井戸の種類③

井戸の種類にもいろいろありますが、今回は井戸の掘削方法による分類です。

(1)バイブロハンマーでの打ち込み井戸
打ち抜き井戸とも言い、鉄管の先にシューと呼ばれる尖ったものをつけて、バイブロハンマーで叩いて掘り下げていく方法です。
この方法は、いくら狭いところでも、鉄管が立てれて、その上にバイブロハンマーを載せることが出来れば掘ることは可能なのですが、松山あたりだと、どんなに深くてもせいぜい8~10m迄です。
何故かと言うと、帯水層と呼ばれる層は、砂礫層から成っており、この層は地下水はあるのですが掘り下げるのが難しいのです。
バイブロハンマー程度の振動だと、Φ30cm程度の玉石に当たるともう進まなくなります。
実は、この玉石くらいからが地下水脈となっているのです。
水道業者が主に、この方法で井戸を掘っていますが、何回も何回も掘り代えているのを見たことがあります。
それくらい、玉石の隙間を狙って掘り下げていかないと、地下水脈まで当たりません。
松山では、地下水位は5~8mくらいにあります。
地下水位が安定している時には、打ち抜き井戸でも取水は可能な場合もあります。
でも、この深度だと、市販されているパイプでは、穴は先端の30cm程度しか開いてないので渇水の時には水が出なくなってしまいます。
真空状態で汲み上げるので、エアがはいったら水が出なくなる欠点もあります。
このような理由で、最近ではあまりやらなくなっている方法です。
パイプの長さは5.5mなので、もう少し掘り下げたい場合は継手が必要になります。
フート弁・逆止弁などは取付不可能です。
打込式だと、地下水位がどこにあるのかわからないし、エアが入ると水は出ないし、メンテナンスの仕様もないのですが、一番安上がりです。
そして、汲めば汲むほど水はきれいになります。

(2)手掘りの井戸
昔は、周りを石積や井戸側で囲んだ掘り抜き井戸(掘井戸)がよく見られましたがこれは手掘りです。
私のイメージでは、オーソドックスな井戸といえばこのタイプです。
愛媛県では3尺(内径約1m)の井戸をよく見かけますが、他県では2尺(内径約60cm)の井戸も多いみたいです。
深さは4~6m程度です。
水が出てくれば当然掘りにくくなり、水替えもしないといけないので水位線より約2mくらいが人力で掘る限界だったのかも知れません。
水が出ないとこでは、土質によっては15m程度までは掘削は可能ですが、この深度になると酸欠も考えなければなりません。
この施工方法は、打ち抜き井戸や小口径のボーリング井戸と違い自分の眼で地下水を確認できます。
そして、水の出る量が少ない場合は、掘削深さを調整することにより、希望の水量を確保できます。
施工方法としては各種ありますが、いずれもやぐらを建て、ウインチを使って掘る方法で、主に人力で掘りながら順次コンクリ-ト製の井戸側や石積を入れてさらに掘り進む工法です。
井戸筒内の限られたスペ-スなので一人しか掘削できないために効率が悪く、愛媛県では、今はほとんどやっていません。

(3)重機械を使った井戸
木製や鋼製の土止め板(矢板)を使って、予定の取水量・貯水量が確保できる深さまで一挙に掘り下げ、その後で、コンクリート壁を施工します。
ユンボなどの大型重機を使って掘り進めます。
愛媛県ではあまり見かけませんが、高知県では一般的です。
広いスペースがあれば、確実な工法だと思います。
地すべり対策でのΦ3m以上の直径で施工する集水井のように、地表面からクラムシェルを使ったり、小さい重機を中に入れて掘り進めながら、順次側壁をライナープレートなどで保護する方法もあります。
これだと広いスペースが必要で、工事費もかかります。

(4)上総掘りの井戸
「かずさぼり」と読みます。
ボーリング機械の発達した日本では現在でこの工法で掘っている井戸はないと思いますが、掘り始めはこの名前にもある千葉県上総地方の人が発案したとされています。
この工法は、10mくらいの櫓を組んで、円形に近いような多角形の大きい木製の踏み車を作り、この上に竹か杉の丸太を束ねたもの(はねぎと言うそうです)を設けます。
このはねぎに掘削用の鉄管(ホリテッカンと呼ばれ鉄管の中は空洞で先にノミをつけたもの)を装着し、操作はすべて人力です。
木製の踏み車の中に人が入ってはねぎの弾力を利用して掘削する方法です。
インターネットのビデオで造り方や掘り方を実践していましたが、こんなやり方はとても出来るものではないですね。
但し、ボーリング機械のまだ普及していなかった明治の初期から30年頃にかけてはこの工法が主流だったみたいです。
でも、このような引き上げては落とし、また引き上げては落としの繰り返しは、現在でも使われているパーカッション工法の原型ですね。
人力で木製の踏み車を動かすのがエンジンとモーターに変わっただけです。(でもこれはとても大きい)
それにしても上総掘りで100m以上も掘ったことを考えると昔の人は忍耐強いと思いました。

(5)ボーリング機械を使った井戸
ボーリング機械を使った方法は、現在での主流です。
以前にも紹介しましたが、①パーカション工法②エアハンマ工法③ロータリー工法の3工法です。

