内水氾濫について

最近はゲリラ豪雨が頻発しています。

(1)外水氾濫と内水氾濫
この豪雨の影響で、街や農地などに水があふれる「氾濫」という状態が発生してしまいます。
この「氾濫」には2種類あります。
一般に思い浮かべる「氾濫」は、川の水が堤防を越えてあふれ出す「外水氾濫」のことで、これは洪水とも言います。
もう1つの「氾濫」は、市街地に降った大雨がマンホールなどから地表にあふれる「内水氾濫」です。
都市部の下水道の多くは、1時間あたり50mmの雨量を基準に設計されています。
でも、最近では、100mm前後の大雨が降ることが多く、都市部の雨水処理能力は想定を超えた対応を迫られていることになります。
都市部では、特に地下鉄や地下街がつきものです。
華やかで、平坦地でもあり、災害とは無縁と思われがちですが、水は低いところに流れるため、このような地下鉄や地下街などの地下建築物があるところでは大きな被害が発生する恐れがあります。
また道路の立体交差での掘り込み場所などにも水が貯まり危険です。
車で入り込んでしまった場合、ある程度の深さで車自体は止まりますが、車外に出ようとしてもドアが水圧で容易には開かず、閉じ込められる危険があります。
都市化が進む前は、山林や水田に、雨水を地中に浸透させたりする機能があったのですが、都市化されると、道路や駐車場などが舗装されて水が浸透しにくなり、「内水氾濫」が起きやすくなっています。
この「内水氾濫」は、都市型水害の典型的なものと考えられます。

(2)内水氾濫が生じやすい地形
「内水氾濫」が生じやすいところは、地下鉄や地下街などの地下建築物がある都市はもちろんですが、地形としては、
①平野の中のより低い個所である後背低地・旧河道・旧沼沢地
②砂州・砂丘によって下流側が塞がれた海岸低地や谷底低地
③昔の潟 (出口が閉ざされた入り海)を起源とする凹状低地
④市街地化の進んだ丘陵・台地内の谷底低地
⑤台地面上の凹地や浅い谷
⑥地盤沈下域
⑦ゼロメートル地帯
⑧干拓地
などがあります。
低湿地にポンプ場や排水路などの施設を設けたとしても、浸水を被りやすい脆弱な土地であることに変わりはありません。
このような「内水氾濫」常襲地は,遊水地として残しておくべきとも言われています。

(3)内水氾濫に対する対策
1)一般的な対策
「内水氾濫」による水の動きは一般には穏やかなので、被害の形態は家屋や家財の浸水になります。
ただし、浸水が長期間に及ぶと、家の建て直しが必要になることもあります。
浸水に対して抵抗性のある建築構造や住み方には、
①建物を氾濫水から遮断する
・敷地や建物の周囲を土手などで取り囲む
・建物外壁を防水壁でつくり開口部は防水扉で遮断する
②建物の位置を高くする
・敷地に盛土する
・基礎・土台を高くする
・高床式やピロティ構造(1階は柱だけ)にする
③浸水は被ってもその被害を軽くすませる
・2階建てにする
・1階に家財などをあまり置かない
・天井に家財持ち上げ用の開口部を設ける
・一階に耐水・非吸水建材を用いる
・家の周囲に樹林を配置して洪水流の衝撃を緩和する
等があります。
市街地が浸水した場合の死者発生原因には、冠水した道路を歩いていて深みにはまったり、側溝・排水路などに転落したりして溺れるのが大半です。
浸水の深さがひざ上までになると歩くのが困難になります。
もっと深くなれば浮力が働いて、足をとられやすくなります。
下水の水圧によってマンホールの蓋がはずれている道路が冠水すると非常に危険となります。
地下空間への浸水も非常に危険です。
地下街への階段、立体交差での路面の掘りこみ個所(アンダーパス)、丘陵斜面を通ずる道路などでは激しい流れが生じて人が押し流されることも起こっています。
2)都市型対策 
都市型水害対策として、
①雨水管や排水機場の整備
②地下空間への浸水の対策
が急がれています。
近年大都市では地下ダム・地下河川の建造に巨額が投入されています。
人が集中するのは平野部で、ここには地下構造物だらけです。
水が集中するのも平野部で、そして、その中でも一番低い地下構造物です。
人造の地下ダム・地下河川が、自然のゲリラ豪雨に勝てるのでしょうか?
ゲリラ豪雨はまだ短時間ですから、100mm前後の大雨も、半日くらいは耐えれるかも知れません。
ただし、このような大雨が1週間も降れば何もかも水浸しになってしまうことは想像できます。
私たちの設計は、例えば下水道では時間雨量が50mmが基準ですが、これが何日も続くとは想定していません。
これを考えると、「どこに住んでいても安全な所はないな」というのが実感です。
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