広島県の災害と「マサ土」

最近の、各県での局地的な集中豪雨は異常なほどの降雨量ですが、それでもなんとか人の被害は少なかったのですが、8月19日深夜から20日未明にかけて広島市北部を襲った局地的な豪雨は、まだまだ被害の把握ができていない状態ですが、現状での広島県警などによる集計では、亡くなった人が39人にも上り、行方不明の人は7人との発表ですが、まだまだ増えていっています。

被害が大きかったのは安佐(あさ)北区の可部(かべ)地区と、安佐南区の八木、緑井、山本の各地区でした。
広島地方気象台によると、雨は19日夜から降り始めたのですが、特に激しい雨は20日未明に集中しています。
安佐北区三入(みいり)観測所では午前4時半までの3時間に観測史上最大となる217mmの降雨を記録し、平年の8月1カ月分の雨量(143mm)を上回っています。
1時間雨量では、AM3時に80mm、AM4時に101mmの降雨が記録されています。
AM4時には、10分間降雨で22mmも降っています。
また広島県が安佐北区可部町上原に設置した雨量計は午前3時50分までの1時間に130mmの猛烈な雨を観測しました。
これだけでもものすごいのですが、驚くことに、この周りの観測所ではあまり降雨は記録されていません。
三入観測所の少し北側の都志見観測所で、1時間雨量でAM1時に70mmが記録されている以外は、西側の加計観測所、東側の志和観測所はほとんど降ってなく、南側の広島観測所で、AM3時に9.5mmが記録されているのみです。
つまり、本当に局地的で、まさにピンポイントで降ったといってもいい豪雨です。
災害は顕著で、山沿いの住宅地を中心に土石流や崖崩れなどの土砂災害が多発しています。
現在でも、警察官や派遣規模が約600人に増員された自衛隊員らが夜を徹して生存者の救出活動にあたっています。

災害の原因は、日本海の前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、同じ場所で次々と積乱雲が発生する「バックビルディング現象」が発生したことによる集中豪雨であることは明らかですが、愛媛県や香川県とともに、瀬戸内海気候特有の、雨が少ない広島県にとって、大規模な土砂災害が相次ぐ素因として、花崗岩が風化してもろくなった「真砂土(まさど・まさつち)」と呼ばれる地盤が広がっていることが、これだけの被害になったと指摘されています。
「真砂土」は、主に関西以西の山などに広く分布している風化花崗岩が堆積した土壌です。
参考までに、漢字を用いる「真砂土」は園芸用語だそうで、地盤工学では砂質土や砂岩と区別するため「マサ土」とカナ表記が一般的だそうです。
園芸利用としての「真砂土」の特徴は、水はけ、水もち、保肥力が良い半面、粘土分が多いものは通気性や水はけが悪いのが特徴です。
このため、植木などに用いる際はピートモスや腐葉土、堆肥などを加えて改良する必要があり、弱酸性です。
安価なため、主に街路樹用土や庭土、学校の校庭の敷土などとして利用されています。
「マサ土」のできる過程としては、花崗岩という岩石は、結晶粒子が大きくかつ鉱物結晶の熱膨張率が異なるのが特徴で、温度差の大きい所では粒子間の結合が弱まり、風化しやすくなります。
そして、風化が進むと構成鉱物の粗い粒子を残したまま、ばらばらの状態になり、非常にもろく崩れやすくなります。
このようにして生じた粗い砂状の粒子は「マサ」と呼ばれ、その「マサ」が堆積した土を「マサ土」と定義しています。
砂質土と違い、「マサ土」は花崗岩の種類によって構成粒子の粒径に差が生じたり、細粒分の差が生じたりします。
花崗岩地帯には「マサ土」が広く分布し、西日本においては特に風化が進行しやすいと言われています。
これは先に述べたように、降雨が少なく温暖な気候が続くという特徴を持つ瀬戸内海式気候の区域に見られる傾向があり、分布地域は、広島県の大部分や、愛媛県の高縄半島全域、香川県の3分の2、そして瀬戸内海の島々です。
また、その特徴から深層部ではなく地表に近い層に堆積しており、強い降雨により多量の砂が流れ出すため、花崗岩地帯の多くが砂防指定地や保安林に指定され、土砂災害対策が講じられています。
今回、大規模な土石流が発生した広島市安佐北区などは、1999年6月にも豪雨による大規模な土砂災害が発生し、多くの犠牲者を出しています。
「マサ土」は、軟らかいので掘削が簡単です。
したがって、山間部を宅地造成することも簡単で、費用も安価ですみます。
急激に雨が降らなければ、十分自立できる「マサ土」なので、特殊工法のアンカーで止めるとかの抑止工法は、今回のような災害でも発生しないかぎりしていません。
だから「マサ土」が切土面や盛土面で造成している住宅地は、土砂災害などの危険性が高い住宅地と言えると思います。
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