北アルプスで氷河

「氷河」は、現在の東アジアでは、ロシアのカムチャッカ半島より北にしかないと言われていましたが、2012年4月4日に、北アルプス立山連峰で日本初となる「氷河」が3箇所確認されたと発表されました。

その日本で発見された「氷河」とは、標高3003mの雄山(おやま)と、標高2999mの剣岳(つるぎだけ)の東側にある「雪渓」下にある3つの氷の塊です。
私は、「氷河」と「雪渓」との違いとして、降雪が重みで溶けずに氷になったのが「氷河」で、雪のまま残っているのが「雪渓」と思っていましたが、「氷河」と「雪渓」には明確な違いがあるそうです。
それは1年を通じて流動しているかどうかだそうで、「氷河」は、流動している氷と雪の塊ですが、「雪渓」は流動していないそうです。
日本雪氷学会での「氷河」の定義は、「重力で長期間に渡り連続して流動する雪と氷の大きな塊」だそうです。

富山県立山カルデラ砂防博物館の研究チームは、立山連峰の大規模な万年雪の中に、「氷河」が存在しないかの確認調査を2009年から実施していたそうです。
注目したのは、立山の雄山の東面の御前沢(ごぜんざわ)雪渓、剱岳の東面の三ノ窓雪渓と小窓雪渓でした。

調査方法として、まず、氷体の厚さは、アイスレーダーを用いて地面までの距離を測定しました。
氷体の流動は、氷体が露出する9月に雪渓上にポールを固定し、その位置を10月まで高精度GPSで測量して求めました。
調査の結果、御前沢雪渓、三ノ窓雪渓、小窓雪渓ともに、厚さ20mの前冬の積雪の下に、厚さ30m以上の氷体が確認されたそうです。
特に三ノ窓雪渓の氷体は、最大の厚さが60mを超え長さも1kmを超えるものだそうです。
また、三ノ窓雪渓、小窓雪渓では、秋季の約1ヶ月間で30cm以上の比較的大きな流動が観測されたそうです。
御前沢雪渓では、約1ケ月半で10cm程度の流動量でしたが、2秋季連続して同じ結果が得られたことから、氷体が流動していることが確認されたそうです。
各雪渓の流動量は、ヒマラヤなどの小型氷河の流動量に匹敵するものだそうです。
これらの結果は、2012年4月に日本雪氷学会に学術論文として発表され、立山・剱岳の3つの万年雪は現存する「氷河」と学術的に認められたそうです。
これにより、極東地域の「氷河」の南限がカムチャツカ半島から立山まで大きく南下することになりました。
また、これらの「氷河」は世界的に見れば最も温暖な地域に存在する「氷河」といえ、今後の調査でその独特の形成維持の仕組みの解明が期待されています。
そして、この3箇所だけでなく、2013年には、剱岳西面の池ノ谷右俣雪渓で氷体の流動が観測されたそうで、4箇所目の「氷河」である可能性も高まっています。


剱岳の三ノ窓氷河(左側)と小窓氷河(右側)です。
三ノ窓氷河は、剱岳の三ノ窓から真っ直ぐ1km以上流れ下る氷河で、一般登山道の「仙人新道」から見られます。
小窓氷河は、剱岳の小窓から長さ800m流れ下る氷河で、ここも一般登山道の「仙人新道」から見られます。


立山の御前沢氷河です。
雄山の東側斜面に大きく広がる氷河で、他の氷河と同様に、冬は吹きだまり効果と雪崩により20mの積雪となります。
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