1)パーカション工法 (Percussion)
この工法は比較的浅い井戸にも使用され、玉石層などに強い工法です。
櫓から下りているワイヤーロープの先端に重いビット(1.5t程度の掘削棒)を吊し、振幅0.5m程で上下させ、その打ち込む力で孔底の地層を突き崩しながら掘削していく工法です。
堀り屑が溜まって進行が低下すると、ビットを地上に引き揚げ、代わりにべーラーを孔底にワイヤーで降ろし掘り屑を浚い取ります(これをベーリングと言います)。
堀り進むにつれ、崩壊を防ぐために孔内に補泥(粘土で孔壁を保護します)していきます。
ビット->べーラー->補泥の手順を繰り返しながら堀り進みます。
そのため、ロータリー工法よりも掘削効率は悪いですが、1.0m程度毎に地質サンプル(スライム状となります)を把握できるため、完成度の高い井戸がさく井できます。
適用地質は未固結堆積層、軟岩層であり硬質岩盤には不適となります。
この工法の長所としては、比較的ツールが安いこと、地質サンプルが精度良く採取できること、泥水の管理は比較的簡単なこと、井戸仕上げは比較的容易なことが挙げられますが、固い地層には不向きなこと、掘削には熟練した技量が必要なこと、掘削中には水があるかどうかわからないこと、掘削中は泥水で汚れるなどの短所があります。

2)ロータリー工法 (Rotary)
近年は主流の工法で、岩盤掘削や大深度までの掘削に向く工法です。
①トリコンビットでの掘削
ドリルカラーの先端にトリコンビットと呼ばれる刃先を付け、それを回転させて地層を破砕しながら堀り進みます。
その際に刃先から泥水を噴射させビットを洗浄しながら堀削したり堀り屑を地上まで運び、それを地上部でふるいにかけて堀り屑と泥水に分別し、きれいになった泥水を再度循環させて掘り進みます。
孔壁の保護にはベントナイトを使います。
主に岩盤掘削や大深度までの堀削に向いている工法です。
掘削中には、地層の変化や、泥水の逸水などで帯水層の目安はつけれます。
そして掘削後には、電気検層を実施して帯水層の確認ができます。
この工法は、現在ではよく使われていますが、ボーリング機械の搬入やドリルカラーの立ち上げには2t程度のユニック車が必要になります。
だから、ユニック車が横付け出来る事が絶対条件で、なおかつ施工範囲も広いスペースが必要になります。
②メタルクラウンやダイヤモンドビットでの掘削
この工法は、刃先がトリコンビットからメタルクラウンやダイヤモンドビットに代わっただけで、それを回転させて地層を破砕しながら堀り進むのは同じです。
ただし、ドリルカラーは必要ありません。
刃先から泥水を噴射させビットを洗浄しながら堀削したり堀り屑を地上まで運び、それを地上部でふるいにかけて堀り屑と泥水に分別し、きれいになった泥水を再度循環させて掘り進む方法も同じですが、孔壁の保護にはケーシングを使います。
つまり、一般で行われている地質調査と同じ方法です。
この方法だと、小さいボーリング機械でも施工が可能なので、ユニック車が横付け出来ないような狭いところでも、機械を分解して運ぶことが出来ます。
作業範囲も10㎡程度あればOKです。
この工法の欠点は、孔壁の保護にはケーシングを使っているため電気検層が出来ず、掘削中の、地層の変化や、泥水の逸水などでしか帯水層の目安がつけられません。
したがって、何処に水があるのかは、熟練技術者の判断だけになります。
でも、最近の家庭の井戸掘削は、広いスペースがなかなかとれないのでこの工法が主流になってきています。

3)エアハンマ工法 (Down The Hole)
空気圧を利用して、硬質岩盤や玉石等、他の工法が不得意とする地層を短時間で掘削します。
地すべり杭工法にも威力を発揮します。
本工法の正式名称は、ダウン・ザ・ホールパーカッションドリル工法、略してダウン・ザ・ホールハンマ工法(DTH工法)またはエアハンマ工法とも呼ばれます。
この工法は、孔底にビット及びパーカッションドリル(エアハンマ)で堀り管接続で降下し、圧縮空気による圧力及びハンマピストンの重量でビットに打撃を与え岩石を破砕掘削します。
コンプレッサーにて送り込まれた高圧で大風量のエアーはエアハンマを作動させた後、ビット先から噴出し、ビットを洗浄冷却しながら連続的に掘り屑を地上に搬出する工法です。
地質サンプルは粉末状となり把握が困難です。
掘削深度は100m程度が目安であり、大深度の堀削は困難となります。
適用地質はすべての岩盤岩盤(軟岩~極硬岩)であり、未固結堆積層や崩壊層には不適となります。
この工法の長所としては、他の工法に比べ掘削速度が最も速いこと、地下水に当たると水が吹き上げてくるので、水のありかが掘削中にわかること、ケーシング工法(スクリーン位置はあらかじめ決める)のため井戸仕上げは不要なことが挙げられますが、大型のコンプレッサーと建柱車が必要なこと、粘土層では打撃が弱くなるなどの短所があります。
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