辺野古の自然について

「へのこ」は、私たち日本人にとっては、知らない人がいないくらいよく聞く地名です。
最近のニュースでも、「福島」と同じくらい耳にします。
但し、「へのこ」が沖縄県にあるというくらいは知っていても、
どんな字を書くのかもわからないひとはいっぱいいます。
そして、「へのこ」は「辺野古」と書くくらいはわかっていても、沖縄県のどの辺りにあるのかわからない人も同じくらいいます。
「このくらいは常識だよ」と思っている人でも、「辺野古」にはどのような自然があるのかわかっていない人は大多数だと思います。
沖縄の普天間基地の代替基地となる海上ヘリポート建設候補地としての「辺野古」の賛否を語る前に、この「辺野古」の自然について把握してみたいと思います。

(1)辺野古の位置
「辺野古」は、名護市にあります。
名護市は、沖縄県の中央部よりやや北側で、「辺野古」は、名護市役所からでは、国道329号線を15kmくらい南下したところにあります。
沖縄自動車道からでは、宜野座のICを下りて、やはり国道329号線を17kmくらい北上したところです。
沖縄島の東海岸に位置しています。

(2)これまでの経緯
今までの経緯を簡単に説明しますと、1995年(平成7年)の沖縄米兵少女暴行事件を契機に、市街地の真ん中にある「普天間基地」がいろいろな面で危険なため、返還要求をする運動が起こり、1996年(平成8年)末のSACO(日米特別行動委員会)最終報告において、代替のための海上ヘリポート建設候補地として指名されたことが最初です。
2004年(平成16年)に沖国大米軍ヘリ墜落事件が起きたことで地元の返還要求は強まり、辺野古周辺で各案を比較した後、2006年(平成18年)に2014年(平成26年)までに代替施設を建設し、移転させるというロードマップが決まりました。
ただし、2009年(平成21年)に日本では民主党の鳩山由紀夫さんに政権が代わり、内閣が成立し、上記移設案は再度審議され、様々な代替案が提示されたのですが、2010年(平成22年)になると、県外移設は不可能との結論に達し、振り回された末に再度「辺野古」への移設で決着がついたいきさつがあります。
これにより、2014年までの移設が難しくなったことは当然の結果です。

(3)ジュゴンの生息地
「辺野古」には、絶滅危惧種であるジュゴンが生息しています。
ジュゴン(Dugong dugon)とは、哺乳綱カイギュウ目(海牛目)ジュゴン科ジュゴン属に分類される哺乳類です。
全長3m、体重450kgで、体色は灰色、腹面は淡色で、全身は短い剛毛でまばらに被われています。
北限は日本の沖縄諸島で、南限はオーストラリア(南緯30度周辺)です。
食性は植物食で、海草(アマモ、ウミジグサ、ウミヒルモ、リュウキュウスガモなど)を食べるそうです。
2007年に調べた資料では、オーストラリアには8万頭、他の36か国の沿岸域に2万頭、計10万頭と推定されていましたが、年々減少しているため、日本哺乳類学会のレッドリストでは、南西諸島のジュゴンを絶滅危惧種に指定し、水産庁のレッドデータブックでも「絶滅危惧種」となっています。
「辺野古」沿岸や大浦湾では、このジュゴンやウミガメがいるそうです。
この付近は、ジュゴン生息域のほぼ中央部に当たり、観察頻度が高く、交尾と見られる行動も観察されています。大浦湾には、大浦川、汀間川が流入し、河口に干潟が広がり、長い年月をかけて多種多様な生態系をつくり上げました。
「辺野古」には沖縄でも規模の大きい良好な藻場があり、大浦湾内には多くの種類のサンゴの生息が確認されています。
砂地にはジュゴンの好物ウミヒルモなどの海草類が藻場を作り、ユビエダハマサンゴの大群落はクマノミなどサンゴ礁生物のオアシスになっています。
湾奥の大浦川河口付近にはマングローブ林があり、絶滅危惧種トカゲハゼの北限に当たっています。
サンゴ類及びサンゴ礁生態系を構成する生物の多様性が高く、自然保護上きわめて重要な海域です。
沖縄県が「自然環境の厳選な保護を図る海域」、環境省が「日本の重要湿地500」に指定しています。
そして、「辺野古」から嘉陽周辺の藻場では、ジュゴンが海藻を食べる際にできるジュゴントレンチ(食痕)が確認されています。

(4)サンゴや海草類の宝庫
赤土流出やオニヒトデの大発生、白化現象等の影響により、沖縄周辺海域のサンゴ群落の多くは壊滅状態にありますが、大浦湾海域では、大型のサンゴ群落が良好な状態で生き残っています。
海底に広がる巨大なサンゴ群や、天然のモズクが育つ海草藻場があり、時にクマノミがイソギンチャクの中から顔を出す光景があります。
生息環境変化に強いハマサンゴ類などは回復が早く、そこには、棲む魚などの楽園となっています。
水深5m以深推種物低で海草類が4種類以上共存している海域はほとんど類がないのですが、「辺野古」の大浦湾には、ホソウミヒルモ、ヒメ(トゲ)ウミヒルモなど11種類の海藻があります。
ジュゴンはそのほとんどを食べることが確認されています。
またセリ市場で高値で取引されるシラヒゲウ二の生息場所でもあるそうです。

(4)沖縄のきれいな海
「辺野古」がきれいな海であることは想像できます。
すべての海がきれいのですが、私の経験では特に東側の海はきれいに感じました。
「辺野古」から少し南の「伊計島」に行ったことがあるのですが、あまりの美しさにびっくりしました。
色とりどりの赤・青・黄、に白や銀も混じって、すばらしい海の自然がありました。
長さ50m、幅30m、高さ12mものアオサンゴや、ジュゴンも今では住んでいます。
辺野古崎先端からすぐそばにある無人島の、「長島」「平島」もあります。

(5)今後の辺野古
普天間基地の移設が持ち上がったのは、
①沖縄米兵少女暴行事件のような米軍兵士の問題行動
②事故・騒音問題

のためですが、無人地帯に移設しない限りただ場所を移しただけになってしまい、問題はそのまま継続されます。
でも、「辺野古」の無人地帯に移設しても、自然の生態系が崩れ、都会の海岸のようになってしまいます。
普天間に基地があるのは確かに危険です。
でも、沖縄の在日米軍基地は「アメリカの西太平洋戦略と日本の安全保障にとって死活的に重要である」という命題だけでは語れない、「壊すと永久に復元できないものをどうするか」ということも考えなければなりません。
頭の良い政治家が、どれだけの時間をかけても解決していない問題を私が結論づけることは難しいのですが、やはり沖縄には美しい海が似合っていることを忘れないでほしいと思います。

深い青色になっている手前側に比べ、埋立の候補地あたりは緑が多く、いかにも遠浅のイメージですが、ここに基地が移設してきたら自然はまるっきり別物になる気がします。


平成20年の時点での計画です。
今の計画は把握していませんが、当時は3分の2は海で、3分の1を陸地に作ろうと計画をしていました。
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