まだまだ続いている西ノ島の噴火

このブログでも、数回にわたって、噴火が続いている小笠原諸島の西之島についての近況報告をお伝えしてきました。

5月23日の報告では、面積は、東京ドームのおよそ22倍に当たり、噴火活動が始まる前のおよそ5倍に広がっているとお伝えしました。
この時の観測では、新たな陸地部分の中央に三つの火口が南北に並んでいたそうですが、6月13日の観測では、北側の火口の東約150m付近に四つ目の火口が見つかったそうです。
その時の赤外線画像では、この新火口から島の東側に大量の溶岩が流れ出し、海面に達している様子がわかります。
この時は悪天候だったそうで島の大きさは測定できなかったみたいですが、海保の航空機で観測した東京工業大の教授である野上健治さんは「溶岩の供給は安定的に続いており、極めて活発な活動状態が続いている」との談話を発表しました。

西ノ島の噴火の様子をおさらいしてみましょう。
西之島は、東京の約1000km南方に、南北約650m、幅約200mの小さな無人島でした。
2013年11月20日に、西之島の海岸線から約300m南東沖に海底噴火が確認され、新島を形成しました。
新島は爆発的にマグマを噴出して成長を続け、2013年12月、西之島は新島と結合し、一体化しました。
そして、2014年5月、西之島は、面積は以前の4倍、南北、東西ともに幅1,250mの島に成長しました。
激しい爆発は船舶の接近を拒み、いまも流出している西之島の溶岩は、未だ採取されていません。
但し、旧西之島は1973年から74年に噴火しており、その噴出物およびそれ以前の溶岩は採取され、この分析結果から、岩石はすべてSiO2(シリカ)量が60%前後の非常に均質な安山岩だそうです。
安山岩は大陸を形成する物質であり、海の真ん中で噴出するとは、誰も考えてはいませんでした。

西之島は、水深2,000mを越える深さから聳え立つ巨大な海底火山の山頂部にあります。
そもそも「海底火山は、マントルで生じたマグマが地殻を通して、海底に噴出したものである」というのが常識でした。
マントルで生じたマグマ(初生マグマ)は海底火山の調査によって採取され、実態が明らかになってきています。
しかし、西之島にはこれは当てはまらず、西之島の溶岩の組成は驚くほど大陸地殻に似ているそうです。
なぜ海洋島弧に安山岩マグマが噴出するのでしょうか。
西之島の地殻は異常で、大陸のように厚いのかと思うのですが、事実は全く逆だそうです。
下図は、伊豆小笠原弧に沿った地殻構造を示しています。
伊豆弧の三宅島,八丈島、青ヶ島、鳥島などは玄武岩マグマを噴出する火山です。
これらの火山は厚さ20-30㎞の地殻を持っていますが、これに対し西之島を含む小笠原弧の地殻は厚さ15-20kmしかありません。
つまり、西之島は世界でも有数の「マントルに近い島」と言えます。
なぜマントルに近い島から大陸そっくりの安山岩マグマが噴出するのかが、西之島が大陸成因の鍵をにぎっているのかも知れません。
地球は、太陽系で唯一海洋と大陸を持つ惑星です。
この大陸をつくる「大陸地殻」と海底をつくる「海洋地殻」は、岩石の組成が異なっており、海洋地殻を構成する玄武岩が他の地球型惑星にも普遍的に存在するのに対し、大陸地殻を構成する安山岩は、地球以外ではほとんど存在しないそうです。
これについては、これからの研究に期待したいところです。


伊豆小笠原弧の地殻構造です。
三宅島、八丈島、青ヶ島などに比べて西之島の地殻は顕著に薄いことがわかります。
マントルに近い島から大陸に近いマグマが噴出しています。

20140618025213funnka01.jpg
依然として小笠原諸島の西之島では活発な噴火が継続しています。
海上保安庁が6月16日に、新たな西之島の観測記録を公開しました。
この観測データによると、今までは3つしか無かった噴火口が、16日の観測時には4つに増えていたとのことです。
新しい噴火口は北側の東付近に出現し、大量の溶岩を噴出している様子が撮影されています。
西之島の一番活発な火山は10秒に一回のペースで噴火を繰り返しており、今後も更に島が巨大化する可能性が高いようです。
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