世界遺産の武陵源

中国の湖南省北西部に武陵源があります。
湖南(こなん)省は、長江(ちょうこう:揚子江のこと)中下流に位置し、洞庭湖(どうていこ:中国で二番目に大きい淡水湖)の南に広がる中国の行政区画の一つで、省都は長沙(ちょうさ)市です。
日本との時差は、1時間(遅れ)です。
中国は多民族国家で、人口の94%が漢族ですが、政府が認定している民族が56あり、漢族以外の55民族が少数民族だそうです。
このうち湖南省には、土家(トゥチャ)族,苗(ミャオ)族,壮(チワン)族,瑶(ヤオ)族などが住んでいるとの事です。

(1)武陵源とは
この武陵源(ぶりょうげん)は、地殻変動によって生まれた独特の石の柱が立ち並んでいる景観だけでなく、貴重な動植物が生息する広大な風景区となり、1992年よりユネスコの張家界世界自然遺産になっています。
この風景区は、
①南西の張家界(ちょうかかい)国家森林公園
②北西の天子山(てんしざん)自然保護区
③東部の索渓峪(さくけいよく)自然保護区
の3つの地区からなり、総面積は264平方kmにもなります。
約3億8000万年前は、日本では古生代デボン紀ですが、当時のこのあたりは海の底でした。
やがて地殻変動により大地が隆起、風雨の浸食により台地が削られ、深い渓谷を刻み、現在のような断崖絶壁を形づくっていったとされています。

(2)張家界国家森林公園
張家界国家森林公園は、このような地殻変動によって生まれた3,000本以上の石柱がそそり立っています。
3つの地区の中で、最も早く森林公園に指定された地域なので、開発も一番進んでいます。
標高1,200mの黄石寨(こうせきさい)山頂へもロープウェイが整備されているので、楽に観光を楽しめるそうです。
石柱は珪岩だそうです。
珪岩(けいがん、quartzite)は、主として石英の粒からなる緻密で硬い岩石で、
①チャートや砂岩が変成作用を受けて生じたホルンフェルス
②石英粒子が珪酸分で硬く結合された砂岩
との2種があります。
このうち、武陵源の珪岩は、石英粒子が珪酸分で硬く結合された砂岩と推定されており、石英砂岩とも呼ばれています。
珪岩の石柱は、二酸化珪素の含有率がおよそ75%-95%だそうです。
その石柱のほとんどが200m以上あり、場所によっては300m以上のものも存在するそうです。
珪岩の外に一部ではカルスト地形などの石灰岩で出来た地形もあり、40ほどの洞窟も確認されているそうです。
しかしそのような岩も、頂上部分や裂け目などは木々の緑に覆われており、張家界の森林占有率は約98%に達しています。
そのため豊かな森と水によって貴重な生態系が維持されているそうです。
植物層も豊かで、中国第一級保護植物が4種、第二級が40種確認されています。
動物では28種の国家級保護動物が確認されています。

(3)天子山自然保護区
天子山自然保護区は、総面積が67万平方mで(香港より0.7倍が大きい)、武陵源景勝地の北部に位置しています。
長年にわたって、自然界の作用によって、天子山は独特な板状石峰で険しい珪岩峰群の地形になっています。数万本に及ぶ奇峰が天に向かって林立していて、類まれなその 「峰三千」景観は、名勝で、その規模は雲南省の石林を遥かに超えています。
天子山自然保護区は袁家界と天子山からなっています、袁家界と天子山の距離は30分ぐらいのエコバスの路程です。
また、350mの高さで2つの峰をつなぐ天然の石橋・天下第一橋のある袁家界(えんかかい)には、高さ326mの屋外エレベーターも設置されています。
袁家界は、張家界世界自然遺産の中心であり、張家界森林公園の北に位置して、聳え立っている峰峰が東から西へ続いて 、新たな見どころです。
袁家界は、標高1.000m余りあり、周囲の絶壁断崖は、武陵山地区の中にあっても、あたかも地面が突起した高台のようです。
先に紹介した326mの百龍エレベータに乗れば、2分足らずで、気に昇り、袁家界風景区が目の前に現れるそうです。
幽玄で、霧に囲まれた渓谷を俯瞰すると、“人は壁上をゆき、雲は脚下に漂う”不思議な感覚がわいてくるそうです。
近くから針のように天を指す奇岩群を目の高さで間近にしたり、見下ろしたりする圧巻の景観が見られるそうです。

