伊豆諸島のベヨネース列岩

伊豆諸島にベヨネース列岩があります。

ベヨネース列岩(ベヨネースれつがん)は、ベヨネース岩礁、ハロースとも呼ばれていますが、伊豆諸島の岩礁群です。
欧名は「Bayonnaise Rocks」だそうです。
東京都の直轄であり、都の出先機関である東京都総務局八丈支庁が所管していますが、どの町村に属しているかは未定の状態だそうです。
伊豆諸島の南部で、東京都から南に408km、青ヶ島の南約65kmに位置し、3個の烏帽子形の大岩礁と数個の小岩礁から成り、海面下約1500mに基底をもつ海底火山の外輪山(カルデラ直径10km)の西縁で、基盤岩は玄武岩(SiO2 47~52%)です。
1952~1953年に活動した明神礁(主にデイサイトSiO2 63~69%)はベヨネース列岩の東約10kmにあり、比高約300mの円錐状をなし、山頂に直径約600mの火口をもつ後カルデラ火口丘です。
この明神礁とベヨネース列岩の間には、直径約8kmの海底カルデラ「明神礁カルデラ」が存在し、その中央に最浅水深372mの中央火口丘があります。
カルデラ底は環状に分布し、水深は1000mを越えるそうです。
ベヨネース列岩は、「明神礁カルデラ」のカルデラ縁上に位置しますが、形成時期は明神礁カルデラより古いそうです。
下の写真でも想像できるように、植生はほとんどなく、渡り鳥の休息地となっています。
近海ではしばしば海底噴火が発生しています。
周辺は黒潮が流れていて好漁場のため、釣り目的で漁船で岩礁に上陸する人もいるようです。
大型の魚が釣れるそうですが、常に波浪にさらされるため、波にさらわれたり海に転落する危険があり、磯釣りに慣れた上級者向けとされています。

ベヨネース列岩は、1846年にフランス海軍のコルベット「バイヨネーズ」が発見し、名前はこれに由来しています。
1896年以降、火山活動による海面異常や海底噴火がみられ、1906年、1946年、1952年 - 1953年には付近の明神礁で新島も出現しました。
この新島は青ヶ島からも遠望できるほどに成長したのですが、その後荒波に呑まれて海中に没しています。
下表の活動記録にもあるように、火山活動のため、ベヨネース列岩は危険で、そのうえ常に波浪にさらされ接岸は非常に困難でした。
しかし、1953年10月5日にアメリカの海洋観測船「ベアード号」の調査団長がゴムボートで上陸し、岩石採取に成功しています。
ベヨネース列岩は波浪で上陸困難だったことから、波浪の巣という意味で別名「ハロース」とも呼ばれるようにもなりました。
2012年3月15日の東京都議会予算特別委員会の質疑において、中野区の都議であった吉田康一郎さんが、ベヨネース列岩の個々の岩(島)に命名をするとともに、「ベヨネース」という洋名についても、日本語由来の名称を付けるべきと提案しています。
この時に、吉田さんは、列岩の総称に「波浪巣島」「波浪巣岩」、3個の大きな烏帽子形の岩に「北烏帽子岩」「中烏帽子岩」「南烏帽子岩」、小さな岩礁に国に倣って「東小岩」「西上小岩」等の名称を提案し、都民に広く名称案を募り、知事を長とする選考委員会で選定することを求めています。
これに対し、当時の都知事だった石原慎太郎さんは「大賛成でありまして、責任を持ってやりたいと思います。」と答弁しましたが、それから4年経った現在でも和名には変わっていません。

写真でもわかるように、現在は、この岩礁に住むものはいません。
でも、近年ではこの岩礁での研究が進められ、この岩礁を開拓する光景も見られるそうです。

2
これがベヨネース列岩ですが、今にも白波に飲まれそうな感じです。
この岩礁に住むというのはとんでもない事だと思います。

ベヨネース列岩における有史以降の火山活動の記録
年代現象活動経過・被害状況等
▲1869(明治2)年噴火海底噴火。
▲1870(明治3)年1マグマ水蒸気噴火?、あるいはマグマ噴火?小島噴火:詳細不明。噴火場所は明神礁。
▲1871(明治4)年噴火海底噴火。噴火場所は明神礁。
▲1896(明治29)年マグマ水蒸気噴火?、あるいはマグマ噴火?噴火場所は明神礁。
小島岩が噴出し烈しく波浪する。
▲1906(明治39)年マグマ水蒸気噴火、あるいはマグマ噴火噴煙:4 月14 日。軽石浮流。噴火場所は明神礁。
▲1915(大正4)年マグマ水蒸気噴火、あるいはマグマ噴火海底噴火:岩石噴出、噴煙。噴火場所は明神礁。 4 月14 日海底噴火。7 月1 日噴煙、海水噴き上げ。
同上噴火6 月19 日。噴火場所は明神礁及び高根礁。
▲1934(昭和9)年(海水変色)海底噴火:5 月20 日。海水黄変、硫黄臭。噴火場所は明神礁。
1945(昭和20)年1火山ガス10~ 11 月。乳白色に海水変色。噴火場所は明神礁。
▲1946(昭和21)年マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火噴火場所は明神礁。
新島出没:1 月新島発見。2 月長さ200m、幅150m。4 月4個の新島(高さ約36m)。10 月高さ100m のもの1 個。12 月 海面下に沈下。
▲1952~ 53(昭和27~28)年マグマ水蒸気噴火、マグマ噴火、(海水変色)降下火砕物、火砕サージ、溶岩ドーム、火砕物重力流、(海上浮遊軽石)。噴火場所は明神礁。 大爆発を伴う新島出現。9 月17 日海底噴火(噴火した浅瀬を明神礁と命名)。新島は径百数十m、高さ数10m。中・下 旬に大爆発。9 月23 日新島沈没。9 月24 日調査中の水路部所属第5 海洋丸遭難、31 名殉職。10 月11 日頃再び新島 出現(翌年3 月11 日頃消滅)。4 月5 日頃みたび新島出現(9 月3 日頃海面下に沈下)。
▲1954(昭和29)年噴火11 月4 日。噴火場所は明神礁。
▲1955(昭和30)年噴火6 月25 日。噴火場所は明神礁。
1957(昭和32)年火山活動?5 月2 日。場所はベヨネース列岩付近。 海面に深海魚の死体浮遊。海底火山活動によるものと推定。
▲1960(昭和35)年マグマ水蒸気噴火、(海水変色)7 月21 日。噴火場所は明神礁。
噴煙2,000~ 3,000m、軽石浮遊。
▲1970(昭和45)年マグマ水蒸気噴火、(海水変色)1~ 6 月。噴火場所は明神礁。 噴煙、軽石浮遊。
▲1971(昭和46)年(海水変色)3 月18 日、8 月21 日。噴火場所は明神礁(3 月18 日)、明 神礁の北東約7 海里地点(8 月21 日)。
▲1979(昭和54)年(海水変色)7 月13 日。噴火場所は明神礁。
▲1980(昭和55)年(海水変色)11 月15、18、19、26 日、12 月23 日。噴火場所は明神礁。
▲1982(昭和57)年(海水変色)8 月10 日。噴火場所は明神礁。
▲1983(昭和58)年(海水変色)5 月12 日。噴火場所は明神礁。
▲1986(昭和61)年(海水変色)10 月24、25 日。噴火場所は明神礁。
▲1987(昭和62)年(海水変色)10 月21 日、12 月9 日。噴火場所は明神礁。
▲1988(昭和63)年(海水変色)3 月18、19 日。噴火場所は明神礁。

日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)より抜粋しました。

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