ため池での地質調査

愛媛県は、隣の香川県と共にため池が多く、台風や地震の時などには、老朽化しているため池の下に住んでいる家は不安です。
私が幼少の頃に住んでいた家も、背後の山麓に大きいため池があり、大雨の時には決壊するのではと不安な夜を過ごしたものです。
幸いにも今まで一度も決壊したことはないのですが、このようなため池がある限り不安は拭えません。

(1)愛媛県でのため池の調査
もともと、緊急性のあるため池については、2000年2月25日付けで農林水産省構造改善局(現農村振興局)より「農業用ため池緊急整備計画の作成について」の通達があり、その中で、事業実施の緊急性についての指標が示されています。
この指標では、従来の構造的老朽化の指標に加えて、農業経営への影響度、下流への被害程度の項目を加え、項目別に点数化して、ため池整備の緊急性、必要性を客観的に判断しています。
また、緊急性が高いと判断されるため池の改修を行う場合には、地震動に対する堤体の損傷、液状化等についての耐震性を考慮した設計を行う必要があると明記しています。
このようなため池の調査は、東北での大震災から後で加速し、このため池の老朽化に関する調査は、愛媛県でも去年あたりから大々的に始めました。
まずは、2013年度から貯水量10万㌧以上の大規模ため池の耐震化工事に着手するみたいです。
愛媛県では、10万㌧以上のため池は県内に82池あり、このうち2000年度に策定された新基準で改修済みなどの理由で耐震性があるとされる29池を除く53池(新居浜市船木の池田池125万㌧、西予市宇和町信里の関地池100万㌧、宇和島市三間町黒井地の中山池19万㌧など)の耐震化を急ぐ予定です。
53池のうち12年度に30池、13年度に残る23池の診断を実施し、診断結果を基に耐震化の必要性を判断し、追加盛土などの補強工事を13年度から2カ年ないし3カ年で完了させる計画だそうで、去年の9月補正予算案に緊急耐震診断事業費1億8900万円を計上しました。
診断では、個々の堤体や地盤をボーリング調査し土質定数を調べて強度を確認し、改修の必要性と適切な工法を選定するそうです。

(2)ため池の種類
ため池は、そもそも農業用水の確保を目的として造られてきました。
その形状は、地形などにより、さまざまで、次の二つのタイプに大別されています。
①平野部のため池(皿池)
堤体が低くて長く、集水面積が狭く、小貯水量が特徴です。
瀬戸内海側の平野部に多く見られます。
②山間部のため池(谷池)
小さな谷や小川を堰止め、堤体が高くて短く、貯水効率の良いのが特徴で、規模は比較的大型です。
集落より上流側にあるため、決壊時の被害は大きくなります。

(3)ため池の機能診断と改修について
長い年月が経過したため池は、老朽化等に伴い、台風や地震などの外的により災害が懸念されています。
特に、近年では、ため池周辺の宅地化が進み、下流への二次災害が懸念される場合もあること、既存のため池は、耐震設計を行っていないものが多くあること等から安全性の照査、改修が必要となってきている。
要改修の必要性のあるため池の判断は、次のような事項です。
①堤体等からの漏水
長年月の経過により、徐々に堤体内に水みちが出来て漏水しているものや底樋、洪水吐等の堤体横断施設の老朽に伴い、その周囲から漏水しているものなど、その原因は様々ですが、台風などの豪雨に伴う急激な水位の上昇などにより決壊の可能性もあり、常日頃からの点検が重要となっています。
どの程度の漏水量があれば危険であるかは、漏水箇所、堤体の土質などに依存するために一概に決めることは困難です。
平均的な規模のため池では、堤体上の透水係数が1×10^3cm/s程度の時の漏水量を想定して、目安として60ℓ/min/堤頂長100mを基準としています。
また、浸潤線が下流斜面の高いところに出ている場合は、堤体の安全性にとって問題であり、漏水量と合わせて改修の必要性を判断する必要があります。
②クラックや陥没
急激な水位の減少や乾燥、地震の発生等により、老朽化した堤体にクラックが発生することがあります。
クラックを放置すれば、そこから雨水が流入し、水みちの原因にもなりますので早急な対策が必要です。
③断面の変形
波浪による上流法面の破損や斜面の侵食、雨水、漏水等による下流法面の侵食などにより、堤体の断面が小さくなり安定性が損なわれています。
④取水施設の機能低下
昔の小さいため池の底樋管は、長丸太を縦に挽き割り、それを矩形に掘り抜いたものを元のように重ねたものが多く、大きなため池の場合は、厚板を箱型に組んで使用するなど、木製のものがほとんどであることから短期間での補修や保全管理が必要でした。
そのため、老朽化が進行すると、バルブを閉めても水が止まらないものやゲート、バルブの操作が困難なもの、堆積土による底樋の埋没など様々な問題が起こってきます。
⑤洪水吐の機能低下
通常は、地山の岩盤を掘削して構築する工法がとられますが、岩盤の掘削機械もコンクリートもない時代の施工では、堤体盛土の上に石張りで施工することも多く、流水で洗掘されて破堤したり、断面が小さく洪水を吐けきれず、貯水が堤体を越流することもありました。

 
























スポンサーサイト
最新記事
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム
QRコード
QR