凍土遮水壁工法への疑問

福島第一原発の汚染水対策が八方塞のような状態になっています。
今回、東電力の汚染水対策工法として「凍土遮水壁工法」を提案しています。
あまりなじみのない対策工法なので、私なりに検証してみました。

「凍土遮水壁工法」は、海への地下水流出防止のため、人工的に凍土を作ることで地下水を遮断する工法です。
福島第一原発で検討されている「凍土遮水壁」は全長1.4kmで、完成すれば世界最長だそうです。
福島第一原発を手掛けた鹿島建設の計画によると、地中20~40mに約1m間隔で垂直パイプを埋め、現場の冷凍設備で作った冷却剤を循環させるとのことです。
これによって「凍土遮水壁」を造り、約10年間程度、土を凍らせるそうです。
この「凍土遮水壁工法」は、アクアラインの工事にも使われた技術でもあり、「凍土」は、トンネル建設などの一時的な補強工事として一般的にも使われています。
アメリカでは、ニューヨーク2番街の地下鉄、マイアミ港トンネルなどはこの工法で行っています。

この「凍土遮水壁工法」ですが、地下水流入の地中が、均一に熱が伝播され、均一に水が存在するという理想条件であれば効果があるかも知れないとは思います。
でも、凍結させようとする土壌に異物や構造物があれば、そこを抜け道として水は進入します。
本当に凍るのかどうかも疑問です。
汚染地下水は1日300トンあまりが海に流出されていると推定されています。
このように大量で、温度が高い地下水を、一部の温度を低下させるだけで完全な遮水状態を生み出すほどの凍結が出来るのかも疑問です。
また、30mという深さによる地下水圧の問題もあります。
水が浸透する力は非常に強いことが予想され、すぐに水が浸入する恐れがあります。
凍結した土壁が、流入する地下水圧に耐えられるかどうかも疑問です。
このように、技術的な検証が十分とは到底思えません。
またコスト面でも長期的にみて本当に安いのか疑問です。
「凍土遮水壁」の工事費用は、原子力発電所事故収束対応室では、数百億円と算定しています。
これのほかに、維持費に数十億円が必要との試算です。
10年間で、たったこれだけの施工費と維持費なのでしょうか?
長期的な側面では、維持管理が可能かという問題もあります。
仮に地層状態や、施工状況が理想状態に近い状況だとして、短期間であれば凍結によって効果が出る可能性があるものの、長期的には、埋設配管などの寿命も短く、あまりいい工法とは言えないと思います。
それに、地下水は、上流からどんどん流れてきています。
周りを囲む「凍土遮水壁」は、10年止めるだけの実績がなく、もし完璧に氷漬けに出来たとしても、地下水の流動方向が変わり、どこかでオーバーフローするか何らかのトラブルが発生すると思います。
つまり、300トンの地下水は、遮断するのは簡単ではなく、海とぎりぎりの所だけ凍結したところで何の解決にもならないような気がします。
これらを考えると、廃炉を前程としていません。
10年程度の間に、熔けた燃料を取り出せるだろう、という楽観的な考えがあると私には思えます。

廃炉を前程とした場合、熔けた燃料を取り出さなければなりません。
でも、今の現状から考えると、取り出せるのは4号機だけで、未だに原子炉内にさえ近づけていない1号機~3号機で、熔けた燃料を取り出すなどということはもはや不可能と言ってもいいと思います。
1号機~3号機は、チェルノブイリのように石棺方式、あるいはそれに準じた形で「封印」する方法を考えるしかないと思います。
でも、まだ再臨界だって起こる可能性があります。
このことは、今も必死になって検討していることでしょうが、再臨界がありえないだけの温度になることが、チェルノブイリに近づくことになります。
つまり、まだ福島第一原発は、チェルノブイリ以下なのです。
そのことをわかっている人たちでさえ、何故「原発再稼動」なのか、私にはわかりません。
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