井戸の種類②

井戸の種類にもいろいろありますが、今回は井戸の材料による分類です。

①素掘井戸
素掘とは、地面を掘る際、周囲の土の崩壊を防ぐ工事を行わないで、そのまま掘り進めることを言います。
これは、手掘りでも、ボーリング機械を使ってもいいわけですが、掘った後には周りの土は崩れるのが一般的です。
手掘りで大きく掘っていっても崩れないのは粘土とかの不透水層だけで、この不透水層は地下水は出ません。
透水層である砂の層や砂礫の層は、地下水をよく通すので、崩れやすくなります。
したがってあまり深くは掘れません。
ボーリング機械を使って掘っても、素掘りだと孔壁が持ちません。
パーカッションやトリコンビットを使った井戸は、電気検層の都合もあり、素掘りで掘ることが多いのですが、孔壁を粘土やベントナイトなどの粘着力のあるものを使って崩れなくします。
だから、完成した時には素掘井戸と言えるのですが、このままでは地下水は出ません。
素掘井戸の中に、ストレーナ加工した塩ビ管や鋼管などを入れて崩れなくし、孔壁の粘土やベントナイトなどを洗浄により取り除いて完全な井戸となります。
したがって、完成した時には素掘井戸ではなく、塩ビ管や鋼管などの材料を使った井戸になります。
ただし、弥生時代の井戸は、ほとんどが井戸側などの施設を持たない素掘りの井戸だったそうです。
直径1mから1.5mほどの円形の穴で、深さ2、3mから、なかには5mにも及ぶものもあるそうです。

②石積井戸
孔壁の崩壊防止のために、材料に石積を使っている井戸のことを石積井戸とか石組み井戸とか言います。
地下水を求めるのが目的なので、よっぽどでないかぎり空石積での施工となります。
主には掘井戸に使われています。
丸井戸もあれば、四角形の角井戸もあります。
丸井戸は1m程度のもので、人が一人入って手掘りで施工するのが一般的ですが、四角井戸の場合は5m×5m以上の大規模なものもあります。
松山城二の丸史跡公園の大井戸は、特に大規模で、東西18m・南北13m・深さ9mで、石積みは乱層積および段積になっています。
平安時代や鎌倉時代の昔から造られていますが、つい20年くらい前までは施工できる井戸屋さんがいました。
私の家にある古井戸も石積井戸ですが、およそ100年の歴史があるようです。
現在ではほとんど造られていません。
特に、家庭用の井戸は、ボーリング機械を使ったものに変わってしまいました。

かつて防水用水としての水が溜められていた大井戸。大きさはなんと東西18m、南北13m、深さ9m。
これが松山城二の丸史跡公園の大井戸ですが、大井戸の東半分は井戸の中に3列各3本の柱が縦横に貫を通して組まれ、その上に邸がせり出して建てられています。
その基礎部となった梯子状の木材は現在も残っています。
古絵図には3ヶ所の階段を描いたものもあり、汲み上げた防火用水を床下を通って火災現場に運ぶ仕組みになっていたと思われます。

③木枠井戸
木枠井戸は、木造井戸または木製井戸とも言い、古墳時代では、弥生時代と同様に素掘り井戸でしたが、孔壁での素材には木枠が使われています。
木などの有機質は腐食して通常失われていますが、井戸の底などのように水気のある環境では残ることがあります。
飛鳥時代でも同様ですが、奈良時代になると方形に木を組んだ井戸側を持つものが増えてきます。
横板を積み上げたものや、四隅の柱に横木をわたし、幅の狭い板で横または縦に囲ったものなど、多様な構造を見ることができます。
その底をさらに掘り込み水溜として曲物(まげもの)を設置したものもこの頃から見られます。
鎌倉時代になると、結い桶が出現します。
木製円筒の容器で、先に述べた曲物桶とは別に、結い桶を重ねた井戸側です。
どちらもスギ,ヒノキ,サワラなどが使われていますが,曲物は片木(へぎ)に割裂したものを円筒形に巻き,合せ目をサクラやカバの皮の紐で縫い合わせ,底をつけたものです。
結い桶は鴻臚館に変わって貿易の拠点となった博多に、宋の商人がもたらしたものと考えられています。
これ以後、博多を中心とした地域では井戸側として一般的になりますが、全国的に広がるのは室町時代後半の15世紀以降からです。
世界最古の井戸も中国の木製井戸です。
約7000年前の河姆渡(かぼと)遺跡の中に井戸があり、木構造の井戸で、200本余りの削られた杭とほぞ接ぎの横木を組み合わせて造ったものだそうです。
形は商、周の金文に出ている「井」という文字に似ていて、漢字の「井」はここから誕生されたのではないかと言われています。

