錆びなくはないステンレス

私たちの周りには、ステンレスがよく使われています。

ステンレス鋼(Stainless steel)とは文字通り、「錆びない、汚れない」という意味です。
ステンレスは、「硬くて錆びない」ことにより、近年急速に一般化した素材です。
安定した需要の伸びの理由は、やはり「腐食に強く、外見に勝り、強度に優れる」という三拍子そろったステンレス鋼の持つ特性が広く評価されたからだと思います。
だけと、ステンレスは合金であり、主成分は鉄です。
ステンレスは強度に優れ、普通鋼やアルミニウムと比較すると、極めて耐食性に優れています。
しかし、金や白金の様に絶対にさびない金属ではありません。
ステンレスは 「錆びない」金属ではなく、むしろ 「錆びにくい」金属だと思います。
ステンレスが「錆びにくい」のは、含有されるクロムが酸素と結合し、表面に酸化皮膜(不動態皮膜)を形成し、この皮膜がサビを防ぐ働きをしているからです。
不動態皮膜は、ステンレスにキズがついても空気中の酸素が触れている間は、自己再生します。

(1)ステンレスの種類
①マルテンサイト系
C(炭素)の含有量が多いので他のステンレスよりも耐食性に劣ります。
刃物や機械部品などに使用され、他の種類より硬いのが特徴です。
代表的な規格は、SUS410およびSUS440Cです。
②フェライト系
貯水(湯)タンク、厨房機器、器物、家電などに使用されます。
磁石に付くのが特徴です。
高価なNi(ニッケル),Mo(モリブデン)を含まないか、わずかに含む経済的なステンレスです。
代表的な規格は、SUS430J1LおよびSUS444です。
③オーステナイト系
最も身近な一般的なステンレスです。
加工性がよく、水道用にも化学プラントにも使用され、井戸のスクリーンに活用されているのがこの種類です。
磁石に付かないのですが、加工により一部マルテンサイト変態し、磁石につくようになることがあります。
鉄にCr(クロム)とNi(ニッケル)を加えているのがSUS304、溶接時の粒界腐食対策でCを減らしているのがSUS304L、耐食性を向上させるためMo(モリブデン)も加えているのがSUS316、粒界腐食対策でC(炭素)を減らしているのがSUS316L、などがあります。
④オーステナイト・フェライト系(2相)
高級ステンレスです。
強度、耐食性共に大変優れ、厳しい環境下での化学プラント等の用途に適しています。
磁石には付きません。
代表的な規格は、SUS329J4Lです。
⑤析出硬化系
Cu(銅)等を添加し、人工的な時効処理により添加物の金属間化合物を析出させて硬化する性質を利用し、硬度を高めたものです。
オーステナイト系よりも耐食性に劣り、マルテンサイト系よりも耐食性に優れています。
ばね、シャフトなどに用いています。
代表的な規格は、SUS630です。

(2)錆から守る不動態
ステンレスは、主成分が鉄なのですが、錆びにくいのは、合金中のクロムが鉄よりも率先して酸素とくっつくので、メッキなしでもクロムが酸化して表面に「不動態」と呼ばれる酸化皮膜を形成して、鉄が酸化するのを防ぐことによるものです。
この「不動態」ですが、大変薄く目に見えず(数ナノミクロン)、再生しますが、再生する毎にクロムの割合が減っていき、耐食性が次第に落ちていきます。
そして、なんらかの環境の変化により、「不動態」皮膜が破壊され、自己再生が妨げられた場合は、ステンレスといえども腐食し、 錆びが発生することになります。
「不動態」皮膜を破壊し、自己再生を妨げる作用をもつ、主な物質は以下の様なものがあります。
①塩素イオン
②硫黄酸化物

そして、「不動態」皮膜を破壊するのには、以下の様な状況が考えられます。
・塩素系の洗剤や漂白剤で洗浄し、洗剤が付着したままの場合
・海岸沿いなどの環境で塩分が付着した場合
・塩ビ焼却時のばい煙が付着した場合
・自動車の排気ガスが付着した場合
・水温が高い場合
・温泉地帯
・火山灰の降る地帯
・結露等
その他に、「もらい錆び」といわれる現象もあります。
井戸工事などのスクリーンおよびステンレス管でもよく見かけますが、鉄粉等の異種金属が表面に付着し、その金属自身が錆び、あたかもステンレス自身が錆びた様にみえる現象です。
また、付着した金属自身が錆びるだけでなく、ステンレス自身の錆びにまでつながります。

 マルテンサイト系 フェライト系 オーステナイト系
代表的組織13%クロム18%クロム18%クロム
8%ニッケル
J. I. SSUS410SUS430SUS304
耐 蝕 性
磁   性
熱処理により硬化硬化せず硬化せず
用   途ボルト、ナット、ネジ、
手動工具、釣り道具、刃物、はさみ
建築金物、蝶番、手すり、
屋根ふき材、レンジフード、熱交換器
炭素含有量が少なく、加
工性・溶接性・耐蝕性が
良好で最も広く用いられ
ています。
建築金物、自動車車輌
工業、化学工業、原子力工業、井戸

ステンレス鋼は上表のように組織と成分から3種類に分けられます。
一般に、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系の順に錆びにくく上等とされています。
ところが強度から見るとその反対にマルテンサイト系が最も強く、オーステナイト系が最も劣ります。
スポンサーサイト
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム
QRコード
QR