トリクロロエチレンの基準値の改正

最近では、日本の各地の井戸から、高濃度のトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなど、揮発性の有機塩素系溶剤類が検出され、問題になっていました。

その影響もあり、公共用水域の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準及び地下水の水質汚濁に係る環境基準のトリクロロエチレンの基準値が改正され、平成26年11月17日施行されました。
改正の概要として、
•公共用水域の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準:0.03mg/L→0.01mg/L
•地下水の水質汚濁に係る環境基準:0.03mg/L→0.01mg/L
に強化されました。
テトラクロロエチレンは、もともと0.01mg/Lだったので、基準値が同じになりました。

トリクロロエチレン (trichloroethylene) は有機塩素化合物の一種です。
エチレンの水素原子のうち3つが塩素原子に置き換わったもので、示性式 ClCH=CCl2 で表されます。
常温では無色透明の液体で、不燃性ですが、揮発性があり、甘い香りを持っています。
トリクロロエチレンは、テトラクロロエチレンと同じく溶剤類であり、油をよく溶かす性質があることから、1980年代頃までは広く用いられていました。
トリクロロエチレンは半導体産業での洗浄用やクリーニング剤、及び機械部品などの脱脂洗浄に用いられていました。
そして、発癌性も指摘されています。
テトラクロロエチレンはドライクリーニングの洗浄液として過去に大量に使用されていました。
この影響もあり、使用中の漏出や廃液の投棄などにより地下深く浸透し、地下水に混入したことがその主な原因であると考えられています。
これらの溶剤は現在でも使われていますが、これ以上汚染が進まないよう工場排水等に含まれる溶剤類に排出基準が設けられるなど、法律により環境への漏出が厳しく規制されています。

トリクロロエチレンの健康への影響として、吸入すると、トリクロロエチレンは中枢神経系を抑制すると言われています。
症状は急性アルコール中毒に類似し、頭痛、めまい、錯乱に始まり、吸入を続けると意識喪失を経て死亡します。
香りに対して鼻はすぐに麻痺し、知らずに致命的な量を吸引する恐れがあるため、高濃度の蒸気が存在する可能性のある場所では注意・警戒が必要とされています。
ヒトに対する長期的影響は知られていませんが、動物実験では、慢性的な被曝によりマウスでは肝臓がんが引き起されるが、ラットの場合には起こらないことが知られています。
動物の生殖における影響の検討でも同じような不一致が見られるため、ヒトの場合にも先天的な異常が起こるかどうかについて明確な結論は出ていません。
最近の研究ではトリクロロエチレンへの被曝と受精率の間に関連があることが示されています。
また、ある場合には精子数の減少が見られることが報告されています。
最近では、東北大地震の際に、江東区の金属加工会社で、地震の影響でこぼれたと見られるトリクロロエチレンを吸引し、2人が死亡したことがありました。
環境基準の見直しは、時代の変化により必要だと思います。
特に、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの有害物質は、よりシビアな基準値であるべきだと思います。

基準値の見直しについては、平成 15 年 4 月の厚生科学審議会答申「水質基準の見直し等について」で大規模な見直しがありました。
水道法に基づく水道水質基準では、「大腸菌群」については、「大腸菌」に代わりました。
当時の「大腸菌群」は、基準は目的によって異なっていますが、下水処理場などから公共用水域に排出される汚水の許容限度は、1mlあたり3000個となっています。
現在での水道水質基準では、「大腸菌」は、「検出しないこと」になっています。
「大腸菌」は、ヒトや温血動物の腸管内に常在する微生物で、ふん便とともに体外へ排出されます。
水道水中に「大腸菌」が検出された場合、ふん便に由来する病原微生物に汚染されている可能性があるため、水質基準では「検出しないこと」となっているのは安全面からいって当然だと思います。
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