井戸の歴史

私たちが使っている井戸には古い歴史があります。
昔は、多くの集落は、河川や湧き水、雨水などから水を得ていたと考えられていますが、ある時から、人々の工夫の一つとして、湧出量を増やすことや、濁らない水を得るといった目的から、湧口を広げ水を溜めて用いるようになりました。
そして、その延長として地下から水を得るために井戸を掘ったと考えられます。

(1)世界最古の井戸
世界最古の井戸は、今内戦が続いているシリア北東部だと言われています。
新石器時代のテル・セクル・アルアヘイマル遺跡から発見された井戸は約9000年前のもので、浄水目的では最古の例と云われています。
古い井戸は、中国とドイツにもありました。
まず、中国では、約7000年前の河姆渡(かぼと)遺跡の中に井戸がありました。
河姆渡遺跡は、稲作農耕集落遺跡で、上から順に第一層~第四層の4つの文化層に分類されています。
大半の重要遺跡は第四層から出土した大量の稲の籾・籾殻・稲藁、稲作に用いる道具などですが、第二層から出土したものの中に井戸遺構があります。
木構造の井戸で、200本余りの削られた杭とほぞ接ぎの横木を組み合わせて造ったものだそうです。
形は商、周の金文に出ている「井」という文字に似ていて、漢字の「井」はここから誕生されたのではないかと言われています。
ドイツでも、東部ライプチヒ近郊で見つかった新石器時代の木造の井戸が約7000年前に建造されたものだそうです。
フライブルク大学などの研究チームは、世界最古の木造構造物としています。
下に写真がありますが、どう見ても新しそうで、これが7000年前のものだとはとうてい思えないのですが。

(2)日本の井戸
日本では弥生時代前期末頃が最初だそうです。
弥生時代は、紀元前3~4世紀頃が始まりなので、どんなに古くても2,300年前になります。
この頃に、佐賀・筑後平野の低地遺跡で朝鮮半島の無文土器を模した土器と一緒に出土しています。
このことから、半島からもたらされた技術の一つではないかと考えられています。
ただし、その後すぐには広まらず、数が増えてくるのは弥生時代中期の後半になってからだそうです。
①弥生時代
弥生時代の井戸は、ほとんどが井戸側などの施設を持たない素掘りの井戸です。
直径1mから1.5mほどの円形の穴で、深さ2、3mから、なかには5mにも及ぶものもあります。
円形に掘ることは、強度的にも理に適ったものですが、発掘していて深くなると身動きがとれなくなります。
なかには大型甕棺の破片を敷いたり立てかけた例があります。
甕棺(かめかん)とは北部九州に特有の棺のことです。
大型の素焼きの土器に亡くなった人の手足を折り曲げて入れ、土の中に埋める埋葬方法で、弥生時代中頃のおよそ200年の間、盛んに使われていたようです。
井戸側等の施設があった可能性もあるそうです。
②古墳時代
古墳時代でも弥生時代同様素掘り井戸です。
井戸側で最も多く使われる素材は木です。
木などの有機質は腐食して通常失われていますが、井戸の底などのように水気のある環境では残ることがあります。
③飛鳥時代
飛鳥時代でも弥生時代や古墳時代同様素掘り井戸です。
④奈良時代
奈良時代になると方形に木を組んだ井戸側を持つものが増えてきます。
横板を積み上げたものや、四隅の柱に横木をわたし、幅の狭い板で横または縦に囲ったものなど、多様な構造を見ることができます。
その底をさらに掘り込み水溜として曲物を設置したものもこの頃から見られます。
⑤平安時代
平安時代も、奈良時代と同様の井戸ですが、曲物は平安時代ごろの遺跡から多く出土するようになりますので、奈良時代よりは多く見られます。
有名なまいまいず井戸ですが、平安時代に造られたいう説もあります。
⑥鎌倉時代
鎌倉時代になると、新たに結い桶を重ねた井戸側が出現します。
結い桶は鴻臚館に変わって貿易の拠点となった博多に、宋の商人がもたらしたものと考えられてます。
以後、博多を中心とした地域では井戸側として一般的になりますが、全国的に広がるのは室町時代後半の15世紀以降です。
今日でも城跡などで見ることができる石組み井戸もこの頃から築かれています。
先に述べたまいまいず井戸ですが、平安時代に造られたいう説もありますが、井戸の形態や出土された板碑等を見ると、鎌倉時代のものではないかと現在では推測されています。
⑦室町時代
室町時代では、石組みの井戸が中心で、石組みの井戸の側石には、石臼や五輪塔火輪、地輪が使用されています。
博多遺跡群などの砂丘上の遺跡は室町時代の後半に造られています。
数種類の井戸側を組み合わせて使うこともありました。
⑧建武の新政・南北朝時代・戦国時代・安土桃山時代
この時代も石組みの井戸が中心のようです。
⑨江戸時代
江戸時代には、専用に焼かれた瓦を円形に組んだ井戸側が多く見られるようになり、近年まで使用されていたそうです。
江戸時代後期には、千葉県の上総地方で、鉄棒による井戸掘り「突き掘り」が行われています。
これを効率的により深くまで掘削できるように改良した井戸掘り技術が「上総掘り」で、上総で生まれたので「上総掘り」と呼ばれ、明治20年代に完成し、全国に広まったと言われています。
私たちは、現在ではボーリング機械を使って井戸を掘っていますが、これは、明治時代の中期頃が最初だそうです。
「上総掘り」とほぼ同じ時期ですが、最初は井戸を掘るのが目的ではなく炭坑での石炭調査に用いられたそうです。

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これがドイツの木造井戸ですが、7000年前とはとうてい思えません。

室町時代の石組みの井戸
室町時代の石組みの井戸 です。
こっちの方がドイツの井戸より歴史を感じます。

日本の様々な井戸を紹介します
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