コンクリート構造物の寿命

コンクリートは、トンネル、道路、防波堤、ダム、マンションをはじめとする各種構造物などに、幅広く活用されています。

コンクリート構造物の耐用年数は、一般的には50~100年とも言われていますが、実際はひび割れや亀裂から漏水し、耐用年数よりも早く劣化してしまうケースも多く見られます。
耐用年数よりも早く進む劣化の原因としては、
①塩化物イオン =塩害
常に潮風を浴びる沿岸部のコンクリート構造物は、塩化物イオンの浸入によって劣化しやすくなります。
また、寒冷地で使用される塩素系の融雪剤も、塩害の要因となります。
②二酸化炭素 =中性化
空気中の二酸化炭素がコンクリート内のアルカリイオンと結び付き、アルカリ性を中性に変えてしまう(中性化する)と、塩素イオンの浸入を助長し鉄筋が錆びやすくなります。
③凍結融解 =凍害
コンクリート内の水分が氷になることで体積が膨張し、コンクリートをなかから割ってしまう、寒冷地の施設などで起きやすい現象です。
コンクリートにひび割れが発生することで鉄筋が錆びやすくなります。
④表面の磨耗・衝撃
流れの速い水路で見られます。
水流によってコンクリート表面が削られ、表層部から鉄筋までの厚みがなくなる現象です。
石などの硬い物質が当たった衝撃により鉄筋が露出するケースもあります。
⑤乾燥収縮
コンクリートには、乾燥させると体積が減少して固まるという性質があります。
固める際に急激に乾燥するとコンクリートの表面と内部で歪みが発生し、割れてしまうことがあります。
炎天下や寒冷条件下にさらし続けることも、コンクリートの劣化を招く要因です。
⑥施工不良
打設が甘いとコンクリート内部に空隙が多く、スカスカな状態になります。
現在は多くの施工現場で品質管理が徹底されていますが、高度経済成長期に造られたコンクリートでは施工不良も珍しくありません。

現在知られているもっとも古いセメント系材料としては、今日使用されている成分や製法とは同じではないものの、イスラエルのイフタフ遺跡から発見されたものがあります。
大型居住跡の床から出土したコンクリートは、15~60N(ニュートン)/mm2の圧縮強度があり、これは現在用いられているコンクリートと同等以上の強度です。
イフタフ遺跡は紀元前7000年ごろの遺跡ですから、このコンクリートは9000年以上の寿命をもっているということになります。
このように、昔の遺跡からコンクリートが出てくるということは、条件さえあえばコンクリートの寿命は相当長くなるとは思います。
コンクリートは、押される力には強いのですが、引っ張られる力には弱いという特性があります。
この問題を解決するため、19世紀になると、コンクリートの内部に鉄筋を配置した鉄筋コンクリートが開発されました。
1867年のパリ万博には、ジョゼフ・モニエという植木職人が鉄筋を配置した植木鉢を出品したことが記録されています。
鉄筋を配置したコンクリートの登場により、それまでにない形状の建築物を建設することが可能になりましたが、その一方で、内部の鉄筋の劣化という問題を抱えることになりました。
これによりコンクリートの寿命は数十年は短くなったと言われています。
コンクリートの寿命は、工事現場で採用される工法とも関係しています。
戦前の施工現場では、固いコンクリートを手動のカートで運ぶことが一般的でしたが、高度成長期以降の大量・急速施工の時代には、工場から運ばれたコンクリートを必要な位置までポンプで送るというやり方が一般化しました。
ポンプで圧送できるためには、コンクリートに水を多く含ませ、軟らかくしなければなりません。
こうした製法で作られたコンクリートの寿命は、先に述べたように、比較的好条件のもとで100年程度、海岸部等の悪条件下では50年程度といわれています。
コンクリートは気象条件によっても寿命は変わってきます。
コンクリートの劣化には多様で複雑な過程がありますが、例えば、海岸近くのコンクリートや、冬季に融雪剤に触れるコンクリートでは、塩分がコンクリート内部に浸透し、それが鉄筋と反応することで鉄筋を腐食させます。
また、別の例としては、安山岩等を材料に作られたコンクリートは、「アルカリシリカ反応」と呼ばれる亀甲状のひび割れを生じさせることが知られています。
この現象は、1980年代に「コンクリート・クライシス」として話題となりました。
このように、一見すると永久にもつかのように見えるコンクリートも、内部では長期間のうちに様々な要因によって劣化が進行しています。
適切なメンテナンスを行うことにより、コンクリート構造物の機能を維持し、大切に使っていくことが重要です。
劣化防止には、コンクリート構造物を新設される場合は、打設時での防水対策を行う必要があります。
セメントに混和するタイプのコンクリート改質材を用いれば後からさまざまな防水工事を行う必要がなくなるので、将来的な手間や時間、コストを少なくすることができると言われています。
高度成長期にはさまざまなコンクリート構造物が施工されています。
ただし、コンクリートはどんどん劣化していくものでなく、施工と維持管理さえしっかりしていれば強度を保てることは、日本で古い時代に造られたさまざまな構造物がそれを証明しています。
コンクリートは永久構造物ではありませんが、イフタフ遺跡のように9000年以上の寿命をもつこともできます。
大規模な造り替えができないのであれば、既設コンクリート構造物の寿命を延ばす必要があります。
そのためにはコンクリートの欠陥チェックと的確なメンテナンスが欠かせないようです。
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