活火山の分類について

私が火山のことを学んだ40年前の教科書では、噴火している火山は「活火山」で、現在噴火していない火山は「休火山」か、あるいは「死火山」と呼ばれていました。
例えば、富士山のように噴火記録はあるものの、現在休んでいる火山のことを指して「休火山」、石鎚山のように噴火記録がない火山のことを指して「死火山」という表現が使われていました。

ただし、これとは別に、噴火記録のある火山や今後噴火する可能性がある火山を全て「活火山」と分類する考え方が1950年代から国際的に広まったそうです。
この考え方として、火山の活動の寿命は長く、数百年程度の休止期間はほんのつかの間の眠りでしかないということからでした。
1960年代からは、気象庁も噴火の記録のある火山をすべて「活火山」と呼ぶことにしたそうです。
1975(昭和50)年には、火山噴火予知連絡会が「噴火の記録のある火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義して77火山を選定しました。
この77火山は、主として噴火記録がある火山が選ばれていましたが、噴火記録の有無は人為的な要素に左右される一方、歴史記録がなくても火山噴出物の調査から比較的新しい噴火の証拠が見出されることも多くなり、1991年(平成3)年には、火山噴火予知連絡会が活火山を「過去およそ2000年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」と定め、83火山を選定し、その後1996(平成8)年にはさらに3火山が追加され、活火山の数は86となりました。
しかし、数千年にわたって活動を休止した後に活動を再開した事例もあり、近年の火山学の発展に伴い過去1万年間の噴火履歴で活火山を定義するのが適当であるとの認識が国際的にも一般的になりました。
このことから、2003(平成15)年に火山噴火予知連絡会は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義し直しました。
当初は、活火山の数は108火山でしたが、2011(平成23)年6月に、北海道内の3火山(天頂山(てんちょうざん)、雄阿寒岳(おあかんだけ)、風不死岳(ふっぷしだけ))について、過去1万年以内に噴火していたことが判明しました。
天頂山と雄阿寒岳については、単独峰として新たな「活火山」に選定し、風不死岳については、樽前山に隣接していることから、樽前山に含めました。
これにより、国内の活火山の数は、現在では110火山となっています。

2009(平成21)年6月には、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえ、「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として47火山が火山噴火予知連絡会によって選定されています。
これら47火山の選定を受けて、気象庁では、噴火の前兆を捉えて噴火警報等を適確に発表するために、
①地震計
②傾斜計
③空振計
④GPS観測装置
⑤遠望カメラ
等の観測施設を整備し、関係機関(大学等研究機関や自治体・防災機関)からのデータ提供も受け、火山活動を24時間体制で常時観測・監視しているそうです。

但し、別の資料では、気象庁が常時観測・監視を実施している火山は25火山となっています。
この火山は、下表に○印で示していますが、この違いはよくわかりません。
そして、また別の資料では、噴火警戒レベルが運用されている火山というのがあって、噴火警戒レベルは、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された47火山のうち、平成25年7月現在で30火山です。
これを考えると、当初は25火山だったのが、平成25年7月現在で30火山になったのだと思います。



噴火警戒レベルが運用されている火山については下図に示していますが、各火山の現在の噴火警戒レベルについては、レベル3の入山規制が桜島のみで、レベル2の火口周辺規制が、阿蘇山、霧島山(新燃岳)、諏訪之瀬島、薩摩硫黄島の4火山です。
あとの25火山は、現在ではすべてレベル1です。

これとは別に、文部科学省関連の測地学分科会火山部会では、別の分け方をしています。
火山の数は110火山で同じですが、この中で重要な火山をリストアップしています。
下表の★印は、活動的で特に重点的に観測研究を行うべき13火山で、☆印は、活動的火山及び潜在的爆発活力を有する24火山です。
火山噴火予知の実用化を目標に、個々の火山の活動度の把握と、その理解の基礎となる火山噴火の仕組み及び火山の構造の総合的解明を目指しているそうです。
火山観測研究の強化、噴火機構解明のための基礎研究の推進などの、火山噴火予知体制の強化を図ってきたそうです。
その結果として、適切な観測体制がとられた火山では、火山活動の高まりを把握し、噴火時期をある程度予測できるまでになっているものの、噴火開始後の推移予測については、経験則に基づく予測が成立する場合以外は依然として困難な状況にあるそうです。
今後は、この解決のため、火山観測研究を一層強化するとともに、火山体内部構造、噴火発生機構、火山流体の挙動などに関する基礎研究を一層強化することとしているそうです。

