火山噴出物について

火山が爆発するときは、様々な物が出てきます。
これを火山噴出物(かざんふんしゅつぶつ volcanic product)と言っていますが、これは、火山活動の際に、地表に噴出した物質全ての総称です。

マントルや地殻下部で形成されたマグマの上昇から始まって、噴火に至るまでの現象(火山活動)で、マグマやその通り道となった地層に由来する様々な物質の大半は、溶岩や火山砕屑物の形で噴火時に放出されます。
でも、火山噴出物の地表への放出は、必ずしも噴火した時だけではありません。
火山ガスや温泉など噴火を伴わない噴出物もあります。
最近では、特に活火山の活動が活発ですが、火山ガスの噴出状態の変化や温泉の水温変化は、噴火と関連性があり、その観測データが実際に噴火予知に生かされています。
火山から噴出する物質には以下のものがあります。
1)気体状態で噴出するもの
①火山ガス
火山ガス(volcanic gas)は、火山の火口や噴気口から出る成分(火山噴出物)のうち、気体のものを呼んでいます。
火山ガスを多く含むガスのことを火山性ガス(かざんせいガス)と言うこともあります。
成分は水蒸気がほとんどですが、二酸化炭素、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)、水素ガス、一酸化炭素、硫化水素、塩化水素も含まれます。
火山によってはフッ化水素、四フッ化ケイ素、メタンガス、アンモニア、硫化カルボニル、ヘリウム、ラドン、水銀蒸気などが含まれることもあります。
毒性をもつ成分や酸欠により、動植物の生命に大きな危害を及ぼすことがあります。
また、熱により周辺の生態に大きな影響があることも多く、吸った動物や人間が、その場で死亡することも珍しくありません。
また、中毒に気づかず、手遅れとなり死亡することもあります。
噴火はしなくても、恒常的あるいは間歇的に火山ガスのみを噴出する火山も多く見られます。
温度は数百°C以上であることが多く、空気よりも密度が高いのでくぼ地にたまりやすいのが特徴です。
②火砕流
火砕流(pyroclastic flow 火山砕屑流)は、液体と思われがちですが、火山現象で生じる「火山砕屑物の流れ」で、気体と固体粒子からなる空気よりもやや重い密度流です。
「熱雲」、「軽石流」、「岩屑なだれ」を含めて「高温のマグマの細かい破片が気体と混合して流れ下る現象」の総称です。
2)液体状態で噴出するもの
①溶岩
溶岩(lava)は、地下にとけている物が噴火口からどろどろと流れ出たもので、火山噴火時に火口から吹き出たマグマを起源とする物質のうち、流体として流れ出た溶融物質と、それが固まってできた岩石のことです。
一般に噴出前のマグマは水を主成分とする揮発成分を大量に含んでいるため、減圧作用により発泡することが多く、この揮発成分は常時少しずつマグマから分離し火山ガスとして放出されていますが、噴火の際には一気に大量のガスが抜け出て噴火時の爆発や高く上る噴煙を形成します。
火口から流出する溶岩流にも揮発成分が含まれ、地上に出た際の圧力低下によって徐々にガスが分離するため多数の気孔や気泡を含んでいることが一般的です。
ただし、マグマの噴出が高水圧のかかる深海底で起きる場合や、溶岩湖を形成したりした場合には含んでいません。
溶岩の粘性は、その温度や成分によって著しく異なり、温度が高いほど粘性が小さく、冷えると固化します。
また成分的にはマグマ中のケイ酸成分(二酸化ケイ素)の量が多いほど粘性は大きくなります。
日本を含む太平洋周辺の火山の溶岩は二酸化ケイ素成分の少ないものから順に、玄武岩→安山岩→デイサイト→流紋岩であり、後になるほど粘性が高くなります。
ハワイのキラウエア火山のような玄武岩質溶岩は、粘性が低く流動性が高いので、溶岩流が火口から10km以上流れることも多く見られます。
昭和新山は粘性が大きく流動性に乏しいデイサイト質溶岩であり、地上に出た溶岩は流出することなくその場に盛り上がって溶岩ドームを形成しました。
ごつごつした外観の溶岩ドームを形成した雲仙普賢岳の噴火も、デイサイト質溶岩です。
②熱水泉
熱水泉(Hot Spring)は、泉のうち、特に高温の熱水が湧出する泉を指す言葉です。
ホットスプリングという単語はしばしば日本の温泉の英語訳としても用いられていますが、本来は源泉に特化した訳と言われています。
熱水泉から出る水は、基本的に地球内部の地熱によって加熱されます。
一般に、地中の岩石の温度は深度とともに上昇します。
深度に伴った温度上昇率は地温勾配と呼んでいます。
水が地殻の充分深いところまで浸透すれば熱い岩と接触して加熱され、火山地帯以外の熱水泉の水はこのようにして熱されています。
例えばイエローストーン国立公園のような火山帯で、水はマグマと触れて加熱されます。
マグマ付近の温度勾配が高いところでは、水は沸騰するか過熱となるほどに熱されることがあります。
水がかなりの高温で蒸気圧が高まり地面から高く噴出すれば間欠泉と呼ばれ、蒸気として地表に到達するだけならば噴気孔と呼ばれます。
