なぜ原発を再稼動するのか?

愛媛県では、伊方町にある伊方原発3号機の再稼働に向けて、7月8日に、四国電力が原子力規制委員会に安全審査を申請しました。

申請したのは、伊方原発3号機の他には、北海道にある泊原発1号機から3号機、福井県にある大飯原発3号機と4号機、高浜原発3号機と4号機、鹿児島県にある川内原発1号機と2号機の、合わせて10基もです。
この他にも、九州電力が佐賀県にある玄海原発の3号機と4号機について、7月12日に申請を行う予定です。
また、東京電力が柏崎刈羽原発6号機と7号機について、早期の申請を目指しているそうですが、ここは地元新潟県が反発しています。
審査には半年程度かかるとみられています。
伊方原発は、フィルター付きベント設備の設置が5年間猶予された加圧水型です。
事故時の対応拠点となる「免震重要棟」は既に設置されています。
高台にあることから大がかりな津波対策は必要いと言われ、敷地内の活断層も指摘されていないそうです。
他の原発と比べると現時点で新基準に最も適合していると言われています。

このように、自民党政権になったとたん、急激に原発再稼動が加速しています。
そんな中、7月9日に、福島原発の事故発生時に陣頭指揮を執った元所長の吉田昌郎さんが食道がんで58歳の若さで亡くなりました。
吉田さんは、2011年3月11日の事故発生以降、病気を抱えたままで事故収束に向けて第一線に立ち続けたと言われています。
東電本社が「首相の了解が得られていない」として海水注入の中止を命じたのに対し、吉田さんはこの指示を無視して注水を継続し、被害の拡大を防いだのは万人の知るところです。
去年の7月に、約2日間にわたり吉田氏にインタビューをし、事故当時の現場での対応について、ノンフィクション作品「死の淵を見た男-吉田昌郎と福島第一原発の五00日」を書いた門田隆将さんは、「吉田氏は日本を救った男だ」と指摘しています。
「日本を救うという使命を果たした後に余生を楽しむことなく亡くなってしまったことは非常に残念」と語っています。
「非常に求心力のある男で、当時の部下数人にも話を聞いたが、みんな吉田さんとなら一緒に死んでも良いと当時考えていたほどだ」と振り返っています。
吉田さんがいなければ、日本は北海道、人の住めない東北・関東、そして西日本に3分割されるような事態に陥っていたとも言われています。
命令を無視して注水を続けたり、リーダーシップを発揮したりした吉田さんがいなければ、「今、東京は人が住めないような場所になっていた」と門田さんは述べています。
吉田さんの、3月11日以降の被ばく線量が70ミリシーベルトと許容範囲内だったことから、病気は事故とは無関係との判断を示しているそうですが、にわかには信じられない気持ちです。
吉田さんと行動を共にしていた人たちのその後の容態はどうなのでしょうか?
福島原発が、大破壊をかろうじて免れたのは、「免震重要棟」が奇跡的に生き残り、機能を発揮できたからでした。
でも、「だから万全」ではなかったはずです。
日本では、どの原発も「ベントフィルター」を付けていません。
「ベントフィルター」とは、ベント実施時に放射性物質を除去するフィルター設置のことです。
チェルノブイリの爆発の後に、ヨーロッパなどの国では付けている所もあるのに、日本では付けていないのは、1台が20~30億円もするからだそうです。
外部に出る放射能の濃度を1/1000程度に抑えられると言われているのにこの対策すら出来ていません。
水素爆発の防止(濃度管理及び適切な放出)対策も出来ていません。

原発再稼動が加速していますが、まだまだ福島原発の事故処理も進んでいません。
7月9日には、地下水の安全性を観測するために設けた井戸で採取した水から検出される放射能のレベルが上昇しています。
一部のサンプルでは、経済産業省が定める許容量の約200倍にも達しています。
東電も、観測用井戸から採取したサンプルのセシウム134とセシウム137がこれまでで最高の値を示したと、はっきり発表しています。
まだまだ原子炉の中にも満足に入れない状態です。
大地震と津波に見舞われて大きなダメージを受けた3つの原子炉の炉心部から漏出しているのは明らかです。
それに、雨水が原発敷地の放射能に汚染された部分に入り込んで汚染を広めていると思います。

福島の原発前には「クリーンエネルギー」と言っていました。
「火力発電よりも地球に優しい」と言っていました。
「安全神話」とも言っていました。
事故が起こるなんて考えもしなかったのかも知れませんが、でも事故は起こってしまいました。
どこが安全なのか、どこがクリーンで地球に優しいのかわからなくなっています。
原発から何十kmも離れていても、まだまだ帰れません。
火力発電なら、発電所が木っ端微塵に破壊しても、数日で自宅に帰れます。
二酸化炭素の放出が怖いと言ってもすぐに命まではとられません。
でも放射能は怖いのです。
それなのに、なぜ原発再稼動なのか私にはわかりません。
「廃炉するにもお金がかかるので、それなら動かしたほうがいい?」
「原発で働いている人たちや、周辺で商売をしている人たちのため?」
「火力発電はお金がかかるし、電力不足も懸念される?」
そう思っている人は、まず福島を元通りにしてから言ってほしいと思います。
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