磁力のある磁鉄鉱と磁赤鉄鉱

磁力を持った鉱物もあります。
一般に天然磁石と呼ばれていますが、この鉱物は磁鉄鉱と磁赤鉄鉱です。

(1)磁鉄鉱と磁赤鉄鉱
①磁鉄鉱
磁鉄鉱(じてっこう、magnetite)は、マグネタイトとも言い、酸化鉱物の一種です。
化学組成は Fe3O4(四酸化三鉄)、結晶系は等軸晶系でスピネルグループの鉱物です。
鉄分を含むため黒色をしており、金属光沢があります。
結晶は正八面体をしており比重は 5.2、モース硬度は 5.5~6.5の範囲です。
磁鉄鉱は「最強の磁性をもつ鉱物」とされていますが、純粋な磁鉄鉱は、あまり強い磁気は帯びていません。
磁鉄鉱の結晶(正八面体)を砕き、小さな破片を永久磁石でこするとわずかながら磁化して、他の破片を吸いつけるようになります。
しかし、その磁化はごく弱いもので、決して天然磁石にはならないそうです。
②磁赤鉄鉱
磁赤鉄鉱(じせきてっこう、Maghemite)は、マグヘマイトとも言い、酸化鉱物の一種です。
化学組成はγ-Fe2O3(ガンマ三二酸化鉄)で、磁鉄鉱の風化変質によって生成されたものです。
磁鉄鉱より磁力は強いと言われ、こちらが天然磁石と言われています。

(2)鉄鉱石の種類と磁力
鉄鉱石を鉱物学の観点から分類すると多種類ですが、製鉄原料として用いられる天然鉱物としては
①赤鉄鉱(ヘマタイト,α‐Fe2O3)
②磁鉄鉱(マグネタイト,Fe3O4)
③磁赤鉄鉱(マグヘマイト,γ‐Fe2O3)
④褐鉄鉱(リモナイト,Fe2O3・nH2O,n=0.5~4)
に代表され、とくに赤鉄鉱の産出量が全世界的にみて圧倒的に多く、日本への輸入鉄鉱石の中でもその約80%を占めています。
鉄鉱石の大半は三酸化二鉄の赤鉄鉱として埋蔵されています。
三酸化二鉄にはアルファ型とガンマ型の2種があります。
赤鉄鉱はアルファ型で、磁赤鉄鉱はガンマ型です。
磁石を赤鉄鉱に近づけてもほとんど反応しませんが、磁赤鉄鉱は磁石に吸い寄せられます。
一方、鉄の黒サビと同じ化学組成(Fe3O4、四酸化三鉄)の磁鉄鉱もまた、わずかですが磁石に吸い寄せられます。
いずれも酸化鉄の仲間ですが、こうした磁性の違いはどこから生まれるのでしょうか?
物質の磁性は磁性原子(鉄、ニッケルなど)の磁気モーメントに起源するとされています。
磁気モーメントというのは、いわばミクロの原子磁石です。
磁石に吸いついたり、鉄を吸いつけたりするマクロの磁性も、物質内部の原子磁石の配列から説明されています。
鉄、ニッケル、コバルトといった鉄族の金属は、原子磁石の向きがそろっているので、強い磁性を示します。
しかし、磁鉄鉱や磁赤鉄鉱は鉄の酸化物であり、原子磁石は酸素原子をはさんで逆向きに配列しています。
双方の磁気モーメントの大きさが同じなら相殺してマクロの磁性は現れません。
ところが、磁鉄鉱や磁赤鉄鉱においては、逆向きの磁気モーメントの大きさに違いがあるため、その差し引き分がマクロの磁性を示すことになります。
鉄、ニッケル、コバルトなどの磁性(フェロ磁性)に対して、磁鉄鉱や磁赤鉄鉱の磁性はフェリ磁性と呼ばれています。
トランスコア(磁心)に使われるフェライト材料や、磁気テープに塗布される磁性粉、フェライト磁石などは、いずれも酸化鉄を主成分とするフェライトのフェリ磁性を利用したものです。
磁赤鉄鉱や磁鉄鉱とは、天然のフェライトともいえる鉱物なのです。
地球においてごくありふれた物質である酸化鉄が、さまざまな磁性を示すことはきわめて興味深いと思います。
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