そして泥や粘土が混じっていれば泥水泉(Mudpot マッドポット)と呼ばれます。
火山帯の熱水泉の温度は、多くの場合、沸点かそれに近い温度なので、故意に熱水泉に入った場合は、深刻な火傷を負ったり死んでしまった者もいます。
熱水泉と冷たい湧水が混ざった場合は、温泉となることがありますが、地熱地帯から外れている場合もあります。
③温泉(火山性のものに限る)
温泉は、地中から湯が湧き出す現象や湯となっている状態、またはその場所を示す用語です。
その湯を用いた入浴施設も一般に温泉と呼ばれています。
「人工温泉」と対比して「天然温泉」と呼ぶ場合もあります。
熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係の非火山性温泉に分けられ、含まれる成分により、さまざまな色、匂い、効能の温泉があります。
・広義の温泉(法的に定義される温泉)
日本の温泉法の定義では、必ずしも水の温度が高くなくても、普通の水とは異なる天然の特殊な水(鉱水)やガスが湧出する場合に温泉とされています(当ブログの温泉の定義参照)。
地熱で温められた地下水が自然に湧出するものと、ボーリングによって人工的に湧出あるいは揚湯されるもの(たとえ造成温泉でも)どちらも、温泉法に合致すれば温泉です。
温泉を熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係の非火山性温泉に分けられます。
非火山性温泉はさらに、地下深くほど温度が高くなる地温勾配に従って高温となったいわゆる深層熱水と、熱源不明のものに分けられます。
また特殊な例として、古代に堆積した植物が亜炭に変化する際の熱によって温泉となったモール泉が北海道の十勝川温泉などに存在しています。
火山性温泉は、当然ながら火山の近くにあり、火山ガス起源の成分を含んでいます。
深層熱水は平野や盆地の地下深部にあってボーリングによって取り出されることが多く、海水起源の塩分や有機物を含むことがあります。
非火山性温泉の中には通常の地温勾配では説明できない高温のものがあり(有馬温泉・湯の峰温泉・松之山温泉など)、その熱や成分の起源についていくつかの説が提案されていますが、いずれも仮説の段階です。
3)固体状態で噴出するもの
固体状態で噴出するものに火山砕屑物があります、
火山砕屑物(かざんさいせつぶつ pyroclastic material)とは、火山から噴出された固形物のうち、溶岩以外のものの総称で、火砕物(かさいぶつ)とも言います。
溶岩を含めないという点で、火山噴出物(かざんふんしゅつぶつ)とは異なっています。
①融けていたマグマの破片であったり古い岩石の破片であったりするもの
・火山岩塊(volcanic block)
粒径64mm以上で、火山から噴出された64mm以上の岩石の断片を指します。
溶岩のように連続していないものとなります。
・火山礫(lapilli)
火山礫とは、火山噴火により生じた火山岩片のことであり、火山弾より小さく、ガスのぬけたあとも見られます。
火山礫は、粒子のサイズによって定義されており、直径2~64 mmのものを言います。
・火山灰(volcanic ash)
主にマグマが発泡してできる細かい破片のことで、木や紙などを燃やしてできる灰とは成分も性質も異なります。
火山礫よりも小さく4mm以下で、灰のようなので、風に吹かれるなどして、遠くまで運ばれます。
②融けていたマグマがちぎれたり粉砕されたりしてばらばらになったもの
・軽石(pumice)
塊状で多孔質のもののうち淡色のもので、浮石(ふせき)あるいは浮岩(ふがん)とも言います。
軽石は浮石などの別名が示すとおり、多孔質のため、水に浮く物が多いのが特徴です。
海岸近くの火山や海底火山の噴出物として排出された場合、遠くの海岸まで流れ着く事が多く見られます。
・スコリア(scoria)
スコリアとは、塊状で多孔質のもののうち暗色のもので、岩滓(がんさい)とも言います。
主に玄武岩質のマグマが噴火の際に地下深部から上昇し、減圧することによってマグマに溶解していた水などの揮発成分が発泡したために多孔質となったものです。
発泡の程度は一般に軽石より悪く、発泡の悪い(孔の少ない)ものは火山弾や火山礫に移化し、明確な区別は決められていません。
スコリアの色は一般には黒色〜暗灰色ですが、噴出した時の条件によってはマグマに含まれる鉄分が酸化して酸化鉄となり、紫〜赤色となる場合があります。
また、軽石ほどは鉱物結晶を含まず、おおよそガラス質です。
・火山弾(volcanic bomb)
火山弾は、噴火口から飛び出てきて、空気中で冷やされて固まったもので、火山の噴火に際して、溶岩の破片が放出されるときに形成される直径65mm以上の溶融した岩石(テフラ)の塊です。
ただし火山弾は地面に達する前に冷えて固まります。
火口から数km飛行することもあり、飛行中に空気力学的に適した形に変形することもあります。
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