噴火する前の西之島

まだまだ噴火が続いている西之島ですが、2013年(平成25年)より開始した噴火によって今はそのほとんどが溶岩に覆われています。
そして、面積は、溶岩により噴火前の12倍に拡大しているようです。

旧西之島は、ほとんどが溶岩に覆われてしまいました。
でも、2013年以前の旧西之島は、植物も動物もいました。
1973年の噴火後まだ時間が経過していなかったため植物相は貧弱でしたが、スベリヒユ、オヒシバ、イヌビエ、グンバイヒルガオ、ハマゴウ及びツルナの6種が確認されていました。
これらの多くは、種子の海流散布を行う植物です。
動物では、アカオネッタイチョウやアオツラカツオドリ、オオアジサシ、オーストンウミツバメ、カツオドリ、オナガミズナギドリ、セグロアジサシなどの12種類の鳥類が生息し、そのうち9種類の繁殖が確認されていました。
その他にはアリやクモ、カニの生息も確認されていました。
1975年には新属新種のニシノシマホウキガニが発見され、それ以前にはアホウドリも生息していたとされていました。
2013年11月以降の継続的な噴火活動で流れ出した溶岩により、1973年の噴火以降に形成された島の全域が覆われ、現在、西之島においては植物の存在が確認できない状況にあるそうですが、僅か(1ha程)に残る旧島部分で海鳥の繁殖が2015年現在も行われている事が無人定点カメラの設置により判明したそうです。

旧西之島は、4000m級の山体をもつ海底火山の火口縁がわずかに海面上に現れた部分にあたっています。
かつての西之島は面積0.07km2、南北650m、東西200mの細長い島でした。
この海底火山は噴火の記録は不明ですが、1973年に「有史以来初めて噴火し、大量の溶岩流や噴出物が海面上まで堆積して西之島付近に新しい陸地を形成しました。
この陸地は「西之島新島」と命名され、当時は「新島ブーム」とマスコミに報道され、大きな話題となりました。
西之島の東南側の火山体の火口は、1911年の測量では深さ107mあったのですが、この噴火により50m未満まで浅くなったそうです。
1年に及ぶ噴火が収束すると、新島は南側からの波で強い侵食を受け、最初の数年は年間60~ 80mの速さで海岸が後退したそうです。
新島は波で削られて失われ、火孔や標高52mの丘も消失しましたたが、削られた土砂が波で運ばれて湾内に堆積しました。
堆積の速さが侵食を上回ったため、侵食されながらも面積が増加したそうです。
1982年には湾の一部が海から切り離されて湖になり、1980年代を通して堆積を続け、1990年頃には湾口は無くなり完全に一体化し、旧島北端を頂点とした、釣り鐘のような四角形状の島になりました。
形状が安定すると面積はしだいに減少し、1999年時点での新島部分の面積は0.25km2、最高標高は15.2mでした。
また、旧島部分を含めた西之島全体の面積は0.29km2、最高標高は25mでした。
2003年時点で島の大きさは、東西約760m、南北約600m程で、安山岩を主体としていたそうです。
島の付近では数年おきに海水の変色や蒸気の吹き上げが観測されていたそうですが、2013年に噴火を起こし、それからの経過は当ブログで詳しく紹介した通りです。
2013年の噴火は、1973年の噴火と比較して溶岩流出量が非常に多く、また1973年の噴火による堆積で水深10m未満の浅瀬が広がっていたことにより、島の急激な成長に繋がりました。
なお、伊豆諸島の島である三宅島、八丈島、青ヶ島、鳥島などは玄武岩マグマを噴出するのですが、西之島では大陸地殻に似た安山岩マグマを噴出しています。

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旧西之島の痕跡湖付近と思われます。
平成25年より開始した噴火によって今はそのほとんどが溶岩に覆われましたが、噴火前の西之島には貧弱ながらも植生があり、海鳥は希少種が営巣する場所でした。
写真は、アオツラカツオドリの群れの様子です。

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旧西之島の南台地の東側を月浦平原内から南向きに撮影したものと思われます。
こんな切り立った崖のような岩盤もすべて溶岩に覆いつくされてしまうとは、噴火の威力はすごいものですね。

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旧西之島の第5火口東側を月浦平原内から東向きに撮影したものと思われます。
丸い石がごろごろしている月浦平原は、月浦湾が閉塞した位置に砂礫が堆積して出来た平地です。
標高は海岸付近の高いところでも7m程度と低く、中央に月浦湾の痕跡湖があったそうです。
それにしても、このように広い平原も今は溶岩だらけになっています。


1978年当時の空中写真です。
写真上方が西北。湾を挟んで上の部分が旧島で、下の部分が1973年の噴火により形成された新島でした。
後に湾になっている部分が堆積作用により土砂で埋まり、2013年の噴火直前は台形状の海岸線になっていました。


新島と旧島が合体した写真です。
右側の噴煙が上がっているのが新島で、左側の少し黄土色の平地が見えているのが旧島です。


今年の5月12日の西之島の状況です。
左端に少し残存しているのが旧西之島です。
あまりにも小さく残っていますが、こんな中でも海鳥の繁殖は行われているようです。
写真では、新たな溶岩流が西之島南東海岸に到達し、約100mほど陸地を拡大、西之島外周には変色水域も確認されています。
また周辺海域での新たな海底噴火の可能性も依然としてあるそうです。
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