世界農業遺産の能登

富士山が世界文化遺産に登録されたことで、改めて世界遺産が注目されています。
登録される世界遺産(World Heritage)としては、「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」の3種類で、保存状態によっては、「危機遺産」に認定される場合もあります。
これは、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて、世界遺産リストに登録された遺跡や景観そして自然など、人類が共有すべき普遍的な価値をもつものについて登録をしています。

(1)世界農業遺産について
これとは別に、国際連合食糧農業機関(FAO、本部:イタリア・ローマ)が認定する「世界農業遺産」(Globally Important Agricultural Heritage Systems:GIAHS)があります。
歴史は浅く、2002年(平成14年)に創設した制度で、社会や環境に適応しながら何世紀にもわたり発達し、形づくられてきた農業上の土地利用、伝統的な農業とそれに関わって育まれた文化、景観、生物多様性に富んだ、世界的に重要な地域を次世代へ継承することを目的として作られました。
これまでに世界で11カ国の19地域が認定され、主には地域環境を生かした伝統的農法や、生物多様性が守られた土地利用のシステムを世界に残す目的なので、主に途上国に向けた支援策となっていますので、先進国が選ばれるのは珍しい例です。
日本では今までに、
①石川県 能登の里山里海
②新潟県 トキと共生する佐渡の里山
③熊本県 阿蘇草原の持続的農業
④静岡県 静岡の伝統的な茶草場農法
⑤大分県 国東半島・宇佐の農林水産循環システム
が認定されています。
この5地域が選ばれた理由について紹介していこうと思います。
まず始めは石川県 能登の里山里海についてです。
石川県 能登の里山里海と、新潟県 トキと共生する佐渡の里山は、2011年6月12日に先進国で初めて「世界農業遺産」の認定を受けました。
戦後、高度成長を遂げ、経済大国の仲間入りを果たして久しい日本において、農業の近代化と並行し、伝統的な農業・農法、農村文化や生物多様性、農村景観などがシステムとして保全されており、その維持に努めている地域が認められたのだと思います。

(2)石川県 能登の里山里海の認定理由
①生物多様性が守られた伝統的な農林漁法と土地利用
天日で稲穂を干す「はざ干し(天日干し)」や海女漁などの伝統的な農林漁法が今も継承されています。
また、山の斜面を利用した棚田や谷間を利用した谷地田、農業用の水源となる2,000を超えるため池などがモザイク状に展開され、生態系が連続的に維持されるとともに、絶滅のおそれのある希少種を含む多くの生きものの生息・生育場所になっています。
②里山里海に育まれた多様な生物資源
シャープゲンゴロウモドキ、ホクリクサンショウウオ、イカリモンハンミョウなどの希少種を含む多くの生きものが生息・生育するほか、300種以上もの渡り鳥が確認されています。
また、中島菜などの「能登野菜」や能登大納言小豆などの在来品種の栽培振興も積極的にはかられています。
③優れた里山景観
日本海に面した急傾斜地に広がる「白米千枚田」(輪島市)をはじめとした棚田や谷地田、茅葺きや白壁・黒瓦の家並み、日本海の強い潮風から家屋を守る間垣(まがき)と呼ばれる竹の垣根などは、日本の農山漁村の原風景とも表現される景観です。
④伝えていくべき伝統的な技術
日本では唯一能登にのみ残る「揚げ浜式」と呼ばれる製塩法や、日本を代表する漆器「輪島塗」といった伝統工芸、里山の管理・保全と密接に結び付いた「炭焼き」などの伝統的な技術が継承されています。
⑤長い歴史の中で育まれた農耕にまつわる文化・祭礼
夏から秋にかけて、豊漁や豊作を祈願し、「キリコ」「奉燈」と呼ばれる高さ数mから数十mの御神灯が集落を練り歩く「キリコ祭り」をはじめ、田の神に感謝する神事で、2009年(平成21年)国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録された農耕儀礼「あえのこと」など、農林水産業と深く結びついた文化・祭礼が各地に継承されています。
⑤里山里海の利用保全活動
「能登の里山里海」を未来へ引き継ぐため、棚田オーナー制度や農家民宿、農林水産物のブランド化、多様な主体による生業(なりわい)の創出、行政と大学が連携した人材育成など、各地で特色ある取組が進められています。
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