(4)索渓峪自然保護区
索渓峪自然保護区は、武陵源の山麓に位置し、張家界国家森林公園と天子山自然保護区より広い山岳地帯で、山、林、水、洞が併存している多彩な景勝地区です。
十里画廊、宝峰湖、黄龍洞、百丈峡などの景区で構成され、武陵源市区を挟んで東西に分けられています。
十里画廊は、天子山ロープウェー乗り場から水繞四門に向う途中にある全長5kmの景勝で、賀龍公園からの下山ルートの一部です。
宝峰湖は武陵源市から南へ2kmの山中にあり、遊覧ルートには湖上遊覧船がセットになっています。
黄龍洞は武陵源の東7kmにある鐘乳洞で、2時間ほどの観光ルートには龍舞庁、響水河など多くの見どころがありますが、張家界国家森林公園と天子山自然保護区が派手なので、日本人はそちらの方に行ってしまうようです。。

(5)武陵源の気候
武陵源の気候は、亜熱帯山原型湿潤気候に属し、年間平均気温は16℃ぐらいだそうです。
先に述べたように、張家界の森林占有率は約98%に達し、そのため豊かな森と水によって貴重な生態系が維持されているようです。
張家界では、何万年もかけて侵食・隆起によって生まれた奇岩・奇峰・渓谷・鍾乳洞が広がり、山々にかかる雲や霧と相まって、幻想的な山水画の世界をつくり出しています。
特に、標高1,200mの山頂からの景色が堪能できる「黄石寨」はすばらしいそうです。
山頂まではロープウェーのほか、崖に沿った約4kmの遊歩道を登ってトレッキングを楽しむこともでき、稜線がライオンが這っているように見えることから「黄獅寨」とも言われています。
また「金鞭渓」は全長約6km、垂直にそそり立った巨大な石柱群を見上げながら、森林浴や植物観察などを堪能できるそうです。
地元には漢王朝の皇帝がここに住み、崩御したという伝説もあるそうです。

(6)中国政府に望むこと
こんなりっぱな自然遺産がある中国です。
日本と違い、広大な大地が育んだ自然は、まだまだ生きています。
しかし、シルクロード付近での水爆実験に始まり、北京やその周辺の大気汚染など、経済が発展するのと反比例して自然は壊れていっています。
私は、10年近く前に中国を見てきましたが、あの頃の中国と今の中国とは空気が違っていると思います。
あれだけの人口ですから、ダムを造ったり、原発を作ったりすると自然は簡単に壊れます。
中国共産党には、日本との境界にある尖閣諸島などど言うちっぽけな島を相手にしないで、広大な大地を保護することを考えて欲しいと思います。
中国人の誰かがネットで言っていました。
「中国本土からかなり離れて、人の住んでないちっぽけな島なんて、私は一生行くこともありません。中国共産党は何を考えているのでしょうか?」


びっくりするような垂直の石柱です。
その石柱のほとんどが200m以上あり、場所によっては300m以上のものも存在するそうです。
映画「アバター」で登場した翼龍の像が置かれていました。
この「アバター」は、武陵源の風景がモデルになったそうです。


ここは、御筆峰と呼んでいます。
御筆峰の名前の由来は、その形がまるで向王天子が使った筆先の様に見える事によるそうです。


ここは、仙女献花と呼んでいます。
仙女献花の名前の由来は、女性(仙女)が花籠を捧げている姿に見える事によるそうです。
またね仙女散花(せんにょさんか)と呼ばれる事もあります。


武陵源のパンフレットです。
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