原発の再稼動についての疑問③

原発の再稼動についての続編です。

(3)フィルター付きベント
「フィルター付きベント」は、放射性物質を100分の1から1000分の一に低減するそうです。
事故があった福島第1原発には、原子炉格納容器内の圧力を逃す「フィルター付きベント」はありませんでした。
福島の事故で、森や畑など一面に汚染してしまいましたが、1000分の1の汚染だったら、実質的に事故の影響はなく、数日後に福島の人たちは元の生活に戻っていたはずだと指摘している学者もいます。
国内の原発の中で、原子炉の50基は、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)に分類されますが、規制委の新安全基準では、欠陥の原子炉「マークⅠ型」と言われている沸騰水型原子炉BWRは設置されていないと再稼働は認められなくなりました。
その一方で、PWRには設置までに猶予期間が設けられる見通しだそうです。
BWRは原子炉の熱で発生した蒸気によって発電タービンを回すため、汚染水が循環し、厳重に閉じ込める必要があるとのことで、過酷事故が発生した際はフィルターが不可欠となるため、規制委は再稼働の条件としたそうです。
これに対し、PWRは原子炉内を循環する1次系の水を通した配管で2次系の水に熱を伝え、沸騰した2次系の蒸気でタービンを回すので、1次系と分離された2次系の水は放射性物質で汚れていないのが猶予期間を設けた理由です。
また、PWRは格納容器がBWRの約10倍と大きいため、圧力上昇による水素爆発の危険性は比較的少なく、プラントメーカーの技術者は「フィルター付きベントの必要性はBWRに比べ低い」と説明しています。
「フィルター付きベント」は、全国に26基あるBWRのいずれも未設置なのは言うまでもありません。
フィルターの設置工事は厚さ3センチの鋼板でできた格納容器に穴を開けるなど難しく、完成に約2年かかるとされています。
有識者の一部は「フィルター付きベント」の設置義務に疑問を示す人もいます。
福井工大教授の来馬克美さん(原子力技術応用工学)は、「心配だからすべてに設置するというのは科学ではない。規制委の専門性が感じられず、安全規制とは違うのではないか」と話してはいます。
このようなコメントは、私には何を言っているのか理解できません。

まず、ベントの役割として、格納容器の中の空気やガスを外部に放出するためにつけられたものです。
格納容器というのは、放射性物質を閉じ込めるための最後の防壁なので、中から外へモノを出すなんてことは、想定もされていません。
でも、福島第一原発の事故で起きたように、原子炉が溶けたりすると、膨大な蒸気や、放射性物質が格納容器の中に充満してきます。
それをそのまま放置すると、放射能を閉じ込める最後の防壁である格納容器自身が、破裂してしまう恐れがあります。
そんな時には、仕方が無いので、バルブを開いて中のガスを逃がすために考えられたのがベントです。
ただし、ベントを開けば格納容器の中に溜まっていた放射性物質をそのまま出してしまうことになります。
したがって、ベントをもし使うのであれば、フィルターは当然付けておく必要があります。
しかし、福島第一原発を含めて、日本の原子力発電所、沸騰水型と呼ばれてるほうの原子力発電所では、ベントは付けましたが、フィルターを付けていません。
何故、こんなにも基本的なことをしていなかったかと言うと、予算も多少はあるでしょうが、安全神話のほうが優先したのではないかと想像できます。
どうせそんなことは起きっこないと思っていたのに違いありません。
加圧水型(PWR)の原子炉は、必要性が低いとの理由で猶予期間が設けられた原子炉です。
当時の日本の判断では、格納容器が沸騰水型(BWR)に比べて圧倒的に大きいので、格納容器の中の内圧が上がるなど考える必要もないということで、ベントすら付けていませんでした。
ベントをつけるということであれば、もちろんフィルターを付けざるをえないのですが、かなり大きな工事になります。
そして、ベントを開いて中の蒸気あるいは放射性物質を外部に急速に逃がす場合には、フィルターも大きく、そしてそれなりの性能を持ったものを取り付けなければいけません。
ベントをつけたからと言って、ほんとに安全になのるかは別問題ですが、最低限必要なのは言うまでもありません。
加圧水型での原子力発電所では、アメリカのスリーマイル島原発での事故がありました。
ここでは、格納容器の中に、水素が充満して、それが爆発しました。
だから、加圧水型(PWR)だって安全ではないのです。
ここで、外国での設置状況を確認してみましょう。
PWR(BWR以外)でのフィルター付きベント対応状況ですが、フランスは、全PWRに装備済みです。
ドイツ、オランダ、スェーデン、スイスなどの、原発やめると決めた国ほどフィルター付きベントに対応しています。
ドイツにはフィルター付きベントの設置規制はありませんが、チェルノブイリ事故以来すべてのBWRとPWRに自主的に設置したらしいと言われています。
PWRは格納容器がBWRの約10倍と大きいため、圧力上昇による水素爆発の危険性は比較的少なく、プラントメーカー(三菱重工か)の技術者は「フィルター付きベントの必要性はBWRに比べ低い」と説明しています。
それでは、フランスを筆頭にヨーロッパでは「フィルター付きベント」を標準装備しているのは何故なのでしょう?
地震が多い日本で、安全対策を軽視していますが、何故なのでしょう?
たぶん日本(三菱重工)にフィルター付きベントを装備する技術力はないとも言われています。
もともと地震断層の上に原発を建設とかしています。
その時点で、海外のような一般的な安全対策を考えようとしなかったのでしょうか?
それなら、日本政府の言う、「世界で一番厳しい規制基準」はもう化けの皮が剥がれています。
「フィルター付きベント」には、乾式とか湿式とかいろいろあるそうですが、フィルターで除去できるのはヨウ素だけだそうです。
セシウムやストロンチウムにプルトニウムなどなど他の放射能のフィルター機能はありません。
あくまで炉心溶融時に発生した水素を放出して圧力を下げ注水するのが目的です。
これだけで、風下の住民を守ってるとは言えないそうです。
これは、逆手にとって、「ヨウ素しかフィルターできないから風下にヨウド剤配って終わりにしよう」とか、「セシウムやストロンチウムやプルトニウムはそのまま放出されてどうせ死んでしまうのだからフィルター付きベントを装備するのはやめよう」とか、「匿名の寄付金のほうが住民に喜ばれるだろう」とか東電の考えそうなことかも知れません。


フィルター付きベントの概要図です。

このあと、④コアキャッチャーに続きます。
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