蔵王山での火口周辺警報

日本の火山は、最近特に活発化している印象を受けます。
今日のニュースで言っていましたが、蔵王山で、今月7日から火山性地震の回数が増えるなど、火山活動がやや活発な状態が続いているそうです。

(1)活発になった蔵王山
蔵王山は、複数の山からなる活火山で、蔵王連峰とも言っています。
この蔵王山は、東北地方の中央を南北に連なる奥羽山脈において、宮城県と山形県の両県南部の県境に位置する連峰で、主峰は山形県側に位置する熊野岳(1,841m)です。
西端から順に、瀧山(1,362m)、鳥兜山、横倉山、三宝荒神山(1,703m)、地蔵山(1,736m)、熊野岳(1,841m)馬の背、五色岳(1,672m)、刈田岳(1,758m)、杉ヶ峰(1,745m)屏風岳(1,825m)宮城県側最高峰、不忘山(1,705m)、大梁川山(720m)、花房山(819m)、青麻山(779m)となっており、「中央分水界」と交差する稜線である馬の背より北西側が「山形蔵王」、南東側が「宮城蔵王」と呼ばれています。
基盤岩は、玄武岩、安山岩から成る成層火山群の活火山であり、常時観測対象の47火山に含まれています。
火口湖の御釜や噴気口が見られ(いずれも宮城県側)、火山の恩恵である温泉が両県の裾野に数多く存在し、主要観光地の1つとなっています。
過去には、水蒸気噴火や、蒸気や火山ガスの噴出を繰り返し、昭和15年には水蒸気噴火が発生したほか、昭和24年や昭和37年には噴気孔から活発に噴気を噴き出す活動が確認されています。
去年8月に火山性地震が増加したあと、今月7日から再び多くなり9日には35回、12日は38回観測していました。
また、地下のマグマや火山ガスなどの動きを示すとされる「火山性微動」も去年8月以降、ほぼ毎月発生し、最も長い微動は8分間にわたって続きました。
今月9日にもおよそ1分20秒にわたって火山性微動が観測されていました。
また、去年の10月には「御釜」と呼ばれる火口湖の一部が、一時的に白く濁る変化が見られました。
一方、これまでのところ、地殻変動のデータや監視カメラによる映像には特段の変化は見られないということです。
そんな中で、今日(4月13日)は、火山性微動は午後1時までに25回に上っているそうです。
地殻変動のデータや監視カメラによる映像には特段の変化は見られないということですが、気象庁は、蔵王山では火山活動がやや活発な状態が続いていて、今後、小規模な噴火が起きる可能性があるとして、13日午後、火口周辺警報を発表しました。
そして、噴火が起きるおそれがあると想定される範囲として、
・馬の背カルデラから1.2km程度
・御釜からは半径2km程度
・東の方向に3km程度
は、噴火に伴う噴石などに警戒するよう呼びかけています。
蔵王山に火口周辺警報が発表されるのは、今回が初めてだそうです。
蔵王山の火山活動について研究している東北大学大学院地震・噴火予知研究観測センターの教授である三浦哲さんは、「蔵王山は、去年9月に噴火した御嶽山と同じように、過去に水蒸気噴火を繰り返してきた火山であり、御嶽山と同じような規模で噴火が起きることも考えられる」と指摘しています。
また、今後の活動について、「過去の噴火の記録からは蔵王山では火山活動に周期性がみられない。御釜周辺の想定される火口から1.2kmの範囲は、水蒸気噴火が起きると噴石が飛ぶ可能性が高い」と説明しました。
また、御釜周辺では冬場閉鎖されている観光道路が開通すると、観光客が近づくことができることから、三浦さんは、「これからの季節は登山客に限らず一般の人も軽装のまま御釜を訪れる人も増えてくる。今後の気象庁が発表する情報に基づいて、登山を控えるなど、責任をもった行動をしてほしい」と話しています。

