今回の台風と伊勢湾台風との違い

大型で強い台風8号の影響で、沖縄では9日、読谷村で1時間に96・5mmの猛烈な雨が降るなど各地で記録的な大雨となり、土砂崩れや住宅への浸水、道路の冠水が相次いでいます。
台風の勢力は次第に弱まっていますが、離れた地域も梅雨前線が活発になっており、その影響で全国の広い地域で大雨に見舞われ、福島県郡山市では、増水した川に転落したとみられる男性(83)が亡くなり、長野県南木曽町でも家族4人が土石流に巻き込まれ、中1男子(12)が亡くなりました。
愛媛県でも、西予市で今日の早朝、男性(77)が自宅前の水路で倒れているのが見つかり、死亡が確認されています。
現在のところ、亡くなった方は3人だそうです。

台風発生時には、伊勢湾台風と比較されていました。
伊勢湾台風は、1959年(昭和34年)9月22日9時には、中心気圧は 996 hPa であったものが同日15時には 970hPaになり、翌23日9時には 905hPa となりました。
発達はさらに続き、23日15時にはアメリカ軍の気象観測飛行機により 894 hPa が観測されています。
中心付近の最大風速は 75 m/s(アメリカ軍の観測では 90 m/s)、風速 25 m/s 以上の暴風雨圏(暴風域に同じ)は半径 300 km でした。
これに対して、今度の台風は、7月4日午前9時に、マリアナ諸島付近で台風8号になり、その時の中心気圧は998 hPa 、中心付近の最大風速は18m、最大瞬間風速は25mで、7日の午前9時の中心の気圧は930 hPa 、中心付近の最大風速は50m、最大瞬間風速は70mとものすごく大きくなり、中心から半径200km以内では風速25m以上の暴風が吹いていました。
これだけの数字を見ると、伊勢湾台風よりは少し弱いようです。
まだ台風8号は日本列島を通過している最中ですが、ここだけの状況から見ると被害は全然違います。
伊勢湾台風は、犠牲者5,098人(死者4,697人・行方不明者401人)でした。
愛知県で3,351人(うち名古屋市1,909人)、三重県1,211人と、紀伊半島東岸の2県に集中しています。
負傷者は、38,921人でした。
全壊家屋36,135棟・半壊家屋113,052棟、流失家屋4,703棟、床上浸水157,858棟、船舶被害13,759隻とものすごいものです。
被災者数は全国で約153万人に及んでいます。
このうち、三重県は約32万人、愛知県は約79万人と、県全人口の約2割が被災しました。
伊勢湾台風は進路予想もかなり正確であり、早い時期から上陸が確実視され、充分な防災対策を講じる余裕があったにもかかわらず空前の大被害が発生しました。
伊勢湾台風で最も顕著であったのは高潮の被害でした。
台風の勢力が衰えず、熊野灘から知多湾・三河湾・伊勢湾では台風が西側を北上して非常に強い南寄りの暴風が持続する状況となり、この強い風による吹き寄せと低気圧による吸い上げの効果により高潮が起こり、満潮時を外れていたにもかかわらず名古屋港では海水位が平均海面上 3.89 m(うち気象潮は 3.45 m で、それまでの最高であった室戸台風の 3.1 m を上回った)、工事基準面からの高さは 5.31 m に及ぶ、観測史上最高水位を記録しました。
名古屋地方気象台では、高潮警報は出したものの潮位は 2 m 程度と予想していました。
この記録破りの高潮に対し、伊勢湾奥の海岸堤防の高さは 3.38 m しかなく、また、名古屋市やその周辺では急速な工業発展に伴う地下水のくみ上げで地盤沈下が激しく、高潮に対して非常に脆弱な土地が広がり、そこに無計画に市街化が進んでいたことも被害を大きくしたそうです。
それに対して、今回の台風8号は、7日の会見の時点では、沖縄の南の海上に達するころには中心気圧が910hPaまで発達すると予想されていましたが、実際は930hPaまでしか下がりませんでした。
沖縄県は、台風慣れしていることもあり、早めの警戒で心構えや備えができたという声もきかれました。
それでも、台風の南側にのびる雲の帯が沖縄本島にかかり続け、気象台が「50年に1度」と発表する記録的な大雨になりました。
中部の読谷村では1時間に96.5mmの猛烈な雨を観測、平年の7月の雨量が118mmなので、その8割が1時間で降ってしまったことになります。
名護では24時間の雨量が400mmを超えました。
これは平年の年間雨量(2018.9mm)の約5分の1に匹敵します。
これに伴い、沖縄本島各地で、土砂災害や浸水・冠水が発生しています。

現在では、中心の気圧は 985hPaで、中心付近の最大風速は 25m/sと、普通の台風になりました。
今回の台風で犠牲者がほとんど出なかったのは、やはり事前の情報量の多さと、規模が少し小さかったので、高潮の被害がなかったことが大きかったと推測できます。
東北の大震災でも思ったことですが、陸地での土石流などの被害はなんとか事前に逃げることができますが、思いもよらない津波とか高潮などは、海のそばで住んでいる人たちには準備不足になることがあると思います。
今は情報化社会なので、天変地異の情報も素早く伝わってはきますが、判断するのは一人ひとりだと思います。

松山では、台風で大騒ぎの割には、あまり雨が降っていません。
7月6日19.5mm、7日27.0mm 、8日36.0mm、昨日は3.0mm、そして今日は12時までで7.5mmです。
宇和島では43.0mm、高知県の宿毛で135.0mm降っていることを考えるとあまりにも少なすぎます。
当社では、こんな状況でも、「台風による安全対策」として5班のうち3班は現場を休んでいます。
土石流などの、突発的な災害が起こらないとも限らないので、安全対策は重要です。
何にでも言えることですが、「まるっきり安全なのに」という自己判断が一番怖いことです。
その判断は、ほとんどの場合正しいのですが、何100回に1回かは判断のずれにより事故を起こすことがあります。
この台風を機会に、気を引き締めて仕事をすることが大切です。
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