中国のレアアース産地の汚染状況

中国のレアアースについては、当ブログでもいろいろ書いてきました。

(1)中国レアアース独占の実態
まず、1980年代初頭までは、アメリカがレアアースの産出量の世界シェアを独占していました。
中国のレアアースの埋蔵量は、世界の2割程度しかないと言われています。
でも、現在では世界の97%(12.4万t、推定)の産出量の独占を許してしまっています。
レアアース採掘は先ず鉱山に生える植物を全て排除したあと、2~3m間隔に穴を掘り、酸性の液体を注入します。
以前はシュウ酸を使用していたそうですが、現在は硫酸アンモニウムを使用していると言われています。
中国のレアアースは、地盤の軟らかい地層にあるので、バイブを押し込んで高圧水を注入すれば、レアアースが吹き出してくるそうです。
でも、1トンのレアアースを採掘するためには7、8トンの硫酸アンモニウムが必要だそうです。
硫酸アンモニウムは長い間地下に残留し、もし地下水に流れ込んだら汚染することは言うまでもありません。
但し、このように簡単にレアアースが採取出来たため、中国が安値攻勢を掛けました。
アメリカやオーストラリアの露天掘りのほうが、環境への影響は少ないですが採掘費用が高くつきます。
そのため、他の国のレアアースが価格競争力を失い、その結果として採掘をやめてしまったそうです。

(2)内モンゴル自治区包頭市の現状
但し、この弊害もあります。
高圧水を大量に消費するので、レアアースとともに流れ出す有毒成分が河川と地下水の汚染を招いており、中国は、レアアースの輸出を制限する以前に農民の反対勢力が無視できなくなり採掘が出来なくなっているそうです。
レアアースの採取地は、内モンゴル自治区包頭市(バオトウ市)です。
ここでは中国のレアアース生産量の8割を占めています。
内モンゴル自治区包頭市は中国最大のレアアース生産基地です。
上空から見下ろせば大小の渓流が集まってできた湖のように見える10k㎡の巨大な廃水湖には、周辺工場から17種類のレアアース廃水が排出されています。
水中には有毒元素が含まれているため、魚はおらず水草もほとんど絶えてしまっています。
1985年に、包頭鉄鋼の工場がレアアース採掘を始めてからこの廃水池ができたそうです。
1980年代終わりごろから村人たちは栽培している野菜が結実しない、あるいは結実しても非常に小さく、味も良くないことに気付いたそうです。
さらに10年経つと汚染はますます深刻になり、野菜は全く育たなくなったため、工場付近のいくつかの村の村民は田畑を放棄したそうです。
こればかりではなく、包頭市では各種の工業工場や火力発電所も同地区の汚染を深刻化させています。
排出される石炭灰が家屋の周囲に漂い、手を伸ばせば粉塵をつかむことができるほどです。
現地住民は硫酸など化学物質の蒸気や石炭灰を吸い込みながら生活しているうえ、土壌、地下水にも有害化学物質が充満しています。

(3)白雲鉱区の現状
この包頭市の北部の市轄区で、白雲鉱区(バヤン鉱区)があります。
ここも生産地の1つですが、11年前に既に「汚染の状況が深刻な村で、人が生存するのには適さない」といわれた地区です。
汚染が健康害を及ぼすと知りながらも、農地、レアアース鉱での仕事、政府からの汚染手当てなどの収入源がなくなれば生活できないと、村民らは移民を拒否しています。 
2010年7月に、中国政府がレアアースの減産、輸出制限をした理由の1つに深刻な汚染問題があると言われています。
同地区東側地区はかつて民間のレアアース鉱が集合していたのですが、2010年の春に、政府が汚染を理由にこれらの企業全部を閉鎖させています。
同地区は鉄鉱以外に豊富なレアアースがあり、しかもいずれも露天鉱です。
紫外線を浴びたレアアース中には高レベルの放射能を発するの希元素が多く含まれ、がんを誘発すると言われています。
村落の間には、ある外国の専門家が飛行機で村落上空の放射能を観察したところ、一瞬で最高値に達したため、ただちに引き返したといううわさ話があるほどです。
窓ガラスは空気中の化学物質と反応を起こして毎日美しい模様をつくり、地下水には茶褐色の沈殿物が見え臭気もあります。
農産物の収穫量は、50km離れた土地の6~7割にとどまり、家畜に奇形などが多発しています。
この白雲鉱区では、民営の鉱山が破産し政府により整理されたのと同時期に、政府は周辺住民の移民計画を決めました。
対象となったのは5村約5000人です。
地元政府と企業が共同出資し、西へ10km離れた5、6階建ての住宅60棟を建設しました。
高速道路や国道へのアクセスもいい場所で、団地内には小学校と幼稚園もあります。
移民期間は9月21日から12月31日までで、先着500世帯には1万元の補償金が出るはずでしたが、移民した世帯はないそうです。
その理由としては、
①移民で農地を失っても生活の保障がない
②政府の移民保証金が少ない
③2009年の汚染地区手当てもまだ支払われていない

ことなどによると思われます。

(4)江西省カン州市の現状
江西省カン州市にもレアアース鉱区がありますが、ここでも被害は深刻なようです。
2012年5月の国内紙・中国聯合商報は、「はげ山の山道両側の河道が流失した土砂で完全に埋められ平らになっている。一部にまだ採掘価値のある鉱山の斜面には白いパイプが何本も挿され、まるで体中に点滴を打たれ、息も絶え絶えに死を待つ病人のようだ」と報じていました。
このような様子は、中国各地のレアアース採掘の氷山の一角に過ぎないそうです。
先に述べたように、硫酸アンモニウムは長い間地下に残留し、もし地下水に流れ込んでいます。
さらに、レアアース抽出後の廃水に多くの有害物質や放射性物質が含まれています。
ル・モンド紙は、これらの物質が採掘現地で、すい臓がん、肺がん、白血病を引き起こしていると伝えています。
レアアース汚染問題について新唐人テレビは2010年、現地住民に対し取材を行っています。
この結果、包頭鉄鋼の廃水汚染に加えレアアース選鉱くず湖汚染により近隣の村数カ所でがん患者が激増していることを報じています。

(5)日本のレアアース埋蔵量
日本の排他的経済水域である東京都の南鳥島沖の海底には、2012年の調査で、大量のレアアースが存在することが明らかになっています。
今年1月の分析では、日本国内の230年分の消費量に当たる約680万トンに上るそうです。
そして、その濃度は、元素によっては中国の鉱山の30倍余りに上っています。
深海からの引き上げ技術の確立や採算がとれるかという課題があります。
宝の持ち腐れにならないようにしたいものです。

 
レアアース産地で知られる内モンゴル包頭市のレアアース工場 
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