伊豆大島の被害とスコリア

台風26号の影響で、特に伊豆大島が甚大な被害に見舞われました。
伊豆大島は、16日午前11時までの24時間雨量は800mmを超えるほどの記録的大雨になりました。
この誘因により、土石流とみられる大規模な土砂崩れが発生し、17人が死亡し、未だに39人が安否不明となっています。

(1)伊豆大島の雨量
伊豆大島は、観測史上最大の24時間で824mmの雨が降っています。
10月の平均雨量の2.5倍の雨量がたった1日で降ったことになります。
そして、午前4時には1時間118・5mmを記録するほどの豪雨でした。
1時間に100mm前後の大雨が4時間も続いています。
この大雨で土砂崩れが起こり、至るところで道路が寸断されていました。
山の斜面は広範囲で土石流が起こり、住宅が飲み込まれていました。
被害は元町神立地区、元町3丁目に集中し、山から海に向かって大量の流木がありました。

(2)大雨の要因
気象庁によると、伊豆諸島の大雨の要因として、台風26号の進路に島がぶつかったことに加え、26号の接近に伴ってできた前線が、15日夜から16日未明にかけ、伊豆大島から房総半島に停滞したことにあるそうです。
前線は、南から吹き込む暖かく湿った空気と、陸側の冷たい空気がぶつかって形成され、今回は台風が暖かく湿った風をもたらしたのですが、この風の勢力が強く広範囲だったため、積乱雲が発達し、激しい雨を降らせたそうです。
それだけでなく、伊豆大島の南海上は、それまで台風が進んできた進路を北西から北東に変える「転向点」にあたったそうです。
転向点付近では、台風が速度を落とすため雨雲が停滞しやすく、今年9月の台風18号や、平成23年の紀伊半島での豪雨も、台風の転向点付近で雨雲が長くとどまったことが被害を拡大させたと見られています。

(3)スコリアについて
ここまでが台風26号による土砂崩れの誘因ですが、伊豆大島のもともとの地質の脆さもあります。
この主な原因として、「スコリア」にあると推定されています。
「スコリア」(scoria)とは、破片状の火山噴出物の一つで、岩滓(がんさい)とも言われています。
「スコリア」は、「軽石」と同じだと思っている人もいるとは思いますがそれは間違っています。
火砕物は、直径2mm以下のものを「火山灰」、2mm以上64mm以下のものを「火山礫」と呼んでいます。
「火山礫」はさらに、玄武岩質の黒や赤い色の物を「スコリア」と呼び、安山岩・デイサイト・流紋岩質の黄色や灰色、白いものを「軽石」と呼んでいます。
つまり、「スコリア」は、玄武岩など鉄,マグネシウムなどの多いマグマの発泡により生じています。
発泡の程度は、一般に軽石より悪く、発泡の悪い(孔の少ない)ものは火山弾や火山礫に移化しています。
「スコリア」の色は、一般に黒色~暗灰色ですが、噴出した時の条件によってはマグマに含まれる鉄分が酸化して酸化鉄となり、紫~赤色となる場合もあります。
火山である三原山によって作られた伊豆大島の地層は、過去の噴火で発生した「火山灰」や「スコリア」などが積み重なってできています。
「スコリア」は、水を含むとバラバラになるという特徴があり、また、このような場所には、噴火時の状況によって水を通しやすい地層や、通しにくい地層ができることがあり、この地層の境目では土砂崩れが起きやすいということにもなります。
崩れた土砂が川などに流れ込めば、土石流となって下っていきます。
大島町消防本部によると、山肌では多数の土砂崩れが発生し、海岸方面に下るに従って威力を増し、一部では複数の土砂崩れが一本化して巨大な土石流となったそうです。
地元の人は、「ちょうど土石流の流れた先に住宅地があり、被害が拡大した」と話しています。

 
三原山から噴出したスコリアや火山灰などが降り積もったもので、「バームクーヘン」と呼ばれています。
断続的に降り積もったために「バームクーヘン」のような縞模様が形成されたものです。
貴重な地質遺産ですが、斜面の方向性によっては、崩壊を招く地層となります。

 
 
 
伊豆大島の土石流の航空写真です。
斜面の半分近くが崩れて、緩斜面に建っていたであろう住居もなくなっています。
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