④瓦井戸
江戸時代には、専用に焼かれた瓦を円形に組んだ井戸側が多く見られるようになり、近年まで使用されていたそうです。
孔壁に瓦を貼り付けただけなので、古くなると崩れ落ちる危険もはらんでいます。
現在でも、愛媛県では時々見かけますが、補修はなかなか大変です。

⑤側付井戸
いわゆるコンクリートの井戸側を孔壁にもつ井戸のことで、内径の規格が60cmから150cmまであります。
井戸側とは、土砂の崩れ落ちるのを防ぐために、井戸の周囲に設けた囲いのことで、井筒(いづつ)とも言います。
手掘りで掘るのが一般的です。
最近はあまり見かけなくなりましたが、30年くらい前までは専門の井戸屋さんがいました。
穴を掘って、井戸側を敷き、その上に電柱を平行に並べ、掘った土を置いていきます。
井戸側を中心に、天秤のようにして重量で徐々に井戸側を沈ませていきます。
この繰り返しで、井戸側を何枚も何枚も重ねて掘っていきます。

⑥コンクリート井戸
側付井戸もコンクリート井戸なのですが、ここでいうコンクリート井戸は現場打ちの井戸のことです。
バックホウなどで、5m×5m程度の広い範囲を掘削して、地下水を確認して側壁の崩れを防止するためにコンクリートを用いています。
配水槽を井戸にしたような構造で、愛媛県ではあまり見かけませんが、高知県ではよく施工されています。
井戸の底は、砂利を敷き詰めたり、水抜き穴をたくさん設けたコンクリートを用いたりします。
地上部はコンクリートで蓋をしているので、どの範囲に井戸があるのかはわからないことが多いです。

⑦鋼管井戸
鋼管を側壁に使っている井戸はたくさんあります。
打ち抜き井戸は、鋼管の先端を尖らせて、バイブロハンマーの振動で掘り進めていきます。
鋼管の定尺が5.5mなので、それ以上掘るとなると継手が必要になります。
愛媛県では、地下水が豊富な西条市などではこの井戸で充分ですが、10m以上掘るとなるとポンプの揚程の限界もあり使用できません。
掘削径は、40A(4cm)か50A(5cm)です。
ボーリング機械を使って掘削し、鋼管で仕上げるのは一般的です。
掘り方は、パーカッション工法、ダウンザホールハンマー工法、ロータリー工法などありますが、重要な井戸はステンレス(SUS)を使い防錆しています。
掘削径はΦ40mm仕上げからΦ500mm仕上げまで広範囲です。
温泉掘削になると1000m以上の深井戸になることもあります。

⑧VP井戸
ボーリング機械を使って掘削し、塩化ビニール管(VP管)で仕上げる方法で、家庭用の井戸は、現在ではこれが一番多いと思います。
VP50からVP100程度が一般によく施工されています。
鋼管だとストレーナ加工が大変ですが、VP管だとドリル一つで可能です。
耐久性においても、防錆性においても優れており、軽いので容易に出し入れができます。

⑨集水井
大口径の井戸で、直径が3m~4m、深さは15m~30mが多いようです。
主として地すべり対策工の抑制工の一つで、地すべりブロックからの地下水の排除が目的です。
集水ボーリングとの併用で施工することが多く、集水ボーリングは横ボーリングでVP管を入れるのですが、集水井は、主としてライナープレートで施工されています。
ライナープレートとは、薄い鋼板に波付け加工し、4辺にフランジを取り付けたもので、もともとはトンネル覆工材として開発されました。
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