古い地下水と新しい地下水

地下水にも「新しい水」や「古い水」といった区分があります。

いろいろな本によって、その定義に違いがありますが、一例としては、地下水年代が50~60年程度までが「新しい地下水」で、60年から50,000年までが「古い地下水」、5万年から10万年までが「大変古い地下水」と区分されています。
それでは、地下水が何年前の水か(雨として降ってから何年経っているか)を調べる方法はあるのでしょうか?
地下水の年齢の一般的な測定方法としては、福島原発で、今ではよく知られているトリチウムの濃度を測定することで判断できるそうです。
トリチウムは、知っての通り放射性物質です。
そして、トリチウムは、宇宙線の働きによって大気中で生成する天燃の放射性物質です。
宇宙線(うちゅうせん: Cosmicray)とは、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のことです。
主な成分は陽子であり、アルファ粒子、リチウム、ベリリウム、ホウ素、鉄などの原子核が含まれています。
そして、地球にも常時飛来しています。
このようにして生成したトリチウムは大気中で雨や雪に溶け込み、降水として地上の降り、さらに地下に浸透して地下水になります。
トリチウムの半減期は約13年で、半分が放射能をもたない物質に変化します。
つまり、雨が地上に降って、地下に浸透してから、13年後にはトリチウム濃度が半分になります。
そして、26年後には4分の1になります。
このように、地下水のトリチウム濃度を測定して、現在の雨のトリチウム濃度と比較することにより、地下水の年齢を知ることができます。
ただし、この数10年、100年前から現在まで雨のトリチウム濃度は、過去の原爆実験の影響で一定でありません。
このことが、正確な年齢を出すことを困難にしています。
従って、現実には30年前、40年前といったはっきりとした年齢を出すことはできなくて、「60年より前の古い水」というのようなアバウトな表現になります。
測定は、水に含まれるトリチウムのもつ微弱な放射能であり、測定機関も限られています。
また近年では、トリチウムに代わり大気中のフロン類が地下水の年代を測る指標として利用されています。
フロン類は化学的に極めて安定な化合物であり、かん養された時の濃度が、地下水中でも維持されるために指標として有効です。
しかし1960年ごろから2000年にかけてほぼ直線的に増加してきた大気中のフロン類の濃度は、温暖化効果ガスやオゾン層破壊物質として製造禁止になったため、ゆるやかな減少傾向にあり、現在では指標としての有効性は低下しています。
それだけでなく、地下水の採取後に空気からのフロン類が溶け込み、正確なフロン類の測定にも問題があることも指摘されています。

トリチウムについては、当ブログで、「アルプスで除去できないトリチウム」の中で、福島原発では、放射性物質を含んだ汚染水の処理について苦慮し、その中で、汚染水を除去できると言われている多核種除去設備があることを紹介しています。
この設備は、アルプス(ALPS)と言い、原子炉の冷却に使った水から62種類の放射性物質を除去できるそうですが、そんな性能のいい設備機器であるアルプスでもトリチウムは取り除けないことを紹介しました。
このような判断のもとでは、地下水は「古い水」の方が人体には危険が少ないのかも知れません。
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