つまり、気象庁と文部科学省とでは趣旨が違うということでしょうか?
でも、私たち一般人にとってはすごく解りづらい分け方です。

我が国の活火山の分布


「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」
 

噴火警戒レベルが運用されている火山



 


No.火山名英名気象庁分類
1知床硫黄山Shiretoko-Iozan

2羅臼岳Rausudake

3摩周Mashu

4アトサヌプリAtosanupuri

5雌阿寒岳Meakandake
6丸山Maruyama

7大雪山Taisetsuzan

8十勝岳Tokachidake
9利尻山Rishirizan

10樽前山Tarumaesan
11恵庭岳Eniwadake

12倶多楽Kuttara

13有珠山Usuzan
14羊蹄山Yoteisan

15ニセコNiseko

16北海道駒ケ岳Komagatake
17恵山Esan

18渡島大島Oshima-Oshima

19恐山Osorezan

20岩木山Iwakisan
21八甲田山Hakkodasan

22十和田Towada

23秋田焼山Akita-Yakeyama
24八幡平Hachimantai

25岩手山Iwatesan
26秋田駒ケ岳Akita-Komagatake
27鳥海山Chokaisan
28栗駒山Kurikomayama

29鳴子Naruko

30肘折Hijiori

31蔵王山Zaozan
32吾妻山Azumayama
33安達太良山Adatarayama
34磐梯山Bandaisan
35沼沢Numazawa

36燧ケ岳Hiuchigatake

37那須岳Nasudake
38高原山Takaharayama

39日光白根山Nikko-Shiranesan

40赤城山Akagisan

41榛名山Harunasan

42草津白根山Kusatsu-Shiranesan
43浅間山Asamayama
44横岳Yokodake

45新潟焼山Niigata-Yakeyama
46妙高山Myokosan

47弥陀ヶ原Midagahara

48焼岳Yakedake
49アカンダナ山Akandanayama

50乗鞍岳Norikuradake

51御嶽山Ontakesan
52白山Hakusan

53富士山Fujisan
54箱根山Hakoneyama

No.火山名英名気象庁分類
55伊豆東部火山群Izu-Tobu Volcanoes
56伊豆大島Izu-Oshima
57利島Toshima

58新島Niijima

59神津島Kozushima

60三宅島Miyakejima
61御蔵島Mikurajima

62八丈島Hachijojima

63青ヶ島Aogashima

64ベヨネース列岩Beyonesu (Beyonnaise) Rocks

65須美寿島Sumisujima (Smith Rocks)

66伊豆鳥島Izu-Torishima
67孀婦岩Sofugan

68西之島Nishinoshima
69海形海山Kaikata Seamount

70海徳海山Kaitoku Seamount

71噴火浅根Funka Asane

72硫黄島Iojima
73北福徳堆Kita-Fukutokutai

74福徳岡ノ場Fukutoku-Okanoba

75南日吉海山Minamihiyoshi Seamount

76日光海山Nikko Seamount

77三瓶山Sanbesan

78阿武火山群Abu Volcanoes

79鶴見岳・伽藍岳Tsurumidake and Garandake
80由布岳Yufudake

81九重山Kujusan
82阿蘇山Asosan
83雲仙岳Unzendake
84福江火山群Fukue Volcanoes

85霧島山Kirishimayama
86米丸・住吉池Yonemaru and Sumiyoshiike

87若尊Wakamiko

88桜島Sakurajima
89池田・山川Ikeda and Yamagawa

90開聞岳Kaimondake

91薩摩硫黄島Satsuma-Iojima
92口永良部島Kuchinoerabujima
93口之島Kuchinoshima

94中之島Nakanoshima

95諏訪之瀬島Suwanosejima
96硫黄鳥島Io-Torishima
97西表島北北東海底火山Iriomotejima

98茂世路岳Moyorodake北方領土内
99散布山Chirippusan
100指臼岳Sashiusudake
101小田萌山Odamoisan
102択捉焼山Etorofu-Yakeyama
103択捉阿登佐岳Etorofu-Atosanupuri
104ベルタルベ山Berutarubesan
105ルルイ岳Ruruidake
106爺爺岳Chachadake
107羅臼山Raususan
108泊山Tomariyama

○ 気象庁が常時観測・監視を実施している火山<25火山>
★ 活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山<13火山>
☆ 活動的火山及び潜在的爆発活力を有する火山<24火山>
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