放射性物質の地下水への混入

福島原発の事故により大気中に放射性物質が飛散してしまいました。
この放射性物質は、雨などにより地面を汚染し、河川や地下水になって、土壌や海にまで汚染は広がっていっています。
この放射性物質が、井戸水や水道水にどのくらい混入するか推定してみました。

雨水が地下に浸透することによって地下水となります。
そして、雨水が地下に浸透して地下水面に達するまでに移動する地下空間のことを通気層と言い、また、地下水面下で地下水が流れている空間を帯水層と呼んでいます。
これにより、雨水中の放射性物質が地下水に混入するまでの時間は、
①通気層を構成する土壌
②放射性物質
の相互作用の程度によって決まることになります。

まず、水に溶けて陽イオンとなる放射性セシウム(セシウム134と137)ですが、この物質は土壌中の粘土鉱物に強く吸着するので地下にはほとんど浸透しません。
したがって、地下水を汚染することは考えられません。
過去における米ソの核実験では、1960年代に日本に降下した放射性セシウムがありますが、40年ほど経った時点でも表層付近に留まってほとんど動いていないそうです。
また、チェルノブイリ事故後のヨーロッパの調査ではセシウム137の浸透速度は年に1cm以下だそうです。

そして、水に溶けて陰イオンとなるヨウ素131などは、雨水と一緒に土中に染み込みますが、核種が地表から地下水面まで移動するにはかなり時間がかかります。
地下水のスピードは一定ではありません。
専門的には透水係数という数字で表しますが、一番早い礫でも1km/day(1日に1km)が限度です。
砂は1m/day~1km/dayの間でありここまでが地下水がある層(透水層または帯水層)と言われています。
微細砂やシルト・粘土の混合物では0.0001m/day~1m/day つまりほとんど地下水が移動出来ない層で、この層を難透水層(あまり水を透さない層)と呼んでいます。
粘土は0.0001m/day以下なのでこれを不透水層(全く水を透さない層)と呼んでいます。
よっぽどスカスカの土壌でない限り、地下に浸透するにはかなりの日数がかかると思います。
ヨウ素131の半減期は8日間です。
したがって地下水に混入する量はごくわずかになりますが、この中で井戸水に混入する量となると、地表で井戸の隙間から流入しない限り皆無だと思います。

次に、放射性ストロンチウム(ストロンチウム90)は放射性セシウムよりは水に溶けやすいとされ、核実験由来の降下から40年ほど経った時点で1m以上浸透していた事例が報告されています(40年で1m超です)。
地表付近にとどまっている割合も多く、ストロンチウムの浸透性はセシウムの数倍程度ではないかと推定されています。
今回の事故で放出された放射性ストロンチウムは放射性セシウムに比べて少量(文部科学省の発表ではストロンチウム90の沈着量はセシウム137の380分の1)だそうです。

このような地下水の浸透速度の推定では、放射性物質が、雨などにより直接河川を汚染し、その水を原水としている水道水よりも、地下水の方が安全と思います。
また、水道水は、原水が何であるかによって異なりますが、地下水を原水としていれば、前述したように安全ですし、河川水を原水としている場合でも、浄水場で一般的に使われている砂ろ過処理が行われていれば、セシウム137のような陽イオン核種はほとんど除去されます。
ヨウ素131のような陰イオンは、砂ろ過では除去されませんので、原水が取水されてから水道水として給水されるまでの時間の長さによって放射性物質の量が異なることになります。
水を砂ろ過の後、活性炭処理するとヨウ素131の50%程度は除去されるそうです。
さらに、市販されている陰イオン交換樹脂を含むフィルターがついた浄水器を通すとほぼ全量が除去できるようです。
ただし、陰イオン交換樹脂がヨウ素で飽和してしまえば除去はできないそうです。
ゼオライトも効果があるそうです。
そして、平成23年11月18日現在では、福島県内でも、浄水場や飲用井戸等での検査の結果、放射性物質の混入は一切検出されていないそうです。
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