丸太杭について

擁壁など、簡易な構造物で、軟弱地盤に施工する時には丸太杭が今でも使われています。
この丸太杭について調べてみました。

(1)丸太杭の長所・短所
コンクリート杭や鋼管杭と比較した場合での、丸太杭の長所および短所を調べてみました。
1)丸太杭の長所
①軽量
丸太杭は、コンクリート杭や鋼管杭に比べて軽量です。
したがって、鉛直支持力の面で有利となり、重量の割に十分な強度を備えています。
②地盤との密着性
杭打設時に発生した周辺粘土中の過剰間隙水圧は、杭周面に水膜を発生させることになりますが、丸太杭はその特性から水膜を吸収するので、地盤との密着性が確保されます。
③軟弱地盤における施工性
大規模な施工機械を必要としないため、軟弱地盤における施工性に優れています。
④無泥水・無排土での施工
無泥水・無排土での施工及び間伐材の利用が可能であり、材料としては他の材質による杭よりも経済的であり、常時水面下であれば腐らず耐久性があります。
⑤温室効果ガス削減に貢献
丸太杭に加工される樹木が大気中の二酸化炭素を吸収固定し、それを地中に打設することから、二酸化炭素を地中貯蔵し温室効果ガス削減に貢献しています。
2)丸太杭の短所
①雪害・獣害による変形
材料の寸法、特に雪害・獣害による形状(根曲り・先折れ等)にばらつきがあり、品質確保と品質管理の上で注意が必要となります。
②地下水より上は腐朽
地下水より上の部分は腐朽しやすいので、対策が必要となります。

(2)丸太杭の耐久性
1)木材劣化の要因について
木材は、長期的に使用できる生物素材ですが、さまざまな理由で劣化していきます。
時間の経過とともに劣化が進むと木材の強度低下などの問題が発生し、目的とした使用に耐えられなくなります。
それに至るまでの時間は、外部の環境条件や木材の種類、発生した劣化の種類などによって異なってきます。
ここでは木材に発生する劣化の種類について解説します。
①木材腐朽菌による劣化(褐色腐朽,白色腐朽,軟腐朽)
木材が劣化する主な原因の一つで、一般的にキノコとして知られている担子菌類によるものが多く見られます。
分解の仕方により、3種類に分けられ、これらを引き起こす菌類を木材腐朽菌類と呼んでいます。
・褐色腐朽
褐色腐朽は、針葉樹材に多く、木材の主要成分であるセルロース、ヘミセルロースが分解されますが、リグニンはほとんど分解されないので、腐朽した材は褐色に見えます。
・白色腐朽
白色腐朽は、広葉樹材に多く、セルロース、ヘミセルロース、リグニンのすべてが分解されるので、腐朽した材は、白色に見えます。
・軟腐朽
軟腐朽は、セルロース、ヘミセルロースを分解しますが、褐色腐朽のようにセルロースを急激に分解はしません。
リグニンも幾分は分解します。
原因となる菌は、子のう菌類や不完全菌類であり、橋脚材や土壌に接する高含水率状態の木材を腐朽させます。
②その他の菌類やバクテリアによる劣化(表面汚染菌,変色菌、バクテリア)
これも3種類に分けられます。
・表面汚染菌
表面汚染菌は、真菌類のいわゆるカビで、木材表面の糖などしか利用できないので、質量減少や強度低下などの劣化は大きくありません。
・変色菌
変色菌は、主に子のう菌類が原因で、木材の辺材部に変色を起し辺材内部にまで影響します。
しかし、木材の構成要素であるセルロースやリグニンはほとんど分解されないので、強度低下などにはあまり影響しないといわれていますが、衝撃曲げ強度が若干低下するという報告もあります。
・バクテリア
バクテリアは、木材が湿った環境下にある時、初期に侵入してきます。
また、長期間、池や河川に貯木したり、地中に埋めたり、海水中に浸積したとき、特殊な環境下ではバクテリアによる劣化が生じます。
ただし、木材腐朽菌(担子菌など)と比べ、質量の減少(バクテリアによる分解)は少なく、実際にどの程度木材を劣化させるかについては、詳しくは明らかになっていません。
③虫による劣化(シロアリ,その他による被害)
虫による劣化において、もっとも被害が大きいのはシロアリによる食害です。
日本ではヤマトシロアリやイエシロアリの被害が多く見られます。
住宅等における虫害にはヒラタキクイムシなどの甲虫類による被害もありますが、土壌中の湿った環境で使用する丸太の場合には無視しても良いそうです。
④ウェザリング(weathering)による被害
野外に暴露することにより劣化する現象で、一般的には紫外線や光酸化によるリグニンの分解などがあります。
野外に暴露すると、1週間程度で黄変がみられ、その後退色により白くなります。
さらに進むと1年もたたないうちに暗い灰色に変色します。
分解された成分は、水可溶性の成分になることで、木材表面から溶脱していきます。

(3)木材が腐朽する条件
木材劣化の要因の中から、木材の強度低下をもたらす最も重要な原因の一つである木材腐朽菌(褐色腐朽菌、白色腐朽菌、軟腐朽菌)による劣化、腐朽の発生条件について調べてみました。
木材の腐朽が発生するには、腐朽菌が活動するために必要な水分、空気(酸素)、温度の条件が大きく関係しています。
これら必須条件のうち、いずれか1つでも腐朽菌が好まない方向へと変えてやり、その状態を維持することができれば木材腐朽の活動を大幅に抑えることができます。
ここでは、腐朽菌が活動するために必要なそれぞれの条件について解説します。
①水分
木材腐朽菌の生育には水を必要とします。
木材中に含まれる水分量を含水率と呼び、湿った
状態の木材中に含まれる水分量をその木材を乾かした際の木材の質量で割った値の百分率で表すと、
  含水率(% )=(湿った木材の質量-完全に乾いた木材の質量)÷完全に乾いた木材の質量が、40%~150%の範囲で腐朽が生じやすいと言われています。
②空気(酸素)
生物が活動していくには、必ずエネルギーを必要とします。
このエネルギーは、栄養分を分解することで獲得されますが、その方法には、酸素を必要とする「呼吸」と、酸素を必要としない「発酵」の2つの方法が存在します。
木材の腐朽をもたらす木材腐朽菌は、呼吸を行う生物の仲間であるため、空気(酸素)の存在しない環境下では活動すること(エネルギーを得ること)ができません。
したがって、木材の腐朽も生じません。
水中などで長期に木材を保存した場合、木材内部の細胞空洞すべてに水が満たされることになります。
そうなると、結果的に酸素不足になり、木材は腐朽しにくくなります。
③温度
木材腐朽菌の生育は、温度によって影響を受けます。
一般的に低温では生育が悪く、適温で最も繁殖します。
高温になると菌の生育が悪化し、ついには死滅するか胞子による休眠状態に陥ります。
木材腐朽菌が生育できる温度は、およそ0℃~50℃だそうです。
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