南極で発見された新鉱物の「ヘグボマイト類」

新鉱物の「ヘグボマイト類」が南極で発見されました。

国立極地研究所によると、第50次日本南極地域観測隊の「セール・ロンダーネ山地地学調査隊」が、2009年1月における野外調査で発見したそうです。
この調査隊は、新潟大学理学部の准教授である志村俊昭さんのグルーブで、新鉱物の標本は、国立極地研究所南極・北極科学館(東京都立川市)と新潟大学サイエンスミュージアム(新潟市)に展示されているそうです。

発見された新鉱物は、「ヘグボマイト類」という稀少な酸化鉱物の一種に分類されています。
新鉱物ですが、命名ルールが決まっている種類のため、「マグネシオヘグボマイト2N4S」という名称になっています。
マグネシウムに富む「ヘグボマイト類」で、結晶構造が2N4S、という意味だそうです。
「2N4S」とは、ノラナイト構造(N)2枚とスピネル構造(S)4枚が重なっている事を表す記号です。
この構造をもつ鉱物としても世界初の新発見です。
六方晶系の鉱物で、簡略化した化学構造式はMg10Al22Ti2O46(OH)2です。
コランダム(サファイア)やスピネルを含む岩石の中から、約0.2mm~3mmの大きさで、赤色透明な六角形をした鉱物として発見されました。
他のヘグボマイト類の多くは、黒色〜褐色の暗い色ですが、マグネシウムに富むなどの化学的特徴から、透明感のある美しい結晶になったものと思われています。 
新鉱物の発見場所は、南極、セール・ロンダーネ山地中央部の「小指尾根(こゆびおね)」の斜面だそうです。
キャンプ地からスノーモービルで約2時間移動、そこからさらに約3時間、斜面を徒歩で登った場所(標高約1500m地点)で採取した岩石から発見されています。
セール・ロンダーネ山地は昭和基地の西方約600kmにある、急峻な山岳地帯です。
四国とほぼ同等の領域に、約10億年前~5億年前に形成された岩石が広大に露出しています。
発見地点は下図の矢印の先端で、先に述べた「小指尾根(こゆびおね)」です。
この地域の地形が人の手の形をしていることから、日本南極地域観測隊により東から西へ親指尾根(おやゆびおね)~小指尾根(こゆびおね)までの五指の名称がつけられています。
山地の北方には日本の「あすか基地」があります。
また、現在は山地の北西方にベルギーの「エリザベス基地」が開設されているそうです。

現在の地球では、インドがアジア大陸に衝突することで、その境界にヒマラヤ山脈が形成されています。
一方、6~5億年前には、巨大な大陸同士(西ゴンドワナ大陸と東ゴンドワナ大陸)の衝突によってゴンドワナ超大陸が出来たのは、当ブログ「地球の歴史と大陸の移動」でも紹介した通りです。
その時、アフリカ東部~南極大陸にかけて大山脈があったと考えられています。
岩石の年代測定によると、この新鉱物は約5億2千万年前ごろに出来たと思われています。
今回の発見と解析結果は、ゴンドワナ超大陸の歴史や、大陸地殻のできかたを探る重要な手がかりになると思われます。
また、「ヘグボマイト類」の鉱物は化学組成・結晶構造・成因などが難解で、未解決の問題が多数ありました。
今回発見された新鉱物が本学で極めて高精度で分析されたことにより、これと類似の鉱物の謎も解決したそうです。

新鉱物発見場所の地図
新鉱物の発見場所の地図です。


「ゴンドワナ超大陸」の復元図です。
6~5億年前頃に東西ゴンドワナ大陸が衝突し、ゴンドワナ超大陸が形成されました。
セール・ロンダーネ山地は、まさにその時の衝突境界に位置しています。
その後、ゴンドワナ大陸は1億8000万年前くらいに分裂をはじめ、南アメリカ・アフリカが分裂、インドは北上しアジアに衝突、ヒマラヤ山脈を形成しました。
さらにオーストラリア大陸が離れてゆき、南極大陸は数千万年前頃に独立した大陸となっています。

様々な鉱石の中に鉱物としてみられる「ヘグボマイト」

サファイア(青色),スピネル(薄紫色),雲母(茶色),緑泥石(薄緑色)の中に赤色の鉱物として「ヘグボマイト」 がみられています。

「ヘグボマイト」の単結晶

「ヘグボマイト」の単結晶です。


新鉱物の発見地点付近での地質調査の様子
新鉱物の発見地点付近での地質調査の様子です。
写真の右上方の氷河面にスノーモービルを残置し、斜面を徒歩で登り地質調査中に発見したそうです。

スポンサーサイト
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム
QRコード
QR