地下水涵養について

地下水涵養について調べてみました。

(1)地下水涵養とは
地下水涵養とは、雨や川の水などが地下に浸透して帯水層に流れ込むことです。
「涵」という文字は、“浸す”や“潤す”を意味しています。
したがって、地下水がジワジワと満たされるようなイメージになります。
地下水が涵養されると次のような効果があります。
①地盤沈下の防止
帯水層のすき間が水で埋まるため地盤が安定し、地盤沈下を防止できます。
②ヒートアイランド現象の緩和
また、地中の水分が蒸発する際にエネルギー(気化熱)を奪って気温を下げるため、都市部の気温上昇(ヒートアイランド現象)の緩和にも役立ちます。

地下水量は、「雨水の浸透量」と「汲み上げ量」によって増減し、雨水が浸透するほど、また利用量が少ないほど涵養されることになります。
ただし、地表の水の場合は、どれくらいの量が地下水に涵養されているかを把握することは、非常に難しいことです。
これは直接測定することができないことにあります。
このため一般的には、地表の水量の時間変化を測定し、その量から蒸発散量を差し引くことで推定しています。

(2)日本の地下水涵養量
降雨による地下水涵養量は、日本で、一年間にどれくらいかを調べた文献がありました。
地下水循環の観点から見ると、降雨によって地下水を涵養した水は、地下水が河川に流れ出る水量(河川の地下水流出量 Rg)にほぼ等しくなると考えられています。
ただし、この値は、地下水が直接、海底へ流れ出る量などを無視しています。
日本では、このRg(河川の地下水流出量)は河川の渇水流量にほぼ等しいと考えられており、地下水ハンドブック(建設産業調査会)によると全国平均値は1.1mm/日とされています。
この数値を用いれば、降雨による地下水涵養量は概ね400mm/年程度と考えられます。
また別の文献(地下水学用語辞典:山本荘毅 古今書院1986 )によれば、地下水涵養量は、その土地の地質条件、地表の被覆状態、補給源となる降雨量や降雪量とも大きく関係しますが「日本では1日に平均約1mmである」とされています。
これらのことから、面積37万8000km2の日本においては年間約400mm、つまり1500億tの水が地下水に涵養されていることになります。

(3)地下水涵養の対策
この地下水涵養量ですが、市街化の進行に伴い、涵養機能の高い農地・林地・空地などが宅地や舗装道路に変わり、雨水などによる地下水の涵養が阻害されつつあるのが現状です。
このため、治水対策と地盤沈下の一環として、透水性舗装・浸透枡・浸透トレンチ(浸透ボックス)・浸透側溝・浸透マンホール・涵養井または注入井の設置・休耕田の利用等の普及を図っています。
①透水性舗装
透水性舗装は、道路路面に降った雨水を舗装内の隙間から地中へ還元する機能を持った舗装のことです。
構造としては、透水性舗装材等(表層)の下に浸透層を設けています。
水をそのまま地下に浸透させるため、地下水の涵養の他にも、設計許容量を超えた豪雨時などに起こる下水や河川の氾濫の防止や植生・地中生態の改善等の効果があります。
透水性舗装は歩道、遊歩道、駐車場や公園等で利用しています。
透水性舗装を利用すると降雨時に路盤が洗掘され強度が保てなくなる恐れがあるため、幹線道路等の車道では基本的には使用していません。
透水性舗装によく似た言葉で、排水性舗装があります。
排水性舗装とは、排水を目的にした舗装で、高機能舗装とも呼ばれ高速道路や幹線道路等の車道で採用されています。
構造としては、粗くしたアスファルトや排水性舗装材等(表層)の下に遮水層(不透層)を設けて、路面に滞留する雨水を積極的に道路の両側にある側溝等の排水構造物へ排水する舗装なので、透水性舗装とは全く逆の構造です。
走行車両による水はねや水しぶきの緩和による視認性の向上、ハイドロブレーニング現象の緩和等の効果があります。
また、排水性舗装は空隙が多い舗装であることから、路面とタイヤで発生する走行音が拡散されることによる低騒音効果もあります。
②浸透枡
浸透枡は、住宅地などに降った雨水を地面へと浸透させることのできる枡のことです。
通常の雨水枡(雨どいを伝って下りてきた雨水を集め、排水路や側溝に流すためのもの)とは異なり、底面及び側面に多くの穴が開いている多孔型です。
枡の周囲を砕石で覆って設置することによって土の粒子の空隙を広げ、また透水シートを巻きつけて土の逆流を防ぐなど、浸透効率を高める様々な工夫がなされているます。
コンクリート製だけでなく、ポリプロピレン製・塩ビ製など、種類も多様です。
③浸透トレンチ
浸透トレンチは、雨水浸透施設で、長い溝内に砂利や砕石等を敷き、雨水を濾過浸透させる構造です。
地下水の涵養だけでなく、雨水の急激な流出を抑制することにも役立つ施設です。
浸透トレンチは線状に配設されるので大きな浸透容量を有しています。
浸透トレンチの施工上の注意点としては、地盤の浸透機能を低下させないため、浸透面を締め固めないものとし、掘削後は床付けを行わず、直ちに砕石等の重鎮材を投入します。
④浸透側溝
従来の側溝の「雨水をすみやかに下流に排出する」構造とは異なり、通常のU型側溝の排出機能と貯留部を持ち、側溝底部及び側壁部から雨水を浸透させます。
これは、地下水の涵養の他にも、確定した貯留量を算出できることと、 .雨水の流出抑制効果が大きいこと、それに溜まり水がなく、蚊および悪臭の発生を防止できることなどの効果があります。
そして、比較的地下水の高いところでも、施工が可能です。
⑤浸透マンホール
マンホール直壁部と底版に専用フィルターを取り付けた排水孔を設け排水機能を付加した製品です。
⑥涵養井または注入井の設置
涵養井(かんようせい、Recharge well)または注入井(ちゅうにゅうせい、Injection well) を、供給させたい対象の帯水層に井戸を設置し、直接、水を供給します。
⑦休耕田に水を溜める
休耕田・農閑期・非灌漑期の水田の湛水 涵養される量は土壌の浸透能によって制限されるため、長期間、広い土壌面積に対して水面を形成しておくことが良いとされています。
休耕田に水を溜めることで、自然の降雨と同じように涵養できます。

スポンサーサイト
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム
QRコード
QR