(2)過去の噴火活動
蔵王山は、約100万年から70万年前には海底火山であったと考えられており、玄武岩質マグマの活動が水中で起こっています。
その後の30万年間ほどは休止期でした。
そして、約40万年から10万年前には安山岩質の溶岩流を伴う活動に変化し、現在の山容の骨格となる山体の上部を成す熊野岳、刈田岳などを形成しました。
約7万年前には30億m3の大規模な山体崩壊を起こし酢川泥流を生じています。
約3万年前に山頂部に直径2km程度のカルデラを形成し、同時に爆発的な活動を伴った様式に変わり現在まで続いています。
五色岳は約3万年前以降の活動で生じたカルデラの中に生じた後カルデラ火砕丘で、火口湖の御釜は約2000年前から活動を続けています。
被害を伴う噴火は御釜の内外で発生し火山泥流を発生することが多いのが特徴です。
文献によると、約3万年前に始まり現在まで継続する活動期は、
・約2万年前まで
・約8000年から3000年前
・約2000年前以降に3分されます。
約8000年から3000年前には休止期を挟みながら107mm3程度の噴出量のマグマ噴火が断続しました。
約2000年前以降の噴火は、規模は106~107 mm3程度と以前の活動期よりも規模がやや小さかったのですが、頻度は以前より多くなっています。
有史以降で、歴史文献に残る最も古い噴火記録は、吾妻鑑に記されている1230年の噴火です。
14世紀から17世紀にかけての記録は無いのですが、活動が全くなかったとは考えにくいとする研究者もいます。
以下に主な活動を示しました。
・773年(宝亀4年) 噴火 噴火場所は刈田岳?
・8~13世紀のいずれか 中規模:水蒸気噴火?→マグマ噴火 火砕物降下。噴火場所は五色岳。複数回噴火。
・1183年(寿永2年) 噴火 噴火場所は五色岳(御釜)。
・1227年(安貞元年) 噴火 火砕物降下。
・1230年(寛喜2年) 噴火 火砕物降下。噴石により人畜に被害多数。
・1331-1333年(元弘元-元弘3年) 噴煙? 詳細不明。
・1350年頃(観応年間) 噴煙? 詳細不明。
・1620年(元和6年)、1622年(元和8年)、1623-24年(元和9年~寛永元年) 噴火、火砕物降下。鳴動、噴石、降灰。
・1630年(寛永7年)、1641年(寛永18年)、1668年(寛文8年)、1669年(寛文9年)、1670年(寛文10年)に噴火。
・1694年(元禄7年) 5月29日 中規模:水蒸気噴火?噴火場所は五色岳(御釜)?神社焼失。8月30日地震、河川毒水化、川魚死ぬ。火山泥流。
・1625-1694年の活動で御釜が形成。
・1794年(寛政6年) 水蒸気噴火。火砕物降下。噴火場所は五色岳(御釜南東に9つの火口生成)。
・1796年(寛政8年)、1804年(文化元年)、1806年(文化3年)、1809年(文化6年)、1821年(文政3年)、1822年(文政4年)、1830年(天保元年)、1831年(天保2年)、1833年(天保4年)に噴火。
・1809,1831-1833 は火山泥流。
・1867年(慶応3年) 水蒸気噴火?。噴火場所は五色岳(御釜)?鳴動、御釜沸騰、硫黄混じりの泥水が増水し、洪水を起こし死者3名。
・1873年(明治6年) 1894年(明治27年)に噴火。
・1894年-1895年(明治28年) 小規模:水蒸気噴火。火山泥流、火砕物降下 噴火場所は五色岳(御釜)。2月15日に爆発し、鳴動、白煙。御釜沸騰し、川魚被害。2月19日、3月22日、8月22日、9月27~28日にも噴火。
・1896年(明治29年) 3月8日、噴煙。8月、御釜にて水蒸気上昇。9月1日、御釜の水氾濫。
・1897年(明治30年) 1月14日 噴煙、鳴動。
・1918年(大正7年) 御釜沸騰。
・1940年(昭和15年) 4月16日 小規模:水蒸気噴火。火砕物降下。噴火場所は御釜北東鳥地獄。新噴気孔生成。

1.jpg
蔵王山の火口は「御釜」を中心に北西から南東方向に連なり、その歴史は地質を調べる事によって、年代の異なる複数の火山活動により出来た「火山群」であることがわかります。
上の地質図で着色された部分は、各々の年代における火山活動により生成された火山岩や火山灰が堆積している範囲を示しています。
活動の歴史は、北蔵王で約200万年~100万年前,南蔵王は約100万年~10万年前,中央蔵王は約80万年前から現代まで続いているものと考えられています。
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