ナウルとリン鉱石

オセアニアにナウルという国があります。

ナウルは、太平洋南西部に浮かぶ珊瑚礁のナウル島にある共和国で、イギリス連邦加盟国です。
国土面積は21km2であり、バチカン市国、モナコ公国に次いで面積が小さく、人口は、国際連合経済社会局人口部の作成した『世界の人口推計 2010年版』によると10,210人であり、バチカン市国、ツバルに次いで人口が少ない国です。
地理的には、ニューギニア島から東に2,000kmの位置で、周囲は19kmです。
赤道よりわずかに40km南に位置し、ミクロネシアに属しますが、周囲の島からは孤立しています。
北東のギルバート諸島からは約500km、南西のソロモン諸島からは約1,000km離れています。

ナウル島はサンゴ礁ですが、形態としては裾礁にあたります。
裾礁(きょしょう fringing reef)は、岸サンゴ礁とも呼ばれ、島または陸地の周縁に接して発達しているサンゴ礁です。
つまり、海岸を取り囲む形で,水中の浅い所に発達するのが特徴で、ナウル島に限らず、赤道周辺の島に多く見られ、日本では奄美や沖縄、小笠原の各諸島に見られます。
そして、その幅は砂浜のある緩斜面や風浪の弱いところで広く、磯の部分や風浪の強いところ、また海水の濁りやすいところで狭くなっています。
このようなサンゴ礁は、サンゴ礁発達の初期に見られるそうです。

このようなナウルですが、島の中央部は良質のリン鉱石(グアノ)からなる台地であり、採鉱用の一時的な施設を除くほぼすべての建造物は海岸沿いに並んでいます。
台地は島の面積の約80%を占めており、標高は約70mだそうです。
リン鉱石は、数百万年の間堆積したアホウドリを始めとする海鳥の糞に由来します。
ナウルは、このリン鉱石の採掘によって栄えた時代がありました。
当時は、世界で最も高い生活水準で、税金を徴収されず、医療、教育は無料、年金制度(老齢年金ではなくベーシックインカムとして全年齢層に対する給与としての支給)を始めとした手厚い社会福祉を提供していました。
だけども、最盛期には年間200万トンのリン鉱石を輸出していたのですが、資源の枯渇が進み、2002年時点で数万トン、2004年時点で数千トン規模にまで採掘量は減少しました。
海鳥の糞に由来してできたリン鉱石なので、無謀に採掘すれば当然枯渇するのはわかっていたと思います。
リン鉱石が枯渇してからのナウルは、基本的なインフラを維持するのでさえ困難な深刻な経済崩壊が発生し、オーストラリアやニュージーランドなどの近隣先進国や、日本からの援助に依存しているのが現状です。

掘削跡は、その下層基盤岩である石灰岩が露出しているそうで、1990年にはすでに、風化と浸食により広大なカルスト地形を形成していたそうです。
特に浸食のひどい所ではピナクルという柱状の岩が多数そびえ立ち、島の中央部は耕作はおろか一切の車両が通行できないほど荒廃しているところもあるそうです。
ただし、枯渇した資源の回復は見込めないのですが、かつて掘削した岩滓を整理すれば、なお総量100万トン程度の資源量は確保できるそうです。
また、既に第一層のリン鉱石は掘り尽くされた(約1億トン)とされていますが、第二層のリン鉱石の地層(約2,000万トン)が存在すると予想されています。
国営のナウル・リン鉱石会社は「ナウル共和国リン鉱石会社(Republic of Nauru Phosphate、略称:RONPhos)」と改名し、毎年のように続く政変、公務員への給料未払いなど混沌としたナウルの政治・経済情勢下では、リン鉱石の採掘のみがこれを打開できるので、現在でも採掘計画を策定中との事です。

余談ですが、ナウルでは、国民の30%以上が糖尿病を患っており、人口比の罹患率は世界一だそうです。
これには、南太平洋のほかの諸国全般と同様に、太った人(特に女性)が魅力的とみなされる国民性があるそうです。
これは、「豊満な女性のほうが健康的で、子供をたくさん産める丈夫な体を持っている」と思われていることによるそうで、また経済的に豊かだった頃に食の欧米化が進んだことも原因の一つとされています。
交通では、自動車と自転車、スクーターが主な移動手段となっています。
高速道路や地下鉄などは存在していません。
リン鉱石を運ぶための鉄道は、資源の枯渇と共に廃線となっています。
路線バスについては、日中は約1~2時間おきに島の海岸部を1周する巡回するバスが、運賃無料で運行しています。
タクシーの乗車と同じ方式で、手を上げると止まり乗車できるそうです。


島全体が珊瑚礁に囲まれ、リン鉱石からなる尖った岩石(ピナクル)が点在しています。


これが、リン鉱石を採掘しすぎて残ったピナクルです。
20世紀初頭には、海鳥の糞が数百万年間堆積してできたリン鉱石の輸出により、税金免除、医療・教育の無料化、さらには国民全員への年金支給など(労働は外国人労働者)世界で最も裕福な国となったのですが、20世紀末にはリン鉱石が枯渇しました。
1世紀近く働かずにいた人々は、労働意欲がなく、現在の失業率は90%程度といわれています。


浅瀬にまで、ピナクルという柱状の岩が多数そびえ立っています。
景観としてはすばらしいのですが、景色のいいところはナウルのような裏話もあるのかも知れません。
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