミニ新幹線規格ではなく、フリーゲージトレイン計画が主に構想されていました。
基本計画決定翌年の1974年以来、毎年運輸省→国土交通省より海底トンネル等の地質調査費が支出されていたのですが、事業の目処が立たない状況での調査費支出に対する批判により、2008年5月22日、国土交通省は2008年度の調査費予算の執行を中止すると発表しました。
この発表に対して、地元紙の一つである愛媛新聞は社説で、すでに地元が(フル規格の)新幹線の早期実現が困難と認識済みでフリーゲージトレインの誘致に目標を変えていると指摘した上で、「実現のめどが立たない新幹線の調査費が問題視されるのは当然」と述べています。
まずは、各ルートの検討を行う前に、現在架かっている大鳴門橋、明石海峡大橋、瀬戸大橋は、鉄道そのものが新幹線規格なのでしょうか?
まずは大鳴門橋ですが、現在は鉄道はないのですが、橋の構造としては、上下2層式となっているそうで、上部は片側3車線の道路(現在は計6車線の内、中央4車線を使用)、下部は将来的に鉄道 (四国新幹線)を通すことが出来る構造となっているそうです。
明石海峡大橋については、道路専用橋に計画が変更されています。
このため、明石海峡または紀淡海峡に紀淡海峡トンネル等の海底トンネルを掘削する必要が生じ、両海峡の地形・地質等の調査を鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行っていたのですが、2008年度に予算執行が停止されています。
瀬戸大橋については、新幹線規格で建設されています。
つまり青函トンネルと同じように線路を3本にして、共用して走行できるようにできるそうです。
また、路線を決定するにあたり基本的に次のことを考慮して選定しています。
①路線選定は海峡部橋梁(道路・鉄道併用橋)の位置を確定の上、既設線に連絡するものとし、やむを得ない区間(海峡部取付部、停車場予定地)等を除き、市街地を出来るだけ避けることとした。
②計画に適用した鉄道規格は用線規格で複線構造とし、全国新幹線網の計画により瀬戸大橋線の海峡部には、新幹線規格複線を併せて載荷出来るように複々線構造とし、陸上部も用地取得上新幹線を併設しうるよう選定した。
(現在新幹線の建設の見通しがないため用地は取得していない)
③列車の最高速度は新幹線250km/h、在来線120km/hとして曲線を選定し、海峡部については地形上の制約と吊橋上における列車走行の安定性から新幹線160km/hを目標とした。
④最大編成両数は在来線12両、新幹線は16両とし、貨物の最大けん引力は1200 t とした。
⑤海峡部での強風、霧等のために列車の抑留設備を考える。
つまり、瀬戸大橋だけは、線路を3本にするだけで、走行可能となります。

(3)四国新幹線のルート
四国新幹線には、現在では3ルートが考えられています。
これについて検証してみましょう。

1)ケース① 基本計画「四国新幹線」に基づくルート

①整備総延長: 477km
②概算事業費:4.02兆円(建設費:3.99兆円 車両費:0.03兆円)
③新大阪駅までの所要時間
・徳島駅 : 40分(▲133分)
・高松駅 : 61分(▲ 43分)
・松山駅 : 98分(▲112分)
・高知駅 : 199分(変化なし)
④平均輸送密度: 16,200人/日
⑤経済波及効果:(4県全体) 162億円/年
⑥費用便益比(B/C): 0.31
費用便益率(B/C)は、次御油の収支採算率ではなく、事業の社会的な投資効率に関する指標の一つでだそうす。
B/Cが1.0を超えるなら、社会全体にもたらされる効果が、投資する費用を上回るとされます。
⑥ルートの特徴
・海峡部分は海底トンネルを想定
起点の大阪市では2045年に中央新幹線が開通予定であり、その延長線として四国新幹線を建設し、豊予海底トンネル経由で沿線人口の多い九州新幹線と連絡させることにより、東京-九州間が2時間半以内で結ばれるため四国新幹線自体に相当数の需要が見込まれ、また東海道・山陽新幹線のバックアップ路線として第二の国土軸である太平洋新国土軸の基幹交通となり得ることから、四国新幹線をリニア方式で建設する構想もあるそうです。
・平均輸送密度が最大
・山陽新幹線の代替経路の確保

2)ケース② 基本計画「四国横断新幹線」に基づくルート

①整備総延長: 143km
②概算事業費:0.73兆円(建設費:0.71兆円 車両費:0.02兆円)
③新大阪駅までの所要時間
・徳島駅 : 148分(▲ 25分)
・高松駅 : 88分(▲ 16分)
・松山駅 : 193分(▲ 17分)
・高知駅 : 92分(▲103分)
④平均輸送密度: 6,100人/日
⑤経済波及効果:(4県全体) 87億円/年
⑥費用便益比(B/C): 0.59
⑥ルートの特徴
・山陽新幹線への乗り入れを想定
・南海トラフ地震等の避難、災害復旧に必要なネットワークの確保

3)ケース③ 「四国新幹線」と「四国横断新幹線」を組み合わせたルート。
鉄道併用の瀬戸大橋を経由した四国への延伸を四国の新幹線計画の先行整備として位置づけ、次段階では、海峡部分の整備も視野に入れています。

①整備総延長: 302km
②概算事業費:1.57兆円(建設費:1.53兆円 車両費:0.04兆円)
③新大阪駅までの所要時間
・徳島駅 : 95分(▲ 78分)
・高松駅 : 75分(▲ 29分)
・松山駅 : 98分(▲112分)
・高知駅 : 91分(▲104分)
④平均輸送密度: 9,000人/日
⑤経済波及効果:(4県全体) 169億円/年
⑥費用便益比(B/C):1.03
⑥ルートの特徴
・山陽新幹線への乗り入れを想定
・4県県庁所在地を新幹線で結節
・投資効率性がある(B/C>1.0)
・経済波及効果が最大
・将来的な海峡部分の整備により、山陽新幹線の代替経路を確保

四国新幹線は、いずれのルートでも四国内移送時間の大幅短縮が図れます。
そして、四国内の交流の活発化が予想されます。
高松駅~松山駅の所要時間は、現在の142分から42分へ大幅に短縮され、対岸の岡山駅~広島駅の所要時間である34分(山陽新幹線)と、ほぼ同じ程度になります。
私は、松山に住んでいるので、ルート①かルート③がより便利なのです。
現状では、淡路島の紀淡海峡トンネルと豊予海底トンネルの開通は無謀な計画と思われます。
実現可能なルートとしては、ルート③の、瀬戸大橋から、松山や高松、高知へと放射状に散らばるルートは1.57兆円なので、これぐらいだと実現する可能性がありますね。

新幹線整備による四国主要駅間の所要時間の変化(ケース③)
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