「水利権」と地下水について

水を取水する場合に、注意しないといけない権利に「水利権」があります。

「水利権」とは、特定の目的(水力発電、かんがい、水道等)のために、その目的を達成するのに必要な限度において、流水を排他的・継続的に使用する権利のことを言っていますが、「水利権」という用語は、法律上のものではなく、「水利権」について規定している法律である河川法の中には出てきていないようです。
つまり、水を利用する権利として従来よりこの呼び方が定着しているもののようです。
一般には、「免許の売買」「免許の譲渡」とよばれる地位の承継(河川法33条、34条)を行うことによって、他人に引き継ぐことができるそうです。
それは次のような「水利権」です。
①慣行水利権
水利に関係する法律の成立以前の取り決めによって水の利用が認められていた者に対し、河川法87条(経過措置)、88条(許可等を受けたものとみなされる者の届出)によって与えられる権利のことです。
慣行水利権は、河川、ため池、渓流などのいずれについても発生しますが、これが河川に係るものである場合、明治29年の河川法制定にあたり、水利使用慣行が河川法上の権利として位置づけられました。
さらに、昭和39年の新河川法(現行)の制定にあたっても、許可を受けたものとみなされています。
ただし、明治29年の河川法成立以前より取水を行っていた農業用水などにも認められています。
河川法成立後2年以内の届け出が指導されたのですが、河川の指定を受ける以前から取水を行っていたことが、社会的に認知されていれば成立するため、届出のない慣行水利権は多いと思われます。
②許可水利権
新河川法(昭和39年施行)では、河川管理者の許可により生ずる「水利権」です。
通常10年単位で河川管理者と協議して更新することとなっています。
慣行水利権と認可水利権とを対比してみると、その包含する範囲が異なっています。
慣行水利権では、一般的には河川から取水し、それを村落共同体の管理する施設で導水し、個別農家の水田で使用するまでの間のいろいろな権利が全て包摂されて、これが一つの権利となっています。
これに対し、許可水利権は、いわゆる流水占用権であり、河川からの取水部分だけに関する権利となっています。
なお河川法上、河川管理者の許可がなければ「水利権」の売買や譲渡はできないことになっています(34条1項)。

「水利権」をわかりやすく言うと、川の中の一定の場所から、一定の量以下の水を取っていいという権利のことです。
以下というのは、その量の範囲内で必要な量なのですが、川の中にその量以上の水が流れていなければ、取りたくても取れないことにもなります。
水路内の水と違って、川の中の水の量は日々変化しています。
蒸発もありますが、大きいのは潜ってしまう量(伏流水)と、逆に外から入ってくる量(還元水)です。
途中に支川の流入や取水がなくても、それは起こりますが、これらを直接的に測ることは困難です。
いろいろと複雑な水の変化ですが、取水量は、「水利権」量以上の水が流れていれば、自由に取っていいかというと、渇水のときなどはそうはいかなくて、渇水調整をし、決められた節水を強いられます。
これでは、権利というより制限量に近いもので、下流の取水に影響を及ぼさないという観点で量は決められています。

「水利権」は、水量が安定的に利用できる場合が原則で、これを安定水利権といい、この他に
・暫定水利権
・豊水水利権
・暫定豊水水利権
があります。
また、不正等により「水利権」乱用の場合はその「水利権」を行政が取り消し処分の行政処分を行なう事もあります。

「水利権」は、河川法上の河川の流水を占用する権利に限定されています。
したがって、河川法上の河川でない普通河川(一級水系、二級水系若しくは準用水系以外の水系に係る河川又は一級水系、二級系若しくは準用水系に係る河川のうち河川法の適用もしくは準用される河川として指定されなかった河川を言います)や、地下水や海水の取水は「水利権」の対象となりません。
ただし、河川の流水は表流水に限られるものでなく、伏流水であっても河川の流水が一時的に伏流しているものは、河川区域の内外を問わず「水利権」の対象となります。
また、河口に近い感潮区域の取水についても、河川の流水も取水するものであるから、「水利権」の対象となります。
こうして考えると、井戸を掘ったり、地下水を利用することに対しては「水利権」の対象外です。
各市町村の条例等で規制が掛かっていなければ、届けも許可も不要となります。
つまり、地下水には「水利権」がなく、誰もが自由に取水することができます。
法律上は「私水」として取り扱われており、川を流れている水のように「公水」ではないのがその理由です。
でも、先に掘削したからと言っても先取権はありません。
したがって、水切れとの因果関係が証明されても、補償などの請求は困難です。
地下水に「水利権」を認めると、次のような事態が想定されます。
①国土交通省(旧建設省)の許可のない、掘削は違法となります。(水利権がないので、利用許可申請をする必要もないが、明治29年以前から成立している慣行水利権以外は、許可が必要となります)
②地下水を利用(掘削)する場合には、利害関係人の調査と同意が必要になります。
③掘削する以前に、井戸等で地下水を利用していた人がいて、水位が下がったなどの申し立てがあれば、賠償責任を負うことになります。
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