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森林の生態系

森林の生態系について考えてみたいと思います。

森林生態系には、
①自然林生態系
②都市域森林生態系
③人為森林生態系
があります。
このうち、都市域森林生態系は都市によって分断され孤立化してしまった生態系のことをいい、その特徴は自然林生態系とは全く違うものとなります。

[1]自然林生態系について
自然林生態系は多様で持続可能な生態系であるといえます。
その特徴は巨大な現存量を持つこと、そして分化した空間構造です。
巨大な現存量とは、例えばブナ林であればその現存量は350ton/haあり、これは畑や草地の10~100倍に相当する現存量になります。
また、分化した空間構造とは草本、低木、亜高木、高木という階層構造を持っています。(後で説明します)
階層構造を持つということはそれだけ多様な樹種が存在しているということになります。
自然林生態系には、その特徴から次のような機能を持っていると言えます。

(1)気象緩和
気象緩和とは森林内部が安定した環境であることを言っています。
森林では林冠の葉層によって太陽光のエネルギーは吸収されてしまい内部にまでほとんど届きません。
また、地表からの放射熱も少なく気温や湿度の日較差が小さくなります。
これを詳細に検証すると、
①気温変動の緩和
森林の外に比べると、森林の中は夏涼しくて冬暖かくなっています。
これは、夏には樹木など植物の活発な蒸散作用や土壌表面からの水分蒸発により大量の気化熱を消費したり、また、単純に木陰ができたりすることで涼しく感じられます。
②湿度変動の緩和
森林の外に比べると、森林の中は湿潤です。
これは、蒸発散作用により常に空気中に水蒸気が放出されていると考えられています。
③防風
森林は風上で樹高の約5倍、風下で約35倍の風速を低下させることができます。
風速が低下することで、背後にある道路や屋敷を守ってきました。
④防霧
霧を樹木の枝葉に付着させ、その後、土壌に雨として滴下するか、枝葉の表面で蒸発させ、やはり背後にある道路や屋敷を守ってきました。

(2)侵食防止
雨が降ったとき、裸地では水滴が地表に直接衝突します。
このとき表面が少しずつ削られていきます。
しかし、森林では階層構造を持っているため、雨が地表に衝突することがありません。
したがって地表が侵食されることなく留まり続けることができます。
①階層構造とは
森林を構成している多くの植物は、ただ雑然と生えているようであるが、その高さによって分けると、森林の構造が見えてきます。
暖温帯の森林では、階層構造はふつう4層に分けてとらえています。
高木層から草本層まで、どんな植物が生育しているか列記します。

・高木層‥‥‥ ●シラカシ、○ヤマザクラ、
        ○コナラ、○イヌシデ
・亜高木層‥‥ ★モミ、●ウラジロガシ、
        ●シラカシ、●アカガシ
・低木層‥‥‥ ●ヒサカキ、●シロダモ、
        ●ヤツデ、●アオキ
・草本層‥‥‥ ▲ベニシダ、◆ヤブラン
        ◆ジャノヒゲ、●キヅタ

●常緑広葉 ○落葉広葉 ★常緑針葉樹
▲シダ類 ◆単子葉(平行脈)

(3)大気浄化
森林は生産者である植物の集まりであり、そこでは盛んに光合成が行われ二酸化炭素を吸収し酸素を作り続けています。
これを詳細に検証すると、
①二酸化炭素の吸収と酸素の放出
葉における光合成による大気中の二酸化炭素の取り込みと酸素の放出によって大気中の酸素や二酸化炭素ガス濃度を安定させています。
②環境指標
大気汚染のような慢性的な環境変化に対して樹木は生理異常や枯死によってその被害状況を表現しています。
つまり、環境の見張り役として、また環境悪化の警報として森林は重要です。

(4)土砂流出防止
森林内部の土壌は団粒構造をとっています。
これは雨水の浸透を促進し樹木の根系を発達させます。
樹木の根が発達すれば土壌は固定されるので流出を防ぐことができます。
これを詳細に検証すると、
①侵食や崩壊の防止
地表面を流れる水の量を減らすことで、表土の保全や大規模侵食の防止、そして土石流の低減にもつながります。
②水源涵養
地表面を流れる水の割合を減らして、降雨後の急な増水や渇水が生じにくくする機能があります。

(5)保水
森林は緑のダムとも呼ばれるように地下に保水しておく機能が優れています。
保水することで地下水脈を形成することができます。

(6)その他
①防火
生きている樹木は水分含有量が高く燃えにくい性質を持っています。
②避難場所
災害時の避難場所として、都市内の森林は重要になっています。
③騒音防止
樹木の枝葉によって波動エネルギーを失わせたり、騒音源から適当な距離を置かせることができます。
④鳥獣魚類の保護
森林は鳥獣魚類に生息の場と餌を供給しています。
⑤保健休養
森林レクリエーションは健康増進に一役買っています。
⑥風致保全
日本の風致にとって樹木や森林は中心的存在です。
⑦教養と教育
生物学的知識を与える場となっています。
またこれだけにとどまらず、文学、音楽、絵画などの芸術の題材としての役割も果たしてきました。

[2]人為森林生態系について
人為森林生態系とは人の手によってつくられた生態系のことで、その特徴は単一樹種の集まり、同一年齢の樹木です。
単一樹種で同一年齢であれば自然林生態系のような階層構造が得られず、生態機能が劣化します。
また、林床植生が貧弱になり土砂の流出を招いたり斜面崩壊、地力低下、生物相の単純化といった問題を抱えるようになります。
一昔前には林業が盛んで、「雑木ではお金にならない 」とかでこぞってスギやヒノキを植えたものです。
そのため、日本全国でこのような人工林である針葉樹の割合は半分以上になっています。
日本の国土の67%は森林におおわれてはいますが、全国の人工林の80%は手入れができないままに放置されているのが現状です。
下草刈、間伐、枝打ち、つるきりなどの手が入らないスギやヒノキの人工林は、材としての価値がなくなるばかりでなく、地味がやせて山を荒廃させていっています。

[3]今後について
現在ではこのような森林ばかりが作られているので、何らかの対策をとらなくてはいけません。
そこで、貧弱な階層構造を改善するためにあえて伐採を行ったり、植樹を行う時点で樹種、樹齢が異なった小さな林をモザイク的に配置したり、里山と呼ばれる広葉樹の二次林を残したりといった対策をとらなくてはならないでしょう。
紅葉の季節ひとつとってみても、美しい山は限られています。
どんな山でも自然林である雑木ばっかりの山はほとんどなく、中途半端に半分人工林で半分自然林の状態です。
抜本的な施策をしてもらいたいものです。
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