ソコトラ島の独特の植生

独特の植生を持っている島があります。
その島は、ソコトラ島と言って、イエメンのアデン県に属するインド洋上の島です。

(1)ソコトラ島の概要
ソコトラ島(Suquṭra)は、アラビア半島の南300kmで、アフリカ大陸の東端アシル岬の東北東240kmに浮かんでいます。
大きさは東西に約100km、南北に約40kmです。
人口は、2010年の調べでは、45,000人程度だそうです。
面積は約3,625K㎡で、奈良県よりやや小さく、島のすぐ西側は、アラビア半島とアフリカのソマリア半島に挟まれたアデン湾となっています。
ソコトラ島は群島の主要な島で、ほかに小さな3つの島などを合わせたソコトラ群島が2008年に世界遺産に登録されています。
住民のほとんどはアラブ人で、もっとも大きな街は北岸沿いにあるハディヴです。
1990年のイエメン統一までは南イエメンの領土で、最近まで外国人の入島が禁じられていましたが、1999年空港が開港するとともに訪問を解禁したようです。
空港ができ、さらには2008年に世界遺産に登録されたことで、未だ悪路が多いとは言えだいぶ道などが整備されてきたらしいです。
すばらしく綺麗な海に、独特の生態系でインド洋のガラパゴスとも歌われ、世界中が放っておくわけがありません。
きっと今のソコトラ島では居続けられないと思います。
島の人々は観光業も重要と考えている反面、道が出来るなどの開発によって、島にしかない貴重な植物がなくなっていくことを懸念しています。
私は、このような奇妙な植物をインターネットを通じて観るだけですが、それらが開発の犠牲になることなく、美しいままで残っていって欲しいと願っています。
また、ソコトリは文字を持たない言葉なので、そのことでも将来が危惧されているそうです。

(2)ソコトラ島の地形・地質
ソコトラ島は、超大陸であるゴンドワナ大陸の分裂で、アデン湾が形成した2300万年~500万年前にアフリカ大陸から分離したと考えられています。
苛酷な気象条件の下で動植物が独自の系統的進化を遂げ、イエメン本土のあるアラビア半島とは異なった生態系を形成しています。
地形的には海岸の狭い平野と石灰岩台地、そしてハギール(Haghier)山地があります。
台地はカルスト地形を示し、ハラー(Halah)洞窟が知られています。
地質は、中生代白亜紀から新生代暁新系~中新系にかけての石灰岩が7割を占めていますが、ハギール山地の中央にはパーアルカリ質花崗岩や斑レイ岩が分布し、その北側には黒雲母花崗岩を持つ複合花崗岩体になっています。
ハギール山地の南側には、熔岩や火砕岩も分布しています。
西や東の海岸では、黒雲母片岩や角閃岩も分布しています。
 
(3)ソコトラ島の独特の植生
ソコトラ島で最も注目すべきは、先に述べたように独特の植生です。
国際自然保護連合によると島で確認された植物は825種あります。
うち竜血樹をはじめ307種が島固有のものです。
また34種類いる爬虫類の9割、96種の陸貝の95%が固有種です。
鳥も192種、沿岸のサンゴは253種、魚は730種を数え、高い生物の多様性を誇っています。
①印象的な独特の樹形で知られる竜血樹(Dracaena cinnabari)
②世界で唯一のウリ科の樹木(Dendrosicyos socotranus)
③幹が巨大な徳利状になり貯水の機能を果たす植物(Dorstenia gigas)
④乳香を生じる木(Boswellia dioscorides)
⑤原始的なザクロの一種(Punica protopunica)
など、植物に独自の進化を遂げたものが多く、これらが作り出す独特の景観が島の観光資源ともなっています。
このほか、鳥類や昆虫、クモ類など、これら植物とともに暮らす動物の固有種も多く見られます。


これが、独特な形状の「竜血樹」です。
「竜血樹」は古代からソコトラ島の名をヨーロッパ各地に知らしめた貴重な植物でした。
「竜血樹」は、幹の上部から無数の枝を出し、キノコの様な独特の形をしています。
リュウゼツラン科に属するこの植物から採れる赤い樹脂は「竜血」と呼ばれ、古代からこの島の重要な輸出品だったそうです。
古代ローマ時代、この「竜血」は、鎮痛剤や止血剤として、中世には染料やラッカーとしても用いられていたそうです。
雨の少ないソコトラ島では、「竜血樹」は、霧が発生しやすい標高600m~800mの山岳部に育ちます。
厳しい環境の中で高さ10m以上に育つものもあり、樹齢は数百年を超えるものも少なくありません。
この「竜血樹」の群生することで有名な場所が、ディクサム高地とホムヒル自然保護区です。
無数に立ち並ぶこの「竜血樹」は、この島以外で見ることができない不思議な景観を作り出しています。

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「竜血樹」と共に、もうひとつこの島を有名にした植物が、この「乳香の木」です。
古代の地中海世界では乳香は儀式などに使用され、非常に高価なものとされています。
イエメンは乳香の産地として富を築き、「幸福のアラビア」と呼ばれるようになったと言われています。
現在では、「乳香の木」は、イエメン本土ではほとんど見ることができなくなりましたが、ソコトラ島には8種類の「乳香の木」が存在し、高質な乳香を作り出しています。
現在、その多くは絶滅危惧種に指定されているものの、島の北東部に位置するホムヒル自然保護区では「乳香の森」を歩くことが出来るそうです。


私にとっては、「竜血樹」や「乳香の木」よりも、この「ボトルツリー」の方が異様な風景でした。
東部アフリカを原産とするキョウチクトウ科アデニウム属の植物だそうです。
2つとして同じ形のないユニークな容姿が特徴で、ピンク色の美しい花からデザートローズとも呼ばれています。
幹が巨大な徳利状になり、貯水の機能を果たす植物なので、雨の少ないソコトラ島では適しています。


この「ボトルツリー」は、ピンク色の美しい花が咲いています。
まさにデザートローズです。


ソコトラ島のボトルツリー
ごつごつとした火山岩や熔岩などの、彩のない乾燥した大地です。
ここに、「ボトルツリー」のぽつりぽつりとした姿があります。
こんなにも乾燥した大地で生きられるなんて、サボテン並の生命力です。


きれいな海と、とってつけたような開発されたビル並です。
このソコトラ島も開発が進んできたら、観光産業はもっともっと活気は出るけれど、自然破壊は一気に進むような気がします。
このような貴重な島は、小笠原諸島みたいに人数制限は必要だと思います。

ソコトラ島の旅ルート
ソコトラ島の概要図です。
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