世界のニュースになっている福島の汚染水問題

いろいろな所で物議をかましている福島の汚染水問題です。
当ブログでも何度となく取り上げました。

オリンピックの誘致を明日の朝に控えて、汚染水問題は世界的にも有名な、トラブルのようです。
この問題には、3つのトラブルが重なっているため事態は深刻です。
つまり、汚染水漏れの問題としては、
①汚染水タンクからの水漏れ
②地下貯水タンクからの水漏れ
③地下水の流入
があります。

①は汚染水を貯蔵する地上タンクから汚染水が漏れ出ている問題です。
このタンクは、原発内で発生する様々な汚染水を貯蔵する目的で作られたものです。
最大の原因としては、水漏れを起こしやすい脆弱なタンクを設置したり、施工に問題のある貯水槽を作った東電にありますが、この責任論はさておいて、このうち複数のタンクから高レベルの放射能を持つ汚染水が約300トン外部に漏れていることが明らかになりました。
その一部は海に流出したと見られています。
当初から、
・原子炉内の水をそのまま冷却して循環させる装置の導入
・地下水を流入させないための遮断壁のすみやかな設置
・ステンレス製溶接タンクの設置
といった対策がなされていれば、今回のようなトラブルは避けられたかもしれません。
だけど、そのためには莫大な予算や利害関係者との交渉を行う数多くの要員や、場合によっては法的権限なども必要になると思います。
目先の作業に忙殺され、しかも民間企業として利益を確保しなければならない東電にとって、これは組織としての能力を超えたものだったとも考えられます。
②は原子炉内を冷却した水を保管する地下貯水槽から水漏れが発見された問題です。
中に入っていた汚染水はやむを得ず①の汚染水タンクに移送されていますが、これによって汚染水タンクが足りなくなるという問題も発生しています。
そして深刻なのが③です。
福島原発の地下には無数の地下水が川のように流れているのですが、これらの地下水が事故を起こした原子炉建屋にも流れ込んでいます。
この状態を放置すると、建屋が汚染された地下水で溢れかえってしまうので、毎日400トンの水をくみ上げて対処しています。
しかし、この汚染水の行き先もやはり地上に設置した汚染水タンクになっており、ますます地上のタンクが足りなくなっています。

こんな中、やっと自民党政権は国費470億円を投入すると発表しました。
まず、発表する以前の対応として、9月3日に、事故発生時の首相であった菅直人さんが「東電任せ」にしたことを指摘しています。
原子力損害賠償法は、「異常に巨大な天災地変」による損害に対し、電力会社を免責し、国が責任を負うと定めています。
これに対して、菅さんはこの規定を適用しなかったと批判しています。
それなら、何故今、国費を投入するのか私には疑問です。
衆議院選挙で勝利した自民党が、民主党政権を批判するなら、去年の段階で国費を投入してもよかったはずです。
タンクからの水漏れや、地下水の流入があからさまになってから批判するのは卑怯だと思います。
それに、汚染水対策工法として「凍土遮水壁工法」ですが、原子炉の周りを取り囲む方法は、民主党政権でも検討しています。
その当時には、菅内閣の首相補佐官で、原発事故担当だった馬渕議員が、2年前に、今回と同じように原子炉全体を囲む対策プランを考えており、公表一歩手前だったそうです。
これは、テレビの『報道特集』という番組で、図面を公開していましたが、囲む範囲や内容はほとんど同じような印象を受けました。
しかし、そのプランは実行されなかったどころか、逆に突然その計画作成を進めていた馬渕議員が補佐官から更迭されてしまったそうです。
東電の株主総会前だったので、もみ消したとさえ言われています。
不可解な東電の行動ですが、馬渕議員が言うように、対策費用が大きすぎ、債務超過に陥ることを防ごうとしたのかもしれません。
そうなると民主党政権中枢も東電に汚染されていたのではいかという疑惑が浮かんできます。

何はともあれ、政府はいろいろなトラブルで、八方塞になってやっと重い腰を上げました。
国費の470億円の内訳ですが、
・凍土遮水壁工法の建設費320億円
・浄化装置の開発費150億円

です。
でも、これにも問題点がたくさんあります。
まず技術的な課題と限界をはっきりと示すべきです。

まず、「凍土遮水壁工法」ですが、前のブログにも書きましたが、これだけの大規模の、建屋を囲むように地中を凍らせる「凍土遮水壁工法」の設置は前例がなく、技術的に運用可能か、大きな疑問符がついていることを国民に明示する必要があります。
また、仮に運用開始が可能であっても、そのシステムを長い年月稼働し続けることができるのかは疑問です。
もともと応急処理的な工法であり、耐用年数は不明です。
今回は、廃炉にするまでは稼動しなければいけないので、10年とは限らず、場合によっては永久に稼動し続けることになるかも知れません。
そして、このシステムが問題なく稼働したとしても、汚染水の発生を何%食い止めることができるのか、稼働してみなければわからない点も国民に正しく知らせることが必要だと思います。
また、建設費320億円は、イニシャルコスト(初期投資)のみの費用で、肝心のランニングコスト(運転費用)が明示化されていません。
巨大な「凍土遮水壁」の稼働には莫大な運転費用が掛かると思います。

また「浄化装置」のほうも、現状の約60種類の放射性物質を除去できる多核種除去装置(アルプス)が不具合続きでまともに稼働できていない現状から、浄化装置を増やすとしても技術的課題がまったく克服できていないことをこれも国民に明示する必要があります。
この一つとして、他の有害物質は取り除けても、原発で発生するトリチウムは、汚染水を除去できると言われている多核種除去設備(アルプス)でも取り除けないのは、前のブログで述べた通りです。
「浄化装置」を増やしても、完全なる除染は不可能なこと、すなわち、除染できずトリチウムは残ってしまうことは明示すべきです。
「浄化装置」についても開発費の150億円のみですが、これもイニシャルコストだけで、ランニングコストが明示化されていません。
「浄化装置」は、ラインを増やすほどメンテナンス費用も含めてランニングコストは増加するはずです。
その費用の試算を明示すべきです。

つまり、470億円の巨費を投じても、費用対効果はやってみなければわからないことを国民には知らせるべきです。
そして、たとえすべてが政府の計画どおりうまくいったとしても汚染水を100%なくせるわけではないことは明らかです。
そして、これが一番の問題なのですが、すでに発生してしまってタンクに貯めている汚染水と、「凍土遮水壁」や新たな「浄化装置」が予定通り完成するまで、例えば1年だとして、その間も毎日400トンの汚染水は発生し続けます。
この量は、1000トンタンクで百数十基増える計算になります。
したがって、総量30万トンに及ぶ汚染水の存在が考えられるのですが、この汚染水の処理が基本計画から完全に無視されていると思います。
あまりにも遅すぎた汚染水対策です。
日本国存亡の問題なので、東電を倒産・解体し、すぐに原子力損害賠償法を適用して、「異常に巨大な天災地変」による損害に対し、国が責任を負うのがベストの対応だったとは思いますが、今更言ってもしようがないことです。
幸いにも爆発は回避しているようなので、「凍土」がいいかどうかはわからないけど、原子炉の周りを取り囲む「遮水壁工法」は、他の施工を後回しにしてでも、日本中の掘削機のすべてを福島に持ってくるくらいの危機感をもって、迅速に施工すべきだと思います。
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