ボーリングにおける泥水

ボーリングをするためには水はつきものです。
地下水を調べるために「清水」で掘る場合もあるのですが、一般には孔壁の崩壊防止などのために「泥水」で掘ります。
この「泥水」ですが、辞書で調べると、泥まじって濁った水と書いています。
つまり「どろみず」のことですが、ボーリングで使う「泥水」は、比重の大きい鉱物の微粒子を調合した水のことです。
この「泥水」の役割は、「泥水ポンプ」からロッドなどの掘管内を通して圧入し、掘りくずとともに地表に回収します。
この「泥水」は、水をベースとしたものと、油をベースとしたものと2種類ありますが、一般的には水+ベントナイトを基本として必要に応じて各種の調整剤を加え、「泥水」の性質を安定させて使用しています。

(1)ベントナイトとは
ベントナイト(bentonite)は、モンモリロナイトを主成分とする粘土の総称です。
工業、建設業で幅広く利用され、アメリカ合衆国ワイオミング州のフォートベントン (Fort Benton) 頁岩層にあることから命名されたそうです。
高い粘性、粘着性、吸水性や吸着性などの性質により、陶磁器のほか、各種産業に広く利用されています。
乾燥重量の数倍に及ぶ吸水により膨潤し、固形状態では不透水性である。また水懸濁液は安定なコロイドを形成し、高い粘性を示します。
さらにしばしばチキソトロピーを示し、高濃度ではゲル化するが撹拌により液状化します。
このような性質は特にナトリウムベントナイトで顕著で、これを利用して、土木工事用防水材やボーリングなどの掘削用泥水に利用されています。
このようにベントナイトは、水に対して極めて親和性が強く水を吸収して容積を増す性質をもっています。

(2)泥水の役割
ボーリングは循環水を送って掘削します。
循環水を送る目的は、
①スライムの除去
②ビット刃先の冷却
③ロッドの回転抵抗の減少

などがありますが、更に循環水に特殊な性能を与えて掘進能率を上げるために「泥水」を使用します。

(3)泥水使用の目的
①スライムの排除
ビットで地層を掘り進んでいくとスライム(掘り屑)がでます。
スライムがビットの近辺に溜ってしまうと切れ味が悪くなるばかりでなく、回転抵抗が増え掘削に悪影響を与えます。
従って発生したスライムは速やかに孔外に排除しなくてはなりません。
そこでポンプで送られた圧送水がこのスライムを外に排除する役目を持っています。
掘削口径や使用するツールによって適正な泥水を送ることでスライムを排除することは非常に大切なことなのです。
②コアビットの冷却とパイプ同士の潤滑性の維持
先端のコアビットは、その硬い刃で絶えず地層を砕き掘り進んでいます。
そのため、摩擦により熱が発生します。
また、ケーシング(孔壁の崩壊 を防ぐための鉄パイプ)とボーリングロッドとの間で接触が起こり、パイプが摩耗する可能性があります。
このため、常に「泥水」を循環させることによってコアビットを冷却し、粘土分の潤滑性を利用してパイプの摩耗を防ぎます。
③孔内の圧力バランスの維持
孔内に様々な地層流体が進入するのは、孔内の「泥水」の圧力が周囲の地層の流体の圧力に比べて小さくなりバランスが崩れるためです。
加重材を添加することにより「泥水」の比重を調整し、孔内の「泥水」の圧力を高める必要があります。
でも、高すぎる場合だと逆に地層内に「泥水」が流れていってしまいます。
したがって、このバランスが熟練技術者のテクニックになります。
④孔壁の崩壊防止
通常保護されていない孔壁は次第に崩壊してしまいます。
ベントナイトなどの粘土分で孔壁をコーティング(泥壁の形成)することにより大きな崩壊を防止することが出来ます。
逆に泥壁が厚すぎるとボーリングロッドが張り付いてしまい掘削が不可能となってしまうため、いかに薄く強靱な不浸透性の泥壁を形成できるかが鍵となります。
「泥水」にもいろいろな種類がありますが、水にベントナイトを5~8%(重量比)、調泥剤CMCほか0.05~0.5%ほど加えたベントナイト泥水が一般的で、清水に比べ比重が1.05~1.10位あります。
この「泥水」は孔壁に薄くて強靭な不浸透性の壁を作って孔壁の崩壊を防止したり、逸水、湧水を遮断する役目も持っています。
⑤刃先の冷却
「泥水」は、ビットで岩石を切削した時に発生する熱を冷却する目的を持っています。
刃先を冷却することと、刃先近辺のスライムを水で排除することで、切れ味を維持し寿命を延ばすことが出来ます。
工作機械で鉄を削るときに、切削油を刃先にかけるのと同じ目的です。
⑥スライムの沈殿の防止
ボーリングロッドを繋ぎ足す場合など、一時的に泥水循環を停止させることがあります。
この時、地上に戻る途中の泥水中のスライムが沈降してしまうと、孔壁の崩壊と同様にボーリングロッドが埋まってしまいます。
「泥水」の粘性を高めることによりその落下を最小限に食い止めます。
⑦泥水検層
現在掘削しているコアビットの先端、地底地層がどうなっているか、その状態を伺い知ることは容易なことではありません。その貴重な情報源として地上に戻ってきた「泥水」を分析する方法があります。
「泥水」には現在掘り進んでいる地層の成分が溶け込んでおり、その成分を分析することによって地層のおおよその様子が分かります。
また、地上まで回収されたスライムからも直接データが得られます。

(4)泥水管理について
「泥水」の使用には、各種試験の実施とその判断による「泥水」管理が必要で、これを怠ると「泥水」の性質が悪化して孔内事故が起る可能性があります。
①泥水の濃度及び粘性
一般に、土質ボーリングでは、砂層、礫層の保護、またロッド径と掘進孔径との差が大きいため、シングルコアチューブを使用するため、やや粘性の高い「泥水」を使用する必要があります。
これに対して、岩盤ボーリングでは、ダブルコアチューブとダイアモンドビットを使用するため、できるだけ粘性が低く泥壁形成性の良い「泥水」を使用する必要があります。
浅掘りボーリングでは、経験による泥水判断(指先によるなど)も行なわれますが、色の変化により、定期的に全泥水を交換する方法もあります。
②泥水使用中のセメンティング
セメンティングは、崩壊防止、逸水及び湧水の防止などの為に実施されますが、「泥水」中にセメントを使用すれば、セメントの強度は極端に低下します。
また、「泥水」にセメントが混じった場合は、「泥水」汚染、効率低下など孔内状況を悪化させるので、「泥水」使用中のセメンティングは控えた方が良いと言われています。
③逸水防止剤
掘削中に逸水層に当ると逸水が発生します。
この際、そのまま逸水掘りを続けることもありますが、逸水を止めなければ掘削出来ない場合があります。
特に「泥水」使用の場合は、作泥が間に合わなくなるほど大量の「泥水」を必要とし、逸水を止めなければ掘進を続けられない状態にまでなります。
このため、状況に応じて使用する逸水防止剤が作られており、循環しながら孔内の「泥水」全体に加える方法と、3~4種類の防止剤を多量に加えた「泥水」を逸水層部分に部分注入する2つの方法があります。
さまざまな薬品を加えた「泥水」は、地中にも存在していた物質も含み地上に上がってきます。
それらの中には有害なものがある可能性があるため、掘削終了後は産業廃棄物として責任を持って処理する必